今年は夢を叶えよう

実家の大掃除に伴い、置きっぱなしになっていた私物を自宅に持って来た。その中に卒園アルバムがあり、何十年かぶりかに開いた。
幼稚園→小学校→中学は田舎なのでほぼ同じ顔ぶれのまま進級していく。その為、初恋の相手の幼少期を見る事ができた。中学生の頃はあんなに可愛いかったのに幼少期は失礼ながら…だったり、その逆のパターンもあった。小さい頃の顔は随分と変化するものだと思った。自分は明らかに幼少期は可愛いのに、あれ?何があった?別人か?と思えるほどの変化を遂げている。
そんなアルバムの中に将来の夢について書いたページがあった。書ける子は自分自身で書けない子は先生に書いて貰っているようだった。
宇宙飛行士や野球選手、幼稚園の先生にお花屋さん等、子供らしい夢が沢山あった。今の子供ならYouTuberやメジャーリーガーなんかもあるのだろう。
何人かの夢の結果を知っているので、野球は中学の時点で美術部だったねとか。お花屋さんって色んな人が書いてるけど結局、誰もならなかったね等と思いながらページをめくっていた。さて、自分はなんと書いてあるのか?

・・・・サンタクロース。
サンタクロースになりたかった…。なんて夢のある子供だったんだろう。理由等は一切書いていない。この頃の自分に尋ねたい。なぜサンタクロースと書いたのか…。思い出そうとしても思い出せない。蜥蜴の尻尾を育てようとする位に純粋な子だったのでサンタの存在を信じて本気で書いていたとしても不思議ではないのだが…。サンタクロースのどこに魅力を感じでいたのだろうか…。

小さい頃の夢を叶えられる人はほんの一握りに、
過ぎない。本人の力不足だったり、現実を知ってやめてしまったり、夢そのものを忘れてしまったり…。当然、しがないサラリーマンの自分も夢を叶えていない。サンタクロースの後は、弁護士→警察官→調理師→芸人→市役所の職員とバラエティに飛んだ夢を見たが結局どれも叶わないまま、今に至る。もともと目立ちたがり屋で自己顕示欲なり承認欲求が強いのでそれが子供の時の夢に反映されているのだろう。誰も書かないサンタクロースって夢を書いたら目立つし、サンタなら誰からも感謝されるに違いない。そんな風に思って書いているならかなり可愛げのないガキだな…。
見返りを求めて行う善行はあまり関心出来ないが、きっと誰かにありがとうを言って貰いたかったんだと思う。ありがとうと言って貰える事で自分の存在意義を明確にしたかったのではないだろうか。サンタになりたかった理由については予想は立てられても、答えを知る事は叶わない。それならば、せめて今年のクリスマスは自分の思い出した夢を叶えるために嫁様に何かプレゼントをしようと思う。
但し、プレゼントを運ぶのはソリに乗ったサンタクロースではなく、笑顔の段ボールになってしまうのだが…。

終わり

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