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確率と統計の美しき相補性 ~離散から連続へ~
『神はサイコロを振らない』
というのはアルベルト・アインシュタインが
「この世界が不確定で
確率的な存在である訳がない」
という一般人からすると至極当然の主張・立場を端的に表現したものです。
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しかしながら実際には、我々が日々使う電子機器🖥️、それから人体の肺🫁においても、”確率的な挙動”は観測され、現実は「神はサイコロを振るのだ」と分かってしまったというのが現代物理学の常識です。
⠀
【確率】とは、とても身近でありながら世界の本質であるのが、非常に興味深いトピックです。しかしながら、一般人には敷居の高い学問であることもまた事実です。
この記事では、そんな一般人でも確率論・統計学の雰囲気をかる~く掴めることを目的としています。まずは気負いせず、珈琲を片手に、ゆっくり読んでみてください😆☕
確率 ⇌ 統計
天気予報でよく聞く”降水確率○%”は、過去の気象データを蓄積させることにより算出しています。データを収集してアレコレ議論をするのが【統計】で、【確率】とは縁が深い……どころかズブズブです。
【統計】から【確率】を定める他に、確率にはもう一つの側面があり、
サイコロ(1, 2, 3, 4, 5, 6)
コイン(表, 裏) etc.
のような「カジノ・ゲーム等で使うに適した物」に対して、同様に確からしい(=確率はどれも等しい)と【確率】を予め決めてしまうこともできます。
「このサイコロには、
出る目に偏りがあるか?」
という問題に対しては、
① まず、どの目も出る【確率】は等しく$${\dfrac{1}{6}}$$と仮定する。
![](https://assets.st-note.com/img/1734460639-9eOThUMaAEGNXgDnwo27CrVc.png?width=1200)
② 沢山振りまくってデータを収集する(【統計】を取る)。
![](https://assets.st-note.com/img/1734460679-mFnEgNUxYJyCLoXrqWDIT54t.png?width=1200)
③ 大量のデータを基に、【確率】の是非を問う(必要なら更新する)。
![](https://assets.st-note.com/img/1734460691-cFIsNjeE46adRU7w3SbvV1Wm.png?width=1200)
というステップを踏んで課題解決をするのが現代流で、
【確率】⇌【統計】
という相補的な関係はとても重要なのです。
離散 vs 連続
一般用語としては、
離散・・・「離れて散っているさま」
連続・・・「連なり続いているさま」
を表しますが、数値を扱う分野(この文脈)では、
離散・・・「数値がとびとびであるさま」
例)サイコロの目:1, 2, 3, 4, 5, 6連続・・・「数値が途切れず繋がるさま」
例)身長:150cm, 150.001cm, …
を表すため、離散と連続は対立する概念です。
義務教育+高校数学で扱う【確率】は、【離散】的な場合に限定されており、【連続】的な場合は大学数学以降で微積分を基礎とします。
精度とグラフ
これから”連続なる確率”を考えますが、残念なことに原理的に無限小数$${140.33333\ldots\text{cm}}$$を計れる器具は存在せず、常に測定精度$${\Delta }$$が付きまといます。
例えば、
「同年代の身長」を
グラフで表現したい!
という課題を考えます。ここで、
① ”cm単位で計れるものさし”
② ”mm単位で計れるものさし”
という2種類のものさしが支給されたとします。そして中途半端な身長は、最も近い目盛りの値(四捨五入)とします。すると、測定結果は精度の向上に伴い、ドンドンと細分化されていくはずです:
$$
\newcommand{\cm}{\text{cm}}
\newcommand{\mm}{\text{mm}}
\newcommand{\san}{\texttt{\scriptsize{さん}}}
\begin{array}{l|ccccc}
&\textsf{A}\san&\textsf{B}\san&\textsf{C}\san&\textsf{D}\san&\cdots\\
\hline\hline
\raisebox{0.2pt}{\text{\textcircled{\scriptsize{1}}}}:\,\,\cm \texttt{ものさし}
&152\cm&\bm{160\cm}&\bm{160\cm}&172\cm&\cdots\\
\raisebox{0.2pt}{\text{\textcircled{\scriptsize{2}}}}:\mm \texttt{ものさし}
&151.9\cm&\bm{160.2\cm}&\bm{159.7\cm}&171.6\cm&\cdots\\
\end{array}
$$
![](https://assets.st-note.com/img/1734465730-rlYMmb9HK6dZSQsfPz0hR7IJ.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734465738-dfZCkqUyzTOp1iPoa6g0hbQL.png?width=1200)
⠀
つまりは、目盛りの間隔(=精度)$${|\Delta|}$$をゼロに近づける過程で細分化が進み、
$${x\text{cm}}$$と測定されるヒトの割合$${P(x)}$$
もゼロに近づくということです。これは、精度の向上$${|\Delta|\to0}$$において、$${P(x)\to0}$$となるせいで、確率$${P(x)}$$のグラフは$${x}$$軸にベッタリで使い物にならないことを意味します。
離散から連続へ
「確率$${P(x)}$$のグラフ」を描くことは叶いませんが、先人たちは諦めることなく次のように思考するでしょう:
① $${x\text{cm}}$$に丸め込む(割合$${P(x)}$$を決定する)範囲$${\Delta x}$$を図示する。
![](https://assets.st-note.com/img/1734508295-o53Lb6xsfN0jJKvXB9Rc18Te.png?width=1200)
② 丸め込み範囲$${\Delta x}$$が$${0<\Delta x <1}$$である条件の下では、
$$
P(x)=f(x)\Delta x\\[7.0pt]
\begin{cases}
\Delta x:\:\:0<\Delta x <1\\
\text{常に、}P(x) < f(x)
\end{cases}
$$
を満たす関数$${f(x)}$$を取ることができ、棒グラフの面積$${f(x)\Delta x}$$で$${P(x)}$$を表現できる。
![](https://assets.st-note.com/img/1734508311-nHo1xOs2dIkzFV6A4tP5lJgw.png?width=1200)
③ 面積の総和$${\displaystyle\sum f(x)\Delta x}$$は確率の総和$${\displaystyle\sum P(x)}$$に等しく、$${\displaystyle\sum P(x)}$$は常に1である。加えて、丸め込み範囲$${\Delta x}$$は精度の向上$${\lvert\Delta\rvert\to0}$$に伴い$${\Delta x\to0}$$であるため、
$$
\begin{align*}
\lim_{|\Delta|\to0}\sum f(x)\Delta x&=:\int_X f(x)\,\mathrm{d}x\\
&\equiv 1\\
\end{align*}
$$
が成り立つ$${f(x)}$$のグラフが描ける。
![](https://assets.st-note.com/img/1734508326-xVDLsaCeSHMRkqfGg8NTAWz6.png?width=1200)
上記のような思考法により、数学の世界に”連続なる確率”$${f(x)}$$という新たな概念を実現することができました。今日において$${f(x)}$$は確率密度関数と呼ばれ、【確率】⇌【統計】の相補性に支えられながら、現代科学の発展に寄与しています。
3行まとめ📌
【確率】と【統計】は相補的な関係性🔄
【連続】の場合には、確率$${P(x)}$$のグラフは描画不能❌
確率$${P(x)}$$を”面積”で表現しちゃう
確率密度関数$${f(x)}$$のグラフなら描画可能✅
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以上、Keshitanでした!
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