詩)白い花
人は欲しがる
金も
地位も
名誉も
優しさも
抱えきれぬほどの幸せを
満たされぬ心は足らぬ足らぬと嘆く
手に入れた何かを大層に飾り立て
数を数えては悦に浸り
また数えては不安に苛まれ
与えられたものでは満たされず
貪欲に我武者羅に
まるで競い合うかのように欲する
限りある物を奪い合えば
いつかは無くなってしまうと言うのに
死んでしまえば何も残りはしない
最後に残せるものは
誰かに与えたものだけ
与えたものは消えずに残る
雨降りの空に際立つ白も
摘んでしまえば雑草のようで
いったい何を欲しがっていたのか
いったい何に惹かれていたのか
また一つ
埋められない虚しさを手に入れた