海外大生の就活戦略:ボスキャリディナー攻略ガイド
はじめに
こんにちは、ぱぴたす(https://x.com/blueberrypang)です。今回は自身の就活を振り返り、就活の流れや全体像を備忘録兼過去の自分へのアドバイスとしてまとめたいと思います。有料部分ではボスキャリディナーを獲得するためのTipsを記します。自分なりに戦略的に就職活動に励んだので、これを読む学生の方の気づきになればと思います。尚、こちらの記事は国内選考ではなく海外選考(ボスキャリ及びLAキャリ)に焦点を当てて書かれていることに留意してください。また、テックインタビューやケース面接の対策については省いております。
自己紹介
2023年11月のボスキャリで第一希望だった企業から内定を頂きました。少しユニークな経歴のため詳細は伏せますが、属性としては正規留学、理系、学士、日米長期インターン経験ありです。この記事の信憑性を示すために当時のツイートを載せておきます。是非遡ってみてください。タイポあり、この最終で辞退したコンサルは内資ではなく外資です。社会勉強の意味もあり幅広くアプライしたので、今回の記事は一定包括的かと思います。
ボスキャリとは&ディナーとは
ボスキャリとはボストンキャリアフォーラムの略称で、年1回ボストンで開催される日米バイリンガル留学生向けの就活イベントです。11月中旬の金・土・日曜の3日間(日曜日は午前のみ)開催され、イベント期間はボストンの街がリクルートスーツを着た日本人で溢り返ります。海外大生だけでなく、最近は国内のつよつよ就活生も参加しているようです。
ディナーとは、企業が優秀な学生を誘うお食事会のことです。ディナーの位置づけは企業によりけりで、選考プロセスの一環や志望度・人柄・テーブルマナーの確認の機会として活用されています。ディナーに誘われるタイミングも企業によりけりですが、ボスキャリ2〜3週間前の三次面接の前後で誘われることが多かったです。前述したようにボスキャリのイベントは金土日ですが、ディナーはDay0(木曜日)に開催されることもあります。
海外大生の就活の流れ(私の場合)
大学2回生の冬に就活を始めました。元々アメリカで就職するつもりでしたが、IT産業の採用市場の冷え込みを目の当たりにし、バックアッププランとして日本での就職先を確保しておこうと考えたことがきっかけです。2年生の春にLAキャリがあるのでそれを面接練習の機会とし、3年生の秋のボスキャリを本番としたスケジュールになります。
LAキャリ(2023年3月/当時大学2年生)
バラマキ用のレジュメのみ作成し参加しました。レジュメの詳細については後述。ウォークインで外資メーカーからはサマーインターンのオファーを頂き、内資IT企業からは内定を頂きました。参加したディナーで一緒になって連絡先だけ交換した友人と、後のボスキャリで再開するのはまた別のお話。ネットワークは大事だなぁと思いました。こちらは当時のものではなく1年後(2024年4月/当時大学3回生)のツイートです。
ここからは、順不同であり、ボスキャリ本番までに再三行いました。
ネットワーキング
Twitterでつよつよ国内就活生をフォローし始めました。彼らは隠語を使うので最初はどこの企業の話をしているのか分かりませんでしたが、絵文字も単純明快なものが多いです。また就活を始める前からTwitterでは既にインダストリーで働いている方をフォローしていましたが、これは大きなアドバンテージになりました。業界の最新情報やトレンドを常に把握することができましたし、彼らの実体験やアドバイスを直接聞くことができ、自分の視座を高める貴重な機会となりました。ただ、新卒就活ビジネスをしているような胡散臭いアカウントには注意が必要です。
リアルでは、学校のJSAや就活支援団体のイベントに通い始めました。就活は情報戦なので広いネットワークがあると有利ですし、深い話ができる親しい友人がいることはメンタルヘルスに良い影響を与えます。
自己分析
私は時折内省をするタイプのため、就活においては特段何もしていません。就活界隈では「モチベーションの源泉」というキーワードをよく耳にしますが、自身がある行動をしたときに何故そうしたんだろう?と何故を繰り返し自問自答することは大切だと思います。
企業分析
私は終活後に知りましたが、ここから就活をスタートすると自己分析きっかけになって良さそうです。いい会社はどこにある?という分厚い本が渡邉正裕さんより出ています。YouTubeでも充分詳しく解説されています。動画内では以下が紹介されており、どれも参考になりました。
有価証券報告書
サステナビリティ報告書
ESGデータブック
女性活躍推進企業データベース
私はHR企業が出している業界地図でざっくり業界知識や関係企業について調べました。その後、就職四季報や会社四季報、経済産業省のホワイトペーパなどを読みました。オープンワークでは社員の口コミ、OpenMoney、OpenSalary、levels.fyiなどではレベルや給与テーブルも見ていました。完全エンタメですが、一流企業に入ってモテたい男子は恋愛四季報というサイトを見てみると良いかもしれません。
企業選定
私は海外選考で就活を終えたかった為、ボスキャリ/LAキャリに参加する企業のみに絞っていました。以下は私が知る海外大生用の採用プラットフォーム・就活サポートサービスです。
