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日本発のレッスンスタディを通した公教育改革をカンボジア中に、世界中に広めたい。そのために、SALASUSUの仲間になってください!

SALASUSUではいま、僕らの活動を支えてくれる仲間を熱烈に募集している。
そのために今回は、SALASUSUがいま行なっていること、めざしていることを改めて伝えようと思う。

いま、カンボジアが抱える教育課題

僕が代表を務めているSALASUSUはカンボジアで公教育改革を目指すNGOである。SALASUSUという名前はカンボジア語で「頑張るための学校」という意味を持つ。「SALA」は学校、「SUSU」は人に「頑張って」と声をかける時に使う言葉だ。

僕たちは、カンボジアのすべての教室が、子どもにとって安心して学びに夢中になれる場所であってほしいと願っている。しかし、現状はとてもそうとは言えない。僕たちが観察した中学校の授業で、ある子どもはグループワークにまったく参加できず取り残されていた。何も学べていないまま、それを悟らせないように目線を落としずっと固まっている時間。そんな時間を経験する子どもたちを1人でも減らしたい。

誰もが「自分が学びの主人公だ」と思える学校。ほかの子どもたちとつながって支え合い、学ぶことを楽しめている時間。それを用意することが、子どもたちの権利と尊厳を守ることなのだと思っている。他者とともに夢中で学び合った経験は、長い人生の旅を楽しむための心の糧になるだろう。

この30年で、カンボジアではさまざまな教育改革が行われ、公教育へのアクセスは急速に改善した。一方で、10歳時点で適切な読み書きができる子どもの割合は10%と、学びの質は低いままだ。そして、この問題を解決するための最も根本的で、最も改革が進んでいない領域が、現職教師の能力開発をどう支えていくか、というところである。

1975 - 1979年にポル・ポト政権下で起きたカンボジア大虐殺という暗い歴史の中で、教師が75%虐殺されたとする統計がある。熟達した専門家になるために長年の研鑽が必要となる教師の多くが失われたことは、今もなおカンボジアに暗い影を落としている。カンボジアでも過去20年以上にわたって「子ども中心の学習」が必要であると認識されてきたが、十分な教育ノウハウの蓄積がないため実現できていないのが現状だ。

教師同士が学び合い、生徒から学ぶ力を育てる「レッスンスタディ(授業研究)」

こうした状況の中で僕たちが大事だと思っていることが2つある。教師が学べていない・孤立している子どもたちに気づき、その姿から学ぶ力を伸ばすこと、教師が学校の中でお互いを支え合う「コミュニティ」を形成することだ。

繋がれない、学べない瞬間に気付き、そこから学べるか

そのために僕たちは、カンボジアの公立学校に向けて「レッスンスタディ(授業研究)」を提供している。これは、授業中に子どもたちがどう学んでいたかを振り返り、教師同士で対話するワークショップで、日本発の学校改革手法だ。

同僚の授業の中で学ぶ生徒達を複数の教師で観察し、どんな場面で生徒の学びが起き、または起きなかったかをみてそこから学ぶ。授業後の教師のワークショップで教師自身が学んだことをほかの教師たちと対話し、さらに学びを深める。

生徒の姿から学ぶことは想像以上に難しい。しかし何度も何度もレッスンスタディを重ねていくと、参加している教師の発言が少しずつ変化し、ワークショップも活発になってくる。
そうして初めて、教室が、授業が変わっていくのだ。

授業中の子どもの観察と、教師同士の対話を中心としたワークショップ

多人数に行う授業は複雑であり、正解のやり方も100通りある。そのため、学校や教師に対し「誰かが考えた良い授業案」を押しつけてもあまり効果はない。大事なのは、一つ一つ毎回違う教室・子どもたちに対応していける教師の専門性を高めることと、授業づくりを支え合う仲間がいることだと僕たちは考える。子どもたちが学び続けられる学校をつくりたければ、まず教師が安心して学べる環境をつくる必要があるのだ。

