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スポーツ上達の近道
「ゴルフの力学」という、ゴルフスイングの機序を力学的な視点から解説した本がある。
著者は松本協さんという方で、ゴルフスイングを3Dで解析し、科学的に説明するアメリカの研究機関、Jacob 3D Golfの日本で唯一のオフィシャルアンバサダーを務められている。
(YouTubeチャンネルもあり、頻繁に更新されているので気になる人は要チェック。)
著者は本の中で、プロの美しいスイングをコピーできれば自分も同じようにゴルフが上手くなるという考えを否定している。
プロの美しいスイングはクラブに力学的に合理的な形で力を加えた結果として現れるものであり、形だけを真似ることが仮にできたとしても力学的な背景が伴っていなければボールは飛ばない。
プレーヤーが知るべきは、なぜそうなるのか、なぜプロのスイングが淀みなく見えるのか、キネマティックシークエンス*が酷似するのか、そのためには何が必要なのかである。
(* ゴルファーの出力をクラブヘッドに最も効率よく伝えていくカラダの順序・連鎖)
これで思い出したのが、学生時代陸上競技をやっていた頃のことである。私は走り高跳びを専門としていたのだが、当時の日本記録や世界陸上の動画を何度も見直してはトップレベルの選手の動きを真似しようとしていた。
高校2年生の時、全国大会を生で見る機会に恵まれた。それまで「トップレベルの選手の動きはどれも似ている」ものだと思い込んでいたのだが、実際の高校トップレベルの選手の試合を通して見ることで、個々の跳躍フォームの差が想像以上に大きいことに気がついた。
確かに個々の体格はそれぞれ違うわけで、結果として現れる跳躍フォームに個性が出るのは当然のことだ。
一方で、誰一人としてベリーロールやはさみ跳びで跳ぶ選手はおらず、皆揃って背面跳びという跳躍方法で跳ぶ。(走り高跳びといえば背面跳びのイメージをお持ちの方も多いだろう。)
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今思えば、個々の選手の飛び方を真似るよりも、背面跳びのメカニズムや、なぜそれが最も効率が良い跳び方なのか、ということをより深く考えるべきであった。
実際に大阪大学で活躍した真鍋選手は応用物理学を専攻、背面跳びの力学を研究対象としており、研究から得た結果を自分の競技を通して実証していた。(残念ながら出場は逃したものの、オリンピックの代表候補に選ばれるほどの選手であった。)
体を使うスポーツでもやはり頭で理解する、ということが上達には欠かせないのだろう。