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【知は力なり🔥】為替レートの決定理論と応用モデルの解説:国際金融論💖No.5

今後、定期的に投稿していく
【国際金融論】シリーズにおいては
私が現在学習している内容である
「国際経済学の分野」について学んだことを
アウトプットしていきたいと思います👍

本日もご覧にいただき誠にありがとうございます💗


前回の記事は、こちらになります
ぜひお復習いにご活用ください🔥


はじめに:モデルの導入前に

開放経済における対外取引は、財・サービスに係る「経常取引:Current Account」と、金融資産に係る「資本取引:Capital Account」に大別されるということは、こちらの記事で解説しています💖

これらの取引の根本的な相違点は、次の2点です

  1. 資本取引の単位費用が、経常取引の単位費用より小さいこと

  2. 資本取引の所要時間が、経常取引の所要時間より短いこと

これらの相違から、国際取引に障壁(=資本規制や取引数量制限、莫大な取引費用の存在など)がない場合
内外の資産市場はほぼ常時均衡状態にあると見なせますが
内外の財(サービス含む)市場は必ずしも均衡状態にあるとは限らないのです
資本の移動というのは、時間が掛かることが多いです

「金融市場における資本」とは少しニュアンスが違うかもしれませんが、材市場における資本を考えるみます
工場や家を建てる時間が1年以上掛かるケースが多いことに対して、鉄鋼原料が貿易される時間は相対的に短いというイメージで良いと思います📝

短期と長期の違いについて

今一度、ここで「長期と短期の違い」について確認しましょう
国際マクロ経済学における「長期」とは、財市場と資産市場の両者が均衡状態 に達する期間を指します
その一方で「短期」とは、瞬時に均衡状態に達する資産市場のみが均衡す る期間を示していると理解してください

私が解説する内容は、内外の財市場・資産市場が共に均衡状態にある場合の為替レートの決定理論 を取り扱うことにします

以下では、まず為替レートの均衡に関する古典的な概念である
「購買力平価説」および購買力平価と密接な関係にある
「実質為替レート」について説明することを試みます

その次、貨幣市場に着目した為替レートの長期均衡理論である
「マネタリー・アプローチ(貨幣接近)」について考察してみようと思います

また、購買力平価説およびマネタリー・アプローチに基づく為替レートの実証分析についても言及します

そして、私が卒業論文を執筆するときに留意点を指摘しながら理解を深めていくことにします💝

為替レートの長期的均衡モデル:Part④

為替レートの決定理論について、これから丁寧に解説していきたいと思います
長期均衡モデルで大切なことは「財・資産両市場の均衡」を考慮することにあります

短期とはまた異なる視点を持っていることは
上記で解説いたしましたが
まずは長期のモデルから順番に解説していきたいと思います

登場する記号一覧は、以下の通りです

$$
P_i : the  price  of  No.i  good    \\
S : Local  currency  exchange  rate \\
{P_i}^* : the  price  of  No.i  foreign  good \\
( i = 1, …, n )\\
* :  Foreign  Country's  symbol \\
P_T : Tradable  Goods \\
P_N: Non  tradable  Goods \\
\alpha_ i :the  weight  of  Tradable  goods  price\\ at  general  price  level  P \\
$$

(4)バラッサ=サミュエルソン効果


実物経済に大きな構造変化がある場合に、長期的な傾向として実質為替レートが新しい水準へ移動することがあります

経済における実質変数の変化が実質為替レートに与える影響の代表的な例として、貿易財と非貿易財の生産性の変化が、相対価格を通じて与える影響 (バラッサ=サミュエルソン効果)が挙げられます

Pt 、Pn をそれぞれ貿易財価格、非貿易財価格として考えていくことにしましょう💖
外国財の価格に(スター*)を付けて表すと、 貿易財における購買力平価は以下の通り定式化されることになります

小文字かつ^の表記は、対数値を取って、時間で微分したことによる近似値を表しています

$$
PPP  for  Tradable  Goods: \\
P_T = S  \times { P_T }^*   \\
---------\\
also,   the   change   rate\\
\hat{p_t}  =  \hat{s} + \hat{p_t}^* ・・・(1)
$$

ここで、一般的な価格水準 P における貿易財価格のウェイトをαで表すことにしましょう

つまり、以下のように非貿易財も交えた定式化を考えます
なお、この式以降は相対的購買力平価の関係で考えていくことにしましょう
すなわち、時間を通じた変化率での議論を展開していくということです

$$
\hat{p} = \alpha{\hat{p_T}}+ (1-\alpha)\hat{p_N} : Domestic・・・(2)\\
\hat{p^*} = \alpha^*{\hat{p_T}^*}+(1-\alpha^*)\hat{p_N}^*:Foreign・・・(3)
$$

上の式(2)&(3)を、自国と外国の貿易財の相対的時間増加率を表す値について連立させた式を整理して
(1)式に代入すると、以下の式が導かれます

$$
Balassa  Samuelson  Effect:\\ \hat{re}
=\hat{s} + \hat {p^*} - \hat{p} \\
=(1-\alpha^*)({\hat{p_N}}^*- {\hat{p_T}}^*)\\     - (1-\alpha)(\hat{p_N}- \hat{p_T})・・・(4)
$$

バラッササミュエルソン効果を示す式(4)を導出することができましたね👍

ここから大切なのは式(4)のインプリケーションの理解です
ここで1つのケースを考えましょう👀

自国の貿易財の生産性上昇や非貿易財への需要のシフトに伴って貿易財の相対価格が下落(非貿易財の相対価格が上昇)したと想定します

このとき(4)式の2項目「国内における非貿易財の相対的時間変化率と貿易財の相対的時間変化率の差」が正(+)となりますね

したがって、外国で の貿易財・非貿易財の相対価格が不変であれば、実質為替レートは下落(増価)することとなるのです

バラッササミュエルソン効果は存在する?

貿易財の生産性上昇に伴う実質為替レートの増価は、高度成長期における日本において実際に観察された現象であるそうです💖

IMFのデータより・・・

我が国日本において、1957 年以来の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(WPI)の水準を示されています

そこでは相対的に非貿易財のウェイトが高い消費者物価の増加率が、高度成長期を通じて卸売物価の増加率を大きく上回っているこ とがわかるのです
この結果、CPIを用いて算出した実質為替レートは、同時期において大きく切り上がることとなることが確認されました


バラッサ=サミュエルソン効果(Balassa=Samuelson Effect)とは、貿易財部門の生産性上昇率の高い国では、一般物価水準が外国と比べて上昇すると同時に、実質為替相場が増価する効果
ということを確認できましたね💖

本日の解説は以上とします
バラッササミュエルソン効果について
ご理解いただけましたでしょうか?
貿易財と非貿易財の関係を用いて為替レートの決定理論を説明することはとても興味深いですよね👍

次回は、マネタリーアプローチについて解説します
長期的な為替レートの決定理論について、いよいよクライマックスになってきたような気がしますね🔥
為替レートについて理解すれば、きっと理解できる経済の範囲が広がるはずです✨

For You:マガジンのご紹介🌟

こちらのマガジンにて
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています

また、経済学理論集などは
こちらをぜひご覧ください💖


今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚


Ending:最後までご愛読いただき誠に有難うございます!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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