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人材紹介における“量”の本質とその落とし穴
こんにちは!S hireの加藤です。
表題のテーマは同事業に従事する方に取っては、不可分な関係にあり決して切り離して考えることはできません。しかしながら、そこへの解像度があまり高くない事も事実です。
仕事や学習において、一定の量をこなすことは重要です。行動量が多ければ、それだけ経験が積み上がり、スタートラインに立つことができます。
しかし、単に量を追求するだけでは成長につながらず、むしろ弊害を生むこともあります。今回は、「量を重ねることの大切さ」と「安易に量に逃げることの危険性」について掘り下げ、両者をつなぐ考え方をまとめました。
ただ量をこなすだけでは成長できない理由
ひらめきやコツをつかむ瞬間は、努力を積み重ねた結果として突如訪れるものです。しかし、それは単純に量をこなせば得られるものではなく、考えながら行動することによって生まれます。だからこそ、量を継続する必要があります。
では逆のパターンはどうでしょうか。例えば、エージェント業において「推薦100件出せば必ず成功する、プロになれる」といった単純な公式は存在しません。また、何も考えずに業務をこなし、オペレーションを回しているだけでは、成果を上げたとしても自身の成長にはつながりません。
100件、200件、数千件の業務をこなしても、そこに学びがなければ、やがて限界が訪れ疲弊してしまいます。それが余計に成長を阻害し、この仕事から離れてしまう原因のほとんどだと考えます。
後ろ向きな取り組みは、テンションを下げ、学習やチャレンジにもブレーキを掛けてしまうため、ネガティブなスパイラルに陥ってしまいます。残念ながらこのパターンではひらめきは訪れず、楽しさも見出せません。
やはり最適に量をこなす上では、ポジティブな環境を意識的に作る必要があります。
考えながら行動することの重要性
上記のネガティブな状態とは逆に、大切なのは、場数を踏む中で試行錯誤しながら、徐々に自分なりの感覚を養い、ひとつひとつの行動を振り返り、チューニングや改善を繰り返すことです。成長実感を持ちながら行動することが、長期的に見て最も効果的です。
つまり、漫然とタスクをこなすのではなく、常に「なぜこの行動をするのか」「どのように改善できるか」といった視点を持って前進し結果につなげていく、再現性の確立が求められます。
みんな大好き大谷翔平選手も、考えながら楽しんで練習量をこなす天才です。
僕が一番練習しているとは思っていないですけれど、反復練習は本当に大事。練習って面白いんですよ。練習を通じて自分の長所や能力を『発見』することもそう。そういう『気づき』を得る瞬間があるのが練習の面白さ、醍醐味(だいごみ)ですね」と答えた。
また別の例えで、筋力トレーニングも重いものを持ってただ回数を重ねれば良いというわけではありません。目標と日々の記録から、最適な数値とフォームを導き出し、それを繰り返すことが最終的な成長を促します。
「組織で」量をこなす事に依存せず、質を高める工夫を
しかし、エージェント業おいては個人でその全てを完結させるのが難しいのが問題です。そこで組織の役割が重要になります。
管理職はただ量をやらせるだけでは意味はなく、量をやることを通してメンバーの「ひらめき」のお手伝いをしてあげないといけないと私は考えます。ここが結構雑なケースが多いです。
上司はメンバーの思考を引き出し、言語化や解決のサポートをする。
メンバーは自身の考えや課題を言語化し、管理職に伝えた上で、提案を実践し結果を検証する。成功すれば新たな引き出しが増え、失敗した場合(当然失敗もあります)は原因を分析し次の行動につなげる。管理職の提案精度が低ければ、再度自身のプレイングを強化し共に努力すべきです。
(プレイングから暫く遠ざかっている管理職が、今いる環境から飛び出た時に通用しなくなってしまう現象もこれが原因の一つです。)
ただコミットさせた量をやらせる、やったの関係性は本質的な信頼関係を生みません。何事も気合いは大事ですが、気合いだけのアクションは一時的なドーピングみたいなものです笑
その上で、
「管理職はメンバーを背負って早く前へ進める覚悟」
→管理することを目的にしては絶対にいけません。役割の理解が重要です。
「メンバーはその機会を増やすための個人行動をやり切る覚悟」
→メンバー育成は指導する側のスキルの問題でなんとかなる訳ではありません、メンバーのコーチャビリティが85%の要素を占めます。
その両輪が信頼感と成果、そして最適な成長につながるんだと双方で認識をしないといけません。これは管理職とメンバー両方に言える内容です。
日々の行動を通じて蓄積された経験が、やがてひらめきにつながります。そのひらめきを言語化し、再現性を持たせることで、成長のスピードを加速させることができます。そして独り立ちした経験を重ねた方は、バイアスに気をつける。そこを乗り越えて更にステップアップをする。
この流れが組織レベルで理解浸透ができていると、好循環を生み出し強さにつながると考えます。
まとめ
今回は、「量をこなすことの重要性」と「考えながら量をこなすことの大切さ」について掘り下げました。単に行動量を増やすだけではなく、試行錯誤を重ね、自分なりの気づきを得ることで成長が加速します。
また、個人としてはもちろん、組織としても「ただ量をこなすこと」が目的にならないようにする工夫が求められます。管理職はメンバーの思考を引き出し、適切なフィードバックを与えることで、行動量の質を向上させる役割を果たすべきです。一方で、メンバーはただ指示された量をこなすのではなく、「なぜこの行動をするのか」「どう改善すべきか」を常に考えながら実践していくことが重要です。
結局のところ、成長を生み出すのは「行動量 × 質の高いフィードバック × 振り返り」の掛け算です。本質的に量をこなし、質を磨き、成長を楽しみましょう!