Gainsight導入奮闘記:前篇 ~運用に関する話~
お疲れ様です!
カミナシでCS(カスタマーサクセス)をしている石井といいます。
23年9月の拙稿「カミナシカスタマーサクセスの新機軸!「焚き火理論」とヘルススコアについて」、ありがたいことに社内外の方から「なかなかオモロいやないかい」と反響をいただきました。
今回は、「では、実際に焚き火理論をヘルススコアに落とし込んだ”その後”は何をやっていたのか?」について書きたいと思います。
”運用に関する話”と”設計に関する話”の前後篇となります。
こちらは前篇:運用に関する話です。
後篇はこちらです
長いですが、お手隙でお目通しいただけますと幸いです。
これまでのあらすじ
焚き火理論が社内で日の目を浴びるのとほぼ同時期に、カミナシではGainsightの導入が決まっていました。
その時点では「たぶん、これで正しそう」という感覚しかありませんでしたが、カミナシのバリューは「β版マインド」。
まずは動いてみようぜ、ということで、焚き火式のヘルススコアを元にGainsightの基盤構築を進めることになりました。
(焚き火理論とヘルススコアについてはこちら)
前篇では、どのように導入プロジェクトを進めていったのか?について書いていきたいと思います。
やったこと
この半年間でのポイントとなる動きを時系列でまとめてみました。
① 全体管理に「カミナシCSのやり方」を適用した(1ヶ月目~)
新ツール導入に併せ、目的を明確にして、設定を行い、社内での定着を目指す…これはもうシンプルに日頃私達が行っているカスタマーサクセス活動そのものと言えます。
尊敬する同僚の平沼はよく「先方内に”社内CS”が誕生することがツール導入プロジェクト成功の要因のひとつ」と言っていますが、まさにその「社内CS」に自分たちがなろう、と決めました。
そこで、今回の「Gainsight導入プロジェクト」もカミナシがお客様をご支援する際に使っている方式を自分たち自身に当てはめてみることにしました(ツールを「カミナシ」から「Gainsight」に置き換えた以外はほぼ同じことをやっています)。
具体的には以下です。
1.「活用計画書」を作成する
導入企業様にとって「はじめてのDX施策」「はじめての全社プロジェクト」となることも多いカミナシでは、プロジェクトマネジメントをお手伝いできるように「活用計画書」というものをご用意しています。
ここには
・カミナシを活用する目的
・目的達成までのタイムライン/スケジュール
・日々の議事録
などが詰まっています。
これを、自分達に使ってみることにしました。
(活用計画書についての詳細はこちら)
導入プロジェクトが決まった時点で本部長の宮城に1on1の時間をもらい、「中長期的にどのような状態になっていることを目指すのか(もっといえば、何ができていれば次年度のGainsightは更新で、何ができていなければ今年で解約となるのか)」について仔細にヒアリングとディスカッションを重ねました。
結果、中長期の目的と通年の目標は以下となりました。
2.プロジェクトメンバーの役割を決める
カミナシでは導入企業様に対し、以下のような形でプロジェクトメンバーを決めていただいています。
今回の場合は
・プロジェクトオーナー 宮城(ビジネス本部長。Gainsight導入にGOサインを出した人)
・プロジェクトリーダー 松下&石井(活用の方向性を決める人)
・設定担当 1Q 遠藤 2Q 和田&金木
・運用担当 1Q 宿利 2Q 泉
のような形で、同じように役割を当てはめていきました。
ただ、社内向けに少し遊び心を加えたかったので、前半後半のOKRをそれぞれ「第一期/第二期Gainsight内閣」、設定担当と運用担当をそれぞれ「設定担当大臣」「運用担当大臣」のような呼び名に変えました。
② CTAとPlaybookを設計した(2~3ヶ月目)
目的も決まり、体制も引けて、いよいよGainsightのCSの皆様ともご対面。
心強すぎるGainsight CSの皆様にガイドいただきながら最初に取り組んだのは「CTAとPlaybookの設計」でした。
こちらは後篇にて詳細を記載しますが、
「どういう状態になっていたらアラートを鳴らすのか?」
「鳴ったアラートに対してどんなアクションを取るのか?」
を定義する、というものです。
焚き火ヘルススコアをベースにしながら主観と客観のバランスをいかに取っていくか、アクションの”濃さ”を保ちながらどう汎用的なものに落とし込むか、CSメンバーでがっつりと議論を重ねました。
→結果生まれたCTAの内容は後編にて
③ 最初に取り組むべきCTAを選定した(3ヶ月目)
