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「信用経済」という言葉をよく聞くようになった理由

コピーが超潤沢にあるとき、それは無価値になる。
その代わり、コピーできないモノは、希少化して価値を持つ。
コピーが無料になると、コピーできないモノを売らなくてはならない。
※本中より引用


『〈インターネット〉の次に来るもの』を読んだ感想、第11回です!

▼第1回はコチラ!


きのうのnoteでは、『テクノロジーの発達によって生産(=コピー)コストが下がると、逆に生産コストの高い(且つ意味のあるもの)の価値が高まる』という話を書きました。

それで、きょうはこの『コピーできないものの価値』というところから、最近『信用経済』や『評価経済』という言葉がよく言われるようになった時代背景について、書いていきます!


数年前から、『信用経済』や『評価経済』といった言葉が頻繁に聞かれるようになりました。

(最近は『感謝経済』なんて言葉も聞きますが、きょうの本題から逸れるのでカット)

この『信用経済』や『評価経済』との比較対象となっているのが、いまの世の中の主流である『貨幣経済』です。

小銭やお札を払って価値を交換する、ぼくたちの日頃の行いです。


それで、実はぼく2年前にこんなブログを書いてるんですが、

(ちなみに『信用経済 とは』で検索すると、上から6番目くらいに出てきます!笑)


当時は、『信用経済』や『評価経済』といった言葉が流行っている背景として『信用や評価をストレートに数値化できるようになった』『そしてそれらを個人と紐付けてデータとして蓄積できるようになった』あたりのことを思いながら書きました。

ただ、今回この本を読んで、そういった周辺的な要素だけじゃなくて、単純に『信用』そのものの価値が上がっているからなのか!ということに気づきました。


なぜなら、『信用』はコピーできないからです。

1回人助けをしたからってそれを複製して10回人助けしたことにはできないし、信用をたくさん持っている友だちの信用を分けてもらうこともできません。

信用はとてもピュアで、希少で、価値が高いものなのです。


われわれは信用できる相手と付き合おうとするので、その恩恵を得るためなら追加の金額を払う。それを「ブランディング」と呼ぶ。
※本中より引用


以前、ブランディングとは、お客さんが「自分はありがたいけれど、彼らは損をしているな」と思うことというnoteを書いたことがあるんですが、『自分にとってはありがたいけど、一方で相手は損をしてそう』というのは、まさに『信用』を蓄積する行為そのものだったのです。

信用の価値が上がっている現代において、先に信用を獲得することさえできれば、後からマネタイズはいくらでもすることができます。

もう少し引用を続けます。

ブランド力のある会社は、そうでない会社と同じような製品やサービスにより高い値段を付けることができるが、それは彼らが約束するものが信用されているからだ。
信用が手に触れられないものである限り、コピーで飽和したこの世界では価値を増すのだ。
※本中より引用


ぼくはいままで、いわゆる『ブランド物』の意味が分かっていませんでした。

いや、言葉の意味は分かっていた(つもり)だったんですが、それを高いお金を出して嬉々として買う意味が分かりませんでした。

ただ、ちょっと前に{デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール}という本を読んで、こんなnoteを書きました。

そこでは、

ぼくたちは普段の生活のなかで、すべての選択においてイチイチ細かいスペックの比較検討をして、どれがいいか吟味するほどヒマじゃありません。
というか、そもそもぼくたちの大半の選択においてそういうことをしようという意欲がありません。
そこで『ブランド』があれば、消費者は脳のリソースを浪費することなく、意思決定をすることができるのです。
つまり、この『消費者の脳のリソース浪費を避けて意思決定を楽にしてあげた』ことに対する価値が1000万円の時計には含まれているのだなと学びました。
本中にあった『ブランドは私たちの情報処理機能を簡略化する、という社会的機能があるのです』という言葉が、すごくしっくりきました。

という書き方をしたんですが、引用中の『情報処理機能を簡略化する』ことこそ、まさに『信用』のなせる技だなと思いました。


ということで、いま『信用』という言葉がいたるところで聞かれる背景には、テクノロジーの進歩によって、コピーできるものの価値が小さくなっていくなか、『信用』はコピーのできない唯一無二のものだからだ!という話でした。



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藤本 健太郎
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