CFN(ボスキャリ/LAキャリ)
iroots
BETAE
留学GO
TKF(ウルプネカ)
Jelper Club
アルファアドバイザーズ
外資就活ドットコム
ビズリーチキャンパス for 海外大生
CFNはボスキャリ、LAキャリを主催している企業です。irootsはソフトバンク、BETAEはサントリー、留学GOは東京ガス/デロイトサイバー/レバレジーズと繋がりがあるようですが、私の知る範囲ではそれらの企業に興味がなければ登録する必要はありません。TKFについては今年(2024年)が初めての海外大生サポートとのことですが、提携企業がボスキャリと被っているため付加価値は限定的です。私は今回特待生に選んでいただき3万5千円の特典を受けることになりますが、ボスキャリ直前の水・木曜日に開催されるためクラスを欠席してまで参加するほどの魅力は感じられませんでした。私は使いませんでしたがJelper Clubは海外大の中でも上位層に絞って展開しているようです。名前からも読み取れるように、特権的な環境を提供することを目指しているのでしょう。Twitterでボスキャリと調べれば常に上位にくるアルファアドバイザーズはよくわかりませんが、上記で唯一学生から集金する個別指導サービスのようです。外資就活は情報収集程度の利用に留め、ビズリーチキャンパスはOB/OG訪問を積極的にしなかった為利用しませんでした。尚、なお、私自身は選抜コミュニティには入りませんでした。
私の志望企業選定の詳細は省きますが、やりたいことがあること、カルチャーマッチ、同期の繋がりなどを重視しました。人生は時間配分であると考えるため、興味があり好きなことが仕事ならワークライフバランスを強く意識しなくても良いと感じます。また義憤を感じやすい性格のため、ボトムアップなカルチャーがあることも私にとっては大切です。そして海外大で日本人との繋がりが少ないため、同期が一定以上いることには価値があります。
やりたいことが特にない方は、高給かつ有名で入るのが難しい企業に入るのが良いのではないでしょうか。これは思考停止ではなく、レジュメ上の錯覚資産になるからです。また良い同期に恵まれる可能性も高いです。ただ自分の実態以上に社会的に評価された会社に入るのは危険な場合があります。Twitter金融界隈を騒がせたイワテキくんのように、年収の良い会社に入っても激務だと肉体的にも精神的にも疲弊します。キャリアに万人にとっての正解はないので就活においてのTier表や就活偏差値などは気にしすぎず、持続可能な幸福を手に入れることを考えてください。
履歴書
CFNレジュメ(自己PR)について、上限6000字ですがそんなに書く必要はありません。特に日系大手はCFNサイトから応募したとしても自社のマイページからエントリーとなるので、CFNレジュメはそもそも見られていないこともあります。とはいえ少しは書いておくと良いでしょう。CFNレジュメは日本語と英語の2つありますが、私は日本語の方は文章で、英語の方は箇条書きで用意しました。
また、印刷したCFNレジュメはオーガナイズされていないので、ウォークイン時のレジュメは別途ペライチ表のみで用意する必要があります。私はアメリカ就活用のレジュメを日本語に直したものをバラマキ用に15枚くらい持っていきました。内容としては要約、職歴、学歴、スキルの4つのセクションに加え、GitHubとLinkedInのURLも記述しました。志望度の高い企業の中途採用の募集要項を見てどのようなスキルを求められるかを確認し、そのスキルを付けた上でレジュメに書いていました。米国就活で必須のATS(Applicant Tracking System)レジュメスクリーンは日式就活にはないのでキーワードマッチは過度に意識する必要はありません。
インターンシップ(2023年夏/当時大学2年)
長期のサマーインターンに加えて、日本の複数Daysのインターンにも参加しました。最初は懐疑的でしたが、インターンを経由しないと本選考を受けれない企業(例年ボスキャリに出店していたが25卒は国内選考のみ)が存在したためです。対面だったので夏休みに日本に一時帰国しましたが、大人のキッザニアだと思って楽しめました。尚、半分会社説明会のような1Dayインターンには参加するインセンティブは低いと思います。
OB訪問
マッチャー等のアプリは活用していませんが、以下の方法でネットワーキングを行いました。
LinkedInで学校のAlumniや志望企業の社員にコネクト
オンラインの会社説明会などで最後まで残って個別でLinkedInを交換
海外一人旅をしていた時に出会った友人にリコネクト
両親のネットワークを通じた紹介(最初は抵抗あったがアメリカでは普通のよう)
本選考事前応募
夏頃にボスキャリの参加企業にアプライしました。エントリーのタイミングには注意が必要で、私の経験ではある企業の社長が問題を起こした時期にエントリーしたところ、書類選考で不合格となりました。後日その企業の人事部と関係のある方から、当時は一時的に採用活動を停止していたと聞きました。その企業では同じ入社年度内での再応募が認められていないとのことで、運の要素もありますが日々のニュースをチェックし企業の動向を把握しておくことは重要です。
ES
