見出し画像

#6 溺れた人を救うのは。| 読書ノート

漫画『ブルーピリオド』

読書ノートで初めての漫画感想文です。久しぶりに、デジタルではなく紙媒体で買えば良かったー!と後悔するほど心震える漫画に出会えました。
青春もの、主人公の成長、ちょっと哲学的が好きな人はきっとどハマりします。


あらすじ
主人公の矢口八虎は陽キャライケイケヤンキー。その場の空気を読み、ノリを合わせることができる高校生。タバコ・お酒をやるようなヤンキー友達からオタク系の子まで幅広い。おまけに、陰でコツコツ勉強する優等生でもあった。

高校2年生として過ごしていたある日、美術部員の絵に心動かされ、絵を描くことに興味を持つようになる。やがて美術部に入部した八虎は、進路選択の時期になり芸大を目指す決断をする。

絵画に全くの素人だった八虎は、果たして芸大に合格することができるのか…?


心ささるセリフとわたしの記憶

5巻 19筆「らしくねーよ」より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

画像1

2巻の表紙になっている登場キャラの一人「ユカちゃん」こと鮎川龍二は、八虎を美術部に引き入れた同級生。容姿端麗で女装家であり、日本画のみちで芸大合格を目指していた。しかし、彼の目標はやがて揺らぎ、芸大の一次試験を棄権したのだった。その後彼は自分をより女性らしくし、キャバクラなど夜のバイトで毎日を潰していた。彼が一次試験を棄権したことを知った八虎が、何を言うかを決める前に勢いで彼に電話するシーン。

八虎「…な、何かしてほしいことないの」
ユカ「はははは!…じゃあさ会いにきてよ。今すぐ」
八虎「いっ今からは無理だけど」
ユカ「だよねー!」「でもそう言うとこだよ八虎」
「君は溺れている人がいたら救命道具を持ってきても海に飛び込むことはしない」
「裸で泣いている人がいたら服をかけて話を聞くことはあっても自分も脱ぐことは絶対にしない」「教えてやるよ。冷静なんだよ君は 正しいよ。正しいから優秀なのさ。君はいつだって優秀だ、でもさ」「正しい場所からしか話せないなら アタシはお前に話すことは何もないねっ・・・

ユカ:誰か 誰か俺が嫌がっても強引にこの世界から連れ出してくれないかなあ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このユカちゃんのセリフが自分に刺さりすぎてしょうがない。
八虎は自分だった。まるで自分に言われているようなセリフだったんだ。

以前似たようなことを、学校関係の尊敬する人に言われたことがあった。

その頃自分の担任しているクラスに、メンタル面で心配しているAさんとその子と仲良いBさんがいた。わたしはその人にその二人のことを相談した。

「Bのおかげで、本当にAは明るくなったんです。でもAの依存性が強いからか、だんだんBの身体にも不調が出始めている気がしていて。クラス替えの時に迷ったんですけど、わたしが二人をクラスで見守っていく上で、AとBを一緒にすることを選らんでみました。しかし、見守っている今、間違いだったかもしれないと悩んでいます。Aはなんとなく以前からわたしと距離をとっているし、最近前に比べてBも心を開かなくなった気もしていて。二人をどうしていけばいいか悩んでいるんです」
「ちゃんと自分の気持ちをBに話したのかい?大変かもしれないけれど、Aを一緒に支えてはくれないかって。話してないんだろう。冷たいねえ。そんな道具みたいに考えているからそれが伝わるんだよ。優しい顔して厳しい言葉しかかけてないじゃないか」

その時は泣きましたね。
正しさという外側からしか見ていなかった。わたしは、冷たいのか。そうか。


その時のAさんもBさんも、まさしくユカちゃんそのものだ。
わたしは八虎みたいに、何が今の場面にとって一番「正しい」のかを判断軸に行動している。それはいつも、わたしが汚れない場所だった。岸の上から見下ろすことだし、裸で泣いている人を背中からたださすることだった。


正しさを降りられるのが、わたしが劣等感を抱く先生たちだったりする。

悔しいけどそれがわたしには少ないのかもしれない。

この漫画の世界で、八虎が芸大に入る過程の中成長していくもの。

自由、表現、自信

わたしがこれからも分け入り続ける世界そのものだった。これはわたしの物語。

めちゃくちゃ心にくる作品です。
早く続きが読みたいなあ。



-----
ここまで記事を読んでくださった方、ありがとうございました😊よければ、ほかの読書ノートも目を通してもらえたら嬉しいです!

サポートは美味しいおやつとコーヒーで心をみたすことに使わせていただきます☕️