詩)老猫
ベランダの壁を登るのも一苦労だ
昔は難なく一度で飛びついていたのに
今はエアコンの室外機を経由しないと
登れなくなってしまった
冬がこんなにも寒くなるとは
炬燵が無ければ凍え死んでしまう
眠る時間も段々と長くなり
夢の中なのか現実なのかの境界線も
すっかりボヤけてきた
何かあれば名前を呼ばれ
いつも私を撫でてくれるが
これもいつまで続く事なのか
あと何回、食事を取れるのだろうか
ならばせめて食べたい時に食べたい物を
与えてはくれないか
喧嘩はやめておくれ
犬も喰わないものを
私は喰いたくないのだから
そんなに遠くない未来に
私は新しい世界へと旅立つ
せめて残された時間は
お前達の側で一緒に眠るよ
炬燵…こたつ 側…そば