僕たちは、カンボジア中の公立学校を回ってレッスンスタディを通じて教師の変容を支えるチームと、自分たちがカンボジアで運営する実験校で教育研究者とともに研究するチーム、2つのチームの活動によって実践を行っている。実験校は2024年1月に仮オープンし、SALASUSUが雇用するカンボジア人の教師たちが「誰も取り残されない教室」づくりを実現するために学び合い、実践することができると証明できた。

実験校についての様子は是非こちらを参照のこと↓

また2022年から労働省傘下の職業訓練校で、2023年から教育省傘下の公立学校、その中でも特に重要拠点である教員養成大学附属小学校・中学校にてレッスンスタディをお手伝いさせていただいている。導入した全ての学校で80%以上の教師が「レッスンスタディを行った後、授業を改善している」と回答してくれていて、実際に教師が子どもから学ぶ力にもポジティブな変化が見えている。

写真は実験校での授業の様子だ。ほかの子どもたちと支え合いながら難しい問題に取り組み、すごくいい表情で笑っている。こんな光景を、今後もたくさん生み出していきたい。

そのためにSALASUSUは今後、展開する学校数を増やしていくことに挑戦する。

世界中の子どもたちが「学ぶ喜び」を実感できるように

自社の実験校での理論実証が進んできたので、現在SALASUSUは公立学校での改革モデル創出に力を入れて取り組んでいる。目標は、その成果を10年間でおよそ200校の重点州の学校に展開すること。そうすれば少なくとも10年間で20万人の子どもたちに学びとつながりというポジティブな影響を起こすことができる。しかし一方で、それでもなお、カンボジアの学校のたった2%にしか過ぎない。

カンボジア中の教室を変えるためには、少なくとも全体の15%というティッピングポイントにあたる1500校に改革の手を広げていかなくてはいけない。それはSALASUSU単体でできることではなく、政策化して政府と協働することが必須となる。モデル校でのデータを研究し、そのエビデンスを元に政策をつくる。その政策の実行においては、僕たちSALASUSUは中間支援団体として、政府や研究者、さまざまなNGOを支援していくことになるだろう。

それだけ多くの学校に実践を広げられたら、カンボジア全体の学びの貧困率を大きく20%ほどに下げることも夢ではなく、「誰も取り残されない教室」が当たり前に実現できるという認識がカンボジアに広がっていく。

僕たちはこの活動をカンボジア以外の国にも広げていけると考えている。「公教育をどう改善していくか」は世界中の重要な課題であるためだ。

1つのNGOがこれだけ公教育改革に関われる国はほかにない。いわば、公教育改革特区とでもいうようなカンボジアで、日本を発祥とするレッスンスタディを通じて公教育改革を成功させ、世界に輸出していけたら、世界中の子どもたちが学ぶ喜び、授業を通してほかの子どもたちとつながる喜びを実感し、人生の旅を楽しめるようになるかもしれない。そんな世界をつくっていきたいと考えている。

SALASUSUが挑戦する旅を応援する仲間になってほしい

しかしそのためにはもっと仲間が必要だ。僕たちは活動を支えてくれる仲間を、切実に求めている。

僕たちの事業、研究、政策づくり、どれをとっても収入をつくることが難しく、特に実験校の方は寄付を中心として運営していくことになる。そしてそのためのお金が、正直に言って今全く足りていない。スタッフの給与も十分ではない状態だ。もし僕たちの活動やめざしているものに価値を感じてくれたなら、どうかSALASUSUが挑戦する旅を応援する仲間になってもらえないだろうか。

月々1000円からのサポーター会員になっていただける方、寄付をいただける方、インターンやボランティアで力を貸していただける方、共に世界の助成金や寄付を集めていただける方。たくさんの人の助けを借りて、これからの15年、学校を変える取り組みを進めていきたいと思う。

「誰も取り残さない教室」をカンボジア中に、世界中に広めるために。SALASUSUを、どうかよろしくお願いします。

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