体制を組み、CTAとPlaybookの設計をした時点で、あっという間に第1四半期が終了。
CTAの実行と検証は第2四半期から取り組むことになりました。
後篇の反省にも記しましたが、②で作ったCTAの数、我々的には必要十分まで絞ったつもりだったのですが、賢明な読者の皆様はお気付きの通り、やはり多すぎました笑
全てのCTAを一斉にチェックするのは流石に無理だ、ということでまずはどれか1つを選定することにしました。
ちょうど同時期に別のOKRで「キーマンを把握できているのか&定期的に接点を取りに行けているのか」という検証を進めていたこともあったので、焚き火の”薪”に該当するCTA「キーマン(PO/PL)が不在」を検証することになりました。
※PO=プロジェクトオーナー、PL=プロジェクトリーダー
つまり、「今日のキャンプ、薪がないまま火起こししようとしてるけど大丈夫?」というアラートです
④ CSメンバー全員で情報のプロットを行った(4~5ヶ月目)
チェックするCTAが決まったので、後は実行あるのみ。
・キーマンの情報をGainsight内にプロットすること
・キーマンの不在を検知した場合はPlaybookに則りCTAに対応していくこと
を実施しました。
通常、ここが一番苦労するパートだと思うのですが、
設定担当大臣(遠藤、金木、和田)がCTAの設定が正しく動いているかをチェックし、
運用担当大臣(泉)が定期的にCSメンバーに対してプロットの声掛けをしていくことで
全顧客のCTAのプロットはわずか1ヶ月ほどで完了しました。
※余談ですが、カミナシCSはこういったときの「すいません、これプロットしてください!」に対する対応スピードと実行力(&「やりまーす!」の気持ちの良さ)が本当に素晴らしく、何かしら依頼する度に救われています。みんないつもありがとう。
⑤ ダッシュボード・アクティビティの最適化を行った(5〜6ヶ月目)
実行と並行して、可視化の部分も進めていきました。
活用目的の「CSの活動と事業計画が紐づいているような状態」にも繋がりますが、マネージャー陣やOKRメンバーと「Gainsightを導入してどういうことをしていきたい?」という会話をする中で挙がったことの1つが「全体の数字と自分の数字/日々の活動の繋がりが見えるような状態にしたい」というものでした。
オンボーディング(導入支援)チームとリテンション(活用支援)チームそれぞれにおいてどういう情報を見ていきたいか?を各マネージャーにヒアリングしていきながらダッシュボードの項目やアクティビティ(Gainsight内に残すCSの活動記録)の内容をブラッシュアップしていきました。
(ここでも設定担当大臣の金木と和田が大活躍してくれました。感謝!)
※顧客情報がたくさん含まれるので良い感じのキャプチャが用意できず申し訳ないのですが、このあたりの数値の可視化力は「さすがGainsight!」という感じで、CS個人が持っているお客様情報とチームの数字に繋がりが見えてくる体験は唯一無二でした
苦労したこと
① データ連携
カミナシではこれまでレベニューに関するほとんどすべての情報をHubspotに一括して記録をしていました。セールス情報はもちろんのこと、MRRの管理、お客様のコンタクト情報なども全てベースとなるものはHubspot、という運用となっていたのですが、元々のHubspotの使い方が若干トリッキーだったこともあり、これをGainsight側に流し込む作業が本当に大変でした…。
現在は業務委託の方が定期的にデータを流し込んでくださること(社内では「人力API」と読んでいます笑)でなんとか運用していますが、今後は完全な自動化を目指していきたいところです。
また、流し込んだ数字と実際に経営で管理している数字との間に整合性があるか?というチェックも難儀しており、半年たった最近ようやく合ってきたという状況です。根気強く取り組んでくれたマネージャーの松下に感謝しています。
② ルールエンジンの設計
設定したCTAが正しい条件下で発動するために、「このデータがこう動いたら鳴らす」という条件(=ルールエンジン)を設定する必要があり、個人的にはこれが本当に大変でした…。
SQLを触ったことがあるメンバーにとっては「なるほどね」という内容でGainsightのUIもわかりやすくできているようで、私はSQL経験者の松下や遠藤にしがみつきながら教えてもらう、という日々が続きました。
後半の設定担当大臣の金木と和田はほぼ独学でどんどんと習得していってくれ、全てのルールエンジンの設定を検算するところまで進めてくれました。
私はこういった機能設定の習得が実は大の苦手なので、メンバー皆が進めてくれて本当に助かりました…。
で、導入してみてどうだったの?
