オープンキャンパス「国際日本学科」体験授業レポート。「トトロから考える日本人の宗教観」
2023年12月16日(土)、関西外国語大学「御殿山キャンパス・グローバルタウン」において、2023年度第7回のオープンキャンパスが開催されました。
この記事では、国際日本学科の体験授業の様子を詳しくご紹介します!
国際日本学科の体験授業
模擬授業の講師を務めたのは、国際日本学科で、主に「日本文化」の分野を担当する予定の鵜島三壽教授。
鵜島先生の研究内容などの詳細については、以下の記事をご参照ください。
今回のテーマは「トトロから考える日本人の宗教観」です。
体験授業「トトロから考える日本人の宗教観」
本学の学生が海外に留学した際に、現地でよく聞かれることのひとつに、「あなたの宗教は?」「日本人だから仏教徒ですか?」という質問です。
自身が信仰する宗教があればそれを答えればいいわけですが、多くの日本人は特定の宗教に入っていません。そこで、考えます。
初詣には神社に行く
葬式をするのはお寺で
クリスマスのお祝いもする
さまざまな宗教の行事を並行して、違和感なく実行しており、迷った末に「無宗教」と答えると現地の人には驚かれます。
一神教の人からすると、消去法的に選んだのではなく、確固たる意識をもって「無宗教になった」と考えるので驚くわけです。
体験授業では、こうした一神教の国の方々と、日本人が信じる「神様」とはどういったものなのかを、
となりのトトロ
もののけ姫
千と千尋の神隠し
などのジブリ映画から読み解いていきました。
世界と比較したときの日本の長所とは?
本題に入る前に、日本の長所として、言語学者の鈴木孝夫(1926-2021)の次の言葉が紹介されました。
引用した文章のなかにもあるように、日本人は神にも多様性を認め、自然や気候現象にも「神」を感じます。
これは温暖で多湿な日本列島の環境との関係があるといわれていますが、一方で砂漠地帯など厳しい環境下に暮らす人々=一神教の人々は、自然を「克服する対象」として捉えます。
日本の神は信じなくても罰さない
一神教の場合、自らが信じる神が絶対なので、その神を信じない人間=異教徒は、罰せられる存在として認識されます。
一方で、八百万(やおよろず)の神といわれる日本の場合、「世界は平等な霊魂のあつまり」で、自分がまつる(信じる)対象だけが神になり(複数の神をまつってもOK)、神の方でもまつらない人間を罰することはありません。
この日本人が考える神と人間の関係は、「自分の好きな人間と付き合い、何かのおりに助けてもらう人間関係と似ているともいえるでしょう」と解説されました。
日本人の宗教観を知る近道はジブリ映画を観ること!?
日本人である我々は、ここまで見てきた
自然などとの接し方
多くの神々を当たり前のように受け入れる姿勢
といったことは違和感なく受け入れられると思いますが、一神教を信じる人々にとっては、この感覚や概念はなかなか理解されません。
この宗教観の違いは、本や講演などで詳しく説明してもなかなか伝わらないのですが、『となりのトトロ』をはじめとするジブリ映画が何よりの教材となっており、作品を通じて「日本列島に住む人は、あのような神様の概念を持ってるんだ」と理解されることが少なくないといいます。
ひるがえって、現在紛争が起こっているイスラエルとハマスの問題と一神教のかかわりなど、日本との違いを意識することで、より物事の本質が見えてくることもあります。
「皆さんが関西外大に入学され、学内や留学先などで一神教の国の方々をはじめ、さまざまな国の方とふれあう際に、こうした視点を持つことは交流を深める際にきっと役に立つでしょう」と最後にメッセージが送られ、講義が締めくくられました。
参加者のコメント
さいごに
今年(2023)のオープンキャンパスの日程はすべて終了しました。
次年度のオープンキャンパスの予定は詳細は確定次第、以下のページでお知らせいたしますので、チェックしてみてください。
そして、次年度からいよいよ国際日本学科が始動します。
同学科での新しい学びにもご期待ください!
【国際日本学科・特設サイト】