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エッセイ)思い出の曲#あほあほ祭り
青春時代に何度も聞いた曲。
曲を聞いただけで、あの日の事を思い出して、懐かしくなったり、切なくなったりする曲が誰しもあるだろう。
自分にも聞いただけで、あの時の酸っぱい思い出が蘇る曲がある。
あれは、15年前の友人の結婚式の3次会。
高校の同級生同士の結婚だった事もあり、参加者には顔見知りも多く、新郎新婦の人柄もあってか50人近くの人が参加していた。
私は新郎新婦が付き合うきっかけを作った事もあって、最初の式から参加していた。
3次会の会場はカラオケだった。
3次会とはいえ司会がいて、余興の様な感じになっていた。
私は友人と談笑しながら、その余興を眺めていた。上手い人が歌うと自然と皆がおしゃべりをやめて歌に耳を傾けた。
式後の幸せな感じと、同級生が久しぶりに集まったノスタルジーな雰囲気に、歌声が華を添えて、本当に素晴らしい空間を作り上げていた。
なかには笑いを取ろうと、男性がモーニング娘を裏声を使いながら歌ったりしていた。
普段ならドンズベリだろうけど、会場は優しい雰囲気で、微笑ましく受け止めてくれていた。
上手い友人がコブクロの“永遠にともに”を熱唱していた。女性の参加者、数人が感極まって泣いてしまう程に素晴らしかった。
その直後、司会が出会いのきっかけになった私を紹介して一曲歌う様にと即してきた。
あんな上手い歌の後に、大して上手くもない自分が歌うのは、かなり気がひけた。
断ろうとしたが、周りの友人も歌えと即し、『選曲してやるよ』と私の背中を押して、結局、私はステージに上がらされた。
客席の友人は、『十八番を入れたから』とこちらにグッドマークを出して笑っていた。
画面にデカデカと選曲が映し出され、曲が始まった。画面を見た瞬間に自分は全力で歌う決心をした。お祝いの席で変にふざけるのも良くないだろうし、上手くもないのだから、せめて精一杯歌おうと…。
(下記を再生してください。)
正直、ワンコーラス目で雑談をしている人はいなくなり、とんでもない空気が流れていた。
誰だ?誰だ?♪と歌っているお前が誰だ⁉︎って感じだった。新婦の刺さる様な冷たい目線が痛かった。
地球は一つ♪地球は一つ♪と歌っていたが、自分だけは会場と一つになれない異物だった。
選曲した友人とその周り数人の笑い声は嫌な感じで響いていた。
歌い終わった後、あまりの滑りかたに、私はトイレで吐いた。
この出来事以来、ガッチャマンの歌を聞くたびに、胃液が上がってきて口の中が酸っぱい感じになる。
おわり
※この記事は、あほあほ祭りに参加しています。