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第110回 マンション防災を考えよう
災害時の情報 マンションで困ること「被災情報」2
皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。
先週は1回お休みをしてしまいまして申し訳ありません。実はこのマンション防災に関して、現在とても良いお話しが進んでおりまして、そのための準備でどうしても手がかかってしまい、お休みをせざるを得ませんでした。楽しみにしていただいている方にはすみませんでした。しかし、マンション防災がもっと普及するために、大きな一歩を踏み出すことができそうです。公開可能になりましたら改めてお知らせをしますので、よろしくお願い申し上げます。
さて、前回は「情報」という観点で災害時に困ること、特にマンションで困ることについて、自宅マンションの被害情報をどうやって入手するのかという課題を挙げました。
今回は、同じマンション全体にかかることで、困ることについてです。
それは、管理者から居住者に対してお知らせをしたいときにその手段がないということです。
大きな災害ではなく、よくあるケースで例を挙げるとわかりやすいかもしれません。例えば、台風が近づいているとき、最近は台風に伴う豪雨災害が頻発していますが、雨量が多くなることが予測されるときに、機械式立体駐車場があるマンションでは、自動車の移動、避難をする必要があります。
これは、特に自動車を格納するトレイが地下に入る形式のものでは、降った雨が排水ポンプの能力を超えて溜まってしまうと自動車が水没する可能性があり、そのために一時的に機械式駐車場から自動車を避難させ、地上階やその他駐車場に移動させなければならないからです。
実は、地下に入る形式でなくても、台風の場合は強風が予測される場合もあり、機械式駐車場の一番上のトレイに駐車している場合など、自動車そのものが揺れて移動してしまうことや、風により飛来したもので破損してしまう場合など、様々なリスクがあります。
このような場合に、防災組織、管理組合理事、理事長、管理会社、管理員などから居住者に対して、事前の自動車避難を告知、依頼をする展開が必要です。ところが、現状はどうしているかというと、ほとんどの場合は管理会社からマンションの管理員へ告知文書をメールやファックスで送り、現地では管理員がプリントしたものを掲示板とエレベーターの前や中に掲示しています。逆に言うと、それしかできないのです。公式的なマンションのホームページを持っている場合や管理会社のアプリなどがある場合もありますが、ホームページは閲覧する機会が少ない、またアプリも区分所有者を中心にしたもので、勤めに出ている時間帯などでは家の自動車移動はできない場合が多いのです。
居住者全員を、もしくはほとんどの居住者に共通する告知方法がない限り、伝えることができない状況です。
ちなみに、機械式駐車場のケースだけでなく、例えばスロープで地下へ降りる形式の地下駐車場の場合や、自動車ではないですが、バルコニーの荷物を宅内に取り込んでおくことも台風が接近している際には指示、お願いが出ていることが多いですね、このような場合も同様です。
そこで、居住者の多くの人が情報共有できるツールにより、台風という災害の事前に告知するツールが必要になります。これは一つのケースですが、いざ大災害が発生した場合には、被災情報、安否情報、復旧情報、近隣の状況の共有、指示お願いなど、多岐に渡る情報を伝える必要があります。
ましてエレベーターが停止している状況の中では、高層階の居住者が一階の掲示板まで階段を使用して降りて来て見るなどは困難です。やはり管理者からの推お知らせをする方法を検討しておくべきでしょう。
今日はここまでです。
次回は「情報」に関連して、管理者からのお知らせが必要な重要なケースについて考えていきます。よろしくお願いいたします。
マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学
マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。