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#10「良い子」になりすぎない練習|読書ノート

草薙龍瞬『これも修行のうち。〜実践!あらゆる悩みに「反応しない」生活』

今日ご紹介する本は、草薙龍瞬さんの『これも修行のうち。〜実践!あらゆる悩みに「反応しない」生活』です。この方の本職はお坊さんで、仏教的観点から人の感情について説いたものとなっています。

Youtube大学などメディアでも紹介され、本屋で平積みになっているベストセラー『反応しない練習』の著者でもあります。

個人的に、復職に向けて自分の思考や感情をうまくコントロールしていきたいと考えていたため、読んでみました。
そして、読んで大正解だったなあと思い知ります。

何がわかる本なの?

簡単に結論をまとめると、次のような内容です。

① 人間の悩みや問題は、出来事に対する自分の反応からできている。
② 人の心(意識)には、反応としてあらわれる4つの領域(感覚・感情・思考・意欲)がある。 4つの領域のうち、自分の反応はどの領域にいるのかに注目し、 別の領域に意識をずらすことで悩みや問題と捉える反応から離れる。
③ 以上の点を原則として、悩みや問題解消のために、日常のあらゆる出来事に反応しないようにする練習をしよう。(本書では「プチ修行」と呼ぶ)

特に刺さった内容3選のまとめ

まずは、わたし自身の感想や解釈を抜きにして、特に刺さった内容をまとめる形でご紹介します。

<1、感覚の修行>

なんかイライラ、モヤモヤする。
怒りや不満、不安や悲しみを強く感じて落ち着かない。
頭の中で悩みや問題だと思っていることがグルグルとまわってしまい、考え疲ればかりが溜まっていく。

こういう状態の時は、「感情」に領域で強く反応していたり、「思考」の領域で強く反応しているそうです。多くの人はここに当てはまるのでは無いでしょうか。これらの反応から離れるために「感覚」の領域に集中すると良いと言います。

身体の「感覚」に集中する。この取り組みを仏教用語で”サティ”。
サティの定義は、「心の中に”ある”ものを、”ある”と理解すること」だそうです。「理解」の代わりに「気づく」「察知する」「認識する」とも表現します。

最初聞いた時はイメージしずらかったのですが、別の言い方で「マインドフルネス」とも言っていました。こちらは耳馴染みがあるのではないでしょうか。最近はやりの「マインドフルネス瞑想」ですね。

プチ修行❶心のアンテナを「全身」に向ける
例えば、耳から聞こえてくる音だけに集中します。
目を閉じて、まぶたの裏に「見える」ぼんやりとした暗がりだけに集中します。
手をお腹に置いて、呼吸で動く身体の温かさに集中します。
地面についている足の裏の温かさに集中します。

と、このように、聴覚・視覚・触覚を中心に感じ取ろうとすることで、イライラしている「感情」や、イライラの中身となっている「思考」から離れるという練習です。習慣の一つに組み込んでも良いですし、仕事中などで反応が強く出た時は簡単に取り組むのも効果的のようです。

プチ修行❷ラベリングー言葉で確認を
習慣にもう一つ、「ラベリング」という方法に興味を持ちました。
ラベリングとは、出来事や行動について、言語化・可視化することだそうです。
ポイントは「今何をしているか」をはっきり意識すること。
例えば、「今、足を上げて一歩歩いている」「温かいご飯を口に入れて食べている」など。

さらに、言葉による確認を「自分の心」についても行います。
例えば、「怒りの感情がある」「嫌な記憶を思い出している」「緊張している」など。鍵となるのは、感覚であれ、感情、記憶、妄想であれ、「客観的に言葉で確認する」ように努めることです。


<2、感情の修行>
ここでは、方法論以前の理論に納得感を覚えたので、その内容を紹介します。

心の基本は”ニュートラル”と知る。
仏教では人間の感情を大きく3つに分類しています。

① 快ー好き・楽しいなどポジティブな反応
② ニュートラルー快でも不快でもない状態(感情がない状態)
③ 不快ー嫌い・いやだ・苦痛だなどネガティブな反応

このうち仏教的に望ましいのは「ニュートラル」だと言います。
なぜなら快か不快かの二者択一の反応は、心にとって「疲れる」からです。この状態は、快から不快、不快から快へと「感情の反復横跳び」をしているようなものです。

逆に、安らぎ、落ち着き、穏やかさ、思いやり、優しさ、そして大事なモノゴトに集中する力、へこたれずに持続する心の能力と言うのは、ニュートラルな精神状態から始まっているとわかります。

こうした理解を踏まえると、普段の感情の持ち方として望ましいのは、

①ニュートラルが基本
②快はおまけ
③不快は避けるべきだが、反応することは人との関係に不可欠だから、不快を感じたら上手に解消する

と言うことだそうです。


<3、思考の修行>
人とぶつかった時の反応は、たいてい3つですー①ムッとする②言い返す(張り合おうとする)③グッと我慢する。〜〜「苦しみを抜ける」と言う仏教の目的にてらせば、苦しみを生む反応はどれも「正しい」とは言えないそうです。

プチ修行❸「ムッとした」自分に気づく
①相手と向き合っている場合
「自分の怒りの反応に気づく」ことに全力を尽くします。(「ラベリング」を活用)このとき「(自分に向けて)怒っちゃダメ」と”判断”したり、「ムカつくけど我慢」と”怒りから逃避”しようとしてはいけません。あくまで「自分の心を注意深く観察する」つもりで、内側に意識(気づき)を向け続けてください。

②過去の記憶にむかついている場合
記憶は妄想に過ぎないと意識します。そして、記憶(妄想)には反応しない、と強く心がけるようにします。

以上3選から、わたしが考えたこと

第一感想。この休職期間の気づきの集大成が言語化されている本である!!!!
これでした。この本に出会えたことで、なんとなく自分の心がこうだから、これからはこう扱っていこう、とふわふわした意識だったものが、めちゃくちゃ現実的に具体化されたと感じたのです。


今までは、「マインドフルネス瞑想がストレスにいいよ〜気分転換になるよ〜」みたいなざっくりした根拠で、瞑想をやってみようと思っていたけれど、これからは極めて具体的に、意識的に場面に応じた取り入れ方ができそうな気がしています。
サティとラベリング、感覚と感情の別領域、という定義づけによって深く理解することができました。


あと、感情の基本は「ニュートラル」であると言うこと。
わたしにとっては賛同できる休職期間でした。これまでの自分は、「不快」は悪、「ニュートラル」も小悪、「快」だけが大正義と思い込んでいたので、その考えに当てはまらない自分を自己否定しまくりだったし、無理矢理「快」に行こうと反復横跳びさせまくってたので、心が疲弊してしまったんだと思います。
これらの言語化が、わたしの心のありようにジャストフィットし過ぎていて、読んでて感動すら覚えました。引用した「普段の感情あり方」が、これから取り入れていく新しい感情の前提として採用してみます。


そして最後に<思考の修行>の中で引用したプチ修行❸について。
ここではムッとすると言う「怒り」の表現で紹介されていたけど、他の不快の感情でも当てはまるのだと思いました。今のわたしに多い不快の感情は「不安・恐怖」なので、このプチ修行はぜひ取り入れていきたいです。

サティ・ラベリング・その場で気づく思考の3つのプチ修行を日々組み合わせながら、まずは、「自分の心が納得できる状態」「よし!これがいい」の状態になれるように方向づけて、日々過ごしていきたい。
意欲の領域にガンガン踏み込んでいくのは、過去の自分の姿にして、4つの領域のバランスを良くすることを第一にしていきたいです。

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