一度マスターのガクチカ(3つ)、強み弱み、自分史をある程度の文字数で準備してしまえば後は転用できます。ガクチカはストーリー調かつフックとなるようなキーワードを入れ、多くの面接で疲れているであろう面接官が感情移入しやすいように作成しました。
元々文章作成は好きなので全く苦ではなかったですが、時間を取られる為ざっくり下書きを書いてからAIに投げてそれを添削していました。なんでも好きなAIを使うと良いですが、性能ランキングはChatbot Arenaで確認できます。個人的には、日本語添削にはClaudeを使用しています。また1日経って読み返すと不自然な文章構造になっていたりするので、良いESが書けたと思っても必ず一晩明けてから見直しをしていました。
Webテスト
海外大生は国内大生よりボーダーが低く設定されているとはいえ、中学受験を経験していなければ難儀するようです。私はスキマ時間に無料アプリで対策しましたが、真面目にやるならまとまった時間を確保して一冊の本を3周程度すると良いと思います。解答集も回っているので友人ゲーな気もします。複数の解答集をまとめて、自分だけのマスターを作ると良いでしょう。東大のパートナーに解いてもらっている人も結構いました。
グループディスカッション
GDはしたことがないので門外漢としての発想ですが、Zoomで名前の後ろに@ファシリとか付けると希望の役割が得れそうです。
事前面接(オンライン)
面接の30分前に企業ホームページやワンキャリアの過去の質問をさらっと見て心の準備をしていました。志望度の高い企業については本心で話せますが、面接練習として受けている企業については志望理由を忘れては大変なのでメモを開いたまま面接を受けました。
マインドセットとしては、面接官が自分の彼女の親だと思って会話していました。私は大人慣れしていた為緊張することはあまりありませんでしたが、笑顔は意識しました。また一次面接などの初期段階の面接官には若手社員が多く、彼ら自身に採用決定権がないケースが大半です。ナンバリングをするなど、メモを上手に取らせる話し方を意識しました。
海外大生だと日本語が出てこないこともあるかと思います。聞かれそうな質問を想像して、回答を声に出してみるという独り言は有効でした。Tipsですが、自分でも何を話しているか分からなくなったら「これ質問の答えになってますかね?」と聞いたり、質問とは別の話をしたいときは「別の角度で回答すると〜」と言っていました。
面接はマッチングであるため、落ちた場合は単に合わなかったと割り切るしかありません。私は年次の浅いキラキラ人事の女性とは相性が合わないことが多かったですが、年配の方には好かれるタイプなため大体一次面接を乗り切れば後は順調でした。
ボスキャリ(2023年11月/当時大学3年)
フロアが企業ブースと面接ブースに別れています。面接ブースの前のパイプ椅子で、パソコンに向かって準備した回答を最終確認する学生が異様に見えました。最後の最後まで嘘偽りをインストールしていたのだろうか。面接ブース内は、日式面接で容易に想像される、面接官が数人並んでいて求職者との距離が離れている形式ではなく、丸テーブルがあり面接官との距離がかなり近いです。物理的距離は心理的距離と比例するように、面接官との会話も非常に和やかでした。面接が始まる前にswagや日本のお菓子をくれて、企業側からもできるだけリラックスして素の自分を見たいという意向が感じ取れました。英語面接も特に変わったことは聞かれませんでした。以下は前述したボスキャリ時のツリーの一番最初のツイートです。
給料交渉
新卒での給料交渉は困難を極めますが、以下のポイントを持ち出して交渉しました。人事が相手だと通りづらいことが多かったですが、役員に直接交渉すると二つ返事で受け入れられることがありました。特に大手企業では断られましたが、ベンチャー企業やスタートアップだと柔軟に対応してくれることが多かったです。WorkCircle内で、口頭でオファーを貰った後年収交渉をするとオファーがなくなったという人がいたので、正式にオファーレター獲得後交渉を始めるのが得策です。
カウンターオファー
過去の職歴とその年収
アメリカの学費と奨学金返済
内定辞退
内定承諾期間が短い企業も、いつまでも待ってくれるという企業もありました。海外大生は真面目に承諾期間内に辞退の連絡をしがちですが、国内大生は全て取り敢えず承諾して企業の内定を複数保持しています。良心とのせめぎ合いもありますが、自身の意向が変わる可能性もあるのでじっくり悩んで決めることが大切だと思います。
総評
学業と並行して就活を進めるのは大変でしたが、なんとかマネージできました。振り返ってみるとなんともヘンテコな日式新卒就活でしたが、多くの素晴らしい出会いがあり貴重な経験となりました。
有料部分では、ボスキャリ/LAキャリにて累計8社よりディナーに招待していただいた経験を基に、どのようにキャリアフォーラムないしは就活というゲームを攻略したかをより詳細に記しました。有料記事のアジェンダはこちらです。
ディナー開催企業の見分け方
企業が求める人材像とは?採用担当者が重視するポイント
身だしなみのポイント
宿泊戦略
企業ブースハック
面接ブースハック
複数の企業から誘われた場合の対応
フォローアップ
就活ハック
補足
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