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『阿部一族/森鴎外』を読んで📖

お疲れ様です!
H川です。

今まで森鴎外さんを読まずに人生を過ごしてきましたが、この度、舞姫・うたかたの記・鶏・かのようにを読みました。

が、、、この『阿部一族』は同じ著者とは思えないです。
森鴎外そのものの奥深さ、引き出しの多さ、表現が適切かはわかりませんが、これまで読んだ作品とは異次元レベルの質の違いが感じられる作品でした。

私はこの当時の世界観に一ミリも同情や共感はできないものの、武士の命の終わらせ方への執念。いかに死ぬかでお家の未来がかかっている。

そこにはちゃんと理屈が存在する。

「生きて生きて生き抜くのが大事」とかでは全くナッシング。

そして自己を決定づけているのが、面目という外からの絶対的な価値観。
内なる意思からの挙動の優先順位の低さには驚かされます。

なんなら、内なる意思は不要とまで感じられてしまいます。

かくあるべきといった世界観は当時は常識レベルだったのだろう。
そして狗(いぬ)にも当てはめてしまう力強さ。

歴史上、有名になっていない武士たちにも浸透しきっている生き様を私はただの傍観者として、客観的に受け止めました。

ただ、今の私たちの価値観だって、数百年後の未来の人からしたらきっとよくわからないと思われると思います。

私は本作の一連の出来事から271年経ち、森鷗外の阿部一族を読んだ当時の人々はどのように感じたか聞いてみたくなりました。

森鷗外さんは読めば読むほど、奥が深い方です。

あと数作品読みますが私の脳みそがどのように反応し解釈し、何が生まれるのかとても楽しみです。

おしまい。

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