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無料でも手に入れられるものにぼくたちがお金を払う、8つの理由

人々は無料でも手に入るものになぜお金を払うのか、という簡単な疑問から始めてみることだ。
そして彼らが無料のものにお金を払うときに、本当は何を買っているのかと問いかけてみることだ。
※本中より引用


『〈インターネット〉の次に来るもの』を読んだ感想、第12回です!

▼第1回はコチラ


おとといのnoteで、『いまぼくたちにとって価値が高いのは、生産コストが低いもの(=コピーしやすいもの)ではなく、「意味」のあるものだ』という話を書きました。

きょうは先日書いたその『意味』についてもう少し深ぼって、一体どういう『意味』があるときに、僕たちはその商品なりサービスなりに価値を感じるのかについて、8つの要素に分けて書いていきます。


1.即時性

いま世の中は無料で大抵のものを手に入れることができます。

しかしそれでもぼくたちが、その(待てば)無料で手に入るものにお金を払うのは、そこにある『即時性』に価値を見出しているからです。

単に『時間』を買ってると言い換えてもいいかもしれないし、場合によっては『同時性』を買っていると言い換えてもいいかもしれません。

前者は、配達などで早めの日時を指定したら追加料金がかかるみたいな感じで、後者は例えば映画ですよね。

『天気の子』だって、来年には地上波で放送されて無料で視聴で切るはずですが、それでも1,500円なり1,800円なりを払って映画館に足を運ぶのは、『いま』話題になっている『天気の子』を見て、SNSでつぶやいたり、友達との会話にしたいからです。

そういう意味でぼくたちは、配達そのものや映画そのものにお金を払っているというより、その『時間』や『同時性』を買っていると言えます。


2.パーソナライズ

細かいサービス名は忘れてしまったんですが、けっこう前に月5,000円くらい払って、その人にピッタリの本が月に3冊くらい送られてくるみたいなサービスがあった気がします。そんな感じです。

あと昔からあるものでいうと、『オーダーメイド』もここに近いもので、市販品のものを買うよりオーダーメイドのほうが料金が高いのは、あれは例えば家具そのものにお金を払っているというより、自分の好みに合った家具を決めて作ってくれるという『パーソナライズ』に、お金を払っていると言えます。


3.解釈

NewsPicksっていうメディアがありますが、あのメディアが伸びた要因のいひとつに『プロピッカー制度』というものがあります。

各分野の専門家たちが、自分たちの分野のニュースに対して鋭いコメントをするというシステムです。

ここが、他のメディアとの差別化になった、そのコメント欄自体がひとつのコンテンツになっているという話は、よくされます。

これはまさに『解釈』がひとつの価値になっているわかりやすい例かなと思います。


4.信頼性

これはきのうの『「信用経済」という言葉をよく聞くようになった理由』というnoteと重なるところも多いというか、ほぼそのままなのですが、その商品やサービスの機能や値段ではなく、『信頼性』に価値を見出しているということです。

漫画村でも無料で漫画は読めますが、それでも課金したり単行本を買ったりしてその漫画を読む人のなかには、『信頼性』に対してお金を払っている人もいるはずです。

偽物じゃないとか、いざというときの保証がしっかりしてそうとか、そういったことにもぼくたちは価値を感じます。


5.アクセス可能性

『代わりに所有してもらってること』と言い換えてもいいかもしれません。

音楽のストリーミングサービスにしろ、ドロップボックスしろ、物保管サービスにしろ、自分で所有するのは面倒くさいから、代わりにサーバーなり物理的な倉庫なりで管理してもらってて、そしてぼくたちが取り出したいときには好きなときに取り出せるという『アクセス可能性』に、ぼくたちはお金を払っています。


6.実体化

ひとことで言うと『オフラインのイベント』です。

YouTubeで無料で曲は聴けますが、ぼくたちはお金を払ってライブを観に行くし、記事はいくらでも無料で読めますが、トークイベントにはお金を払って参加します。

そこで演奏される曲や、トークイベントで話される内容そのものというよりも、画面の中にいたひとが『実体化』して現れるというところに、ぼくたちは価値を感じるのです。


7.支援者

これはもう、単なる『応援』ですね。

ただその際には、かなり厳しい条件があると、本中で筆者は述べています。

しかし彼らがお金を出すには、かなり厳しい四つの条件がある。
1.支払いが非常に簡単であること、
2.額が妥当なこと、
3.払ったメリットが明快なこと、
4.自分の払ったお金が確実に直接クリエイターのためになっていることだ。
※本中より引用


8.発見可能性

いま、世の中に情報(≒コンテンツ)が溢れかえっています。

そのなかで、自分に合った情報を見つけるのは、至難の技です。

そこで『発見可能性』の高いサービスにお金を払うことによって、自分にあった情報を見つけやすくします。

例えばNetflixは、動画アルゴリズムの改良に、ものすごく力を入れてると聞きます。

どんな人がどんな作品をどのくらいの時間視聴したのかなどのデータを詳細に分析して、その人が次回以降にサイトを訪れた際や、他の人へのレコメンドなどに役立てます。

オリジナル作品でもない限り、ぼくたちがその動画サービスを使う理由はないわけですが、それでもぼくたちが動画サービスを使うのは、そこに蓄積されたデータによる『発見可能性』に価値を感じているからという側面もあるはずです。


ということで、単なる機能やコストではないところでぼくたちが価値を感じる、8つの要素の話でした!



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藤本 健太郎 / 編集者
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