カミナシの導入プロジェクトと同様、OKR終了のタイミングでプロジェクトオーナーの宮城から活用状況に対するフィードバックをしてもらいました。結果、期初に設定していた中長期の目的と通年目標については以下の評価としています。
今後に向けて
① 検証するCTAの絞り込み
一番の反省点である「CTA多すぎ問題」については、この半年を振り返りながらクリティカルかつ検証がしやすそうなCTAに絞り込む/検証に時間がかかりそうなCTAに関しては非アクティブにすることを決めました。
具体的にはやはり主観定性の入力に基づくCTAは優先度を下げ、客観定量で自動的に発動するCTAから検証していく流れとなります。
② 更新ヨミのGainsight移行
前述の通り、レベニュー関連はHubspotに集約されており、更新のヨミ管理に関してはnotionと併用している状態が続いておりましたが、マネージャー松下の弛みない努力のお陰でようやく「売上数値」のブレがなくなってきており、更に金木が中心となって「定性的な更新ヨミの管理」も一部Gainsight上で運用できそうな兆しが見えてきました。
今後は「Gainsightを見れば、更新が危うい企業様とCSが取るべきアクション、アクションした結果の状況」まで一括で閲覧管理できるような体制を作っていきたいと考えています。
③ 体制変更&マルチプロダクトへの対応
上記の内容はすべてCSチームが「オンボーディング(導入支援)チーム」と「リテンション(活用支援)チーム」「サポートチーム」に分かれている中で行われていた設計でしたが、すでに現在のカミナシCSは組織が変わっています。オンボーディングとリテンションの垣根をなくし、「SMBチーム」「MMチーム」「EPチーム」「サポート&コミュニティチーム」という体制に生まれ変わりました。
そのため、案件の管理方法やダッシュボードの構成などもチームごとにチューニングをかけている最中です。
更に、カミナシではマルチプロダクト戦略が始まっています(こちらの記事をご参照ください)。
現在の単一プロダクトでの管理とは設計も難易度も大幅に変わっていくことが予想されるため、お客様に最大限価値を感じていただけるような案件管理の方法を実現していく必要があります。
まだまだやることは沢山ありそうです。
④ 専任組織による運用
ここまでのGainsight運用はCSチーム内のOKRとして進めたものであり、所謂Ops的な組織によるものではありません。Gainsight運用チームはOKRの取り組みとしてQ毎に私以外のメンバーはシャッフルされたため、一貫した設定担当、運用担当はいない状態でした(それはそれで設定ができるメンバーが増えてくれて良かったと思っています)。
いよいよ「OKR施策」ではなく「持続的な営み」となったGainsight運用の運営は、新設されたCS Opsチームに託すことになりました。
今後はプロジェクト推進において社内随一の腕を持つ細見と、圧倒的な機能習得レベルの高さを誇る金木の2名が中心となって、Gainsight活用の進化と深化を担ってくれます。
おわりに
以上を持って「前篇:運用に関する話」は終わりとなります。
実際にどんなCTAやPlaybookを設定したのか?については後篇にまとめましたので、是非併せてご一読ください。
総じて、「いつも自分たちがやっているCS的な動きを社内に対しても実施していくこと」「自分たちがCSを受ける立場になること」は大変勉強になりました。
Gainsight CSチームの皆様、いつもありがとうございます!
成果出せるように頑張るので、これからもよろしくお願いします。
※特に回し者とかではないのですが笑、本記事を読んで「Gainsight良いな~」と思ってくださった方は以下もどうぞ。ログインのたびにWowがある素敵なツールです!
https://www.gainsight.co.jp/
We're Hiring!
CTAの中身、情報の集約方法、アクション管理、etc…
カミナシCSはここに書いた内容で終わりではなく、絶えず変化と進化を繰り返しています。
共にスクラップ&ビルドを楽しんでくれる仲間を大大大募集しています!
少しでも面白そうと思ってくださったそこのアナタ!
まずはカジュアル面談でざっくばらんにお話できたら嬉しいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
それでは!
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