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【円安のデメリット💦】「金融引き締めを急ぐ海外」と「金融緩和を貫く日本」とのすれ違い:日経新聞解説🌟 2023/09/12

日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖

長いですが、目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!


介入後も消えぬ円安圧力 日米金利差15年ぶり水準、繰り返せば効果薄く

 政府・日銀が24年ぶりの円買い介入に動いても外国為替市場には円安圧力が根強く残っている。世界的な金融引き締めの流れのなかで日本は金融緩和を貫き、短期金利がマイナス水準に「水没」する主要国で唯一の国になったためだ。
日本単独の介入は繰り返すほど効果が衰える可能性が高く、為替介入の資金(きょうのことば)にも限りがある。円安を巡る政策対応のジレンマは一段と鮮明になっている。

 「介入に踏み切ったことにやや驚いている。円安のサイクルを断ち切りたかったのだろう」。22日の円買い介入を受け、オランダ金融大手INGのグローバル市場責任者、クリス・ターナー氏はメモにこう記した。

 同日のニューヨーク市場では円相場は朝方、一時1ドル=140円台前半まで円高方向に振れた。ところが、その後はじりじりと円売り圧力に押され、結局、142円台前半で取引を終えた。23日のロンドン市場では143円台を付けた。

 円売り圧力の原因は「金融引き締めを急ぐ海外」と「金融緩和を貫く日本」という対比にある。

 主要国を見渡すと、2021年末には欧州の金利は中長期も含めて大部分がマイナスに沈み、米国もゼロ金利の状況だった。
各国が利上げを急いだ結果、状況は一変した。22日にはスイスでも8年近くにわたるマイナス金利政策が終わり、金利が「水没」し続けるのは日本だけになった。

 米国では昨年末に0.7%だった2年物国債利回りが4.2%台に上昇し、日米の金利差は15年ぶりの水準にある。22~23日も一段と拡大した。金利差拡大のスピードも速い。03~05年には金利差が1%台から4%台に広がるのに2年以上を費やしたが、今回は8カ月しかかからなかった。

 政府は介入の理由に「投機」を挙げる。もっとも「投機」の背景には、内外での金融政策や金利の方向性の違いという明確な理由がある。

 日銀は回復が鈍い景気を支えるため金融緩和を貫く構えだ。22日には輸入コストが膨らみ資金需要が高まる企業も支援しようと、通常の資金供給の上限もなくすことを決めた。
だが原材料の輸入価格の上昇は円安の影響が増している。金融緩和が浸透するほど円安が進み、輸入価格を押し上げて資金需要がさらに高まる――。そんな円安の悪循環すら起きかねない。

 内外金利差に加え貿易赤字の拡大、個人マネーの海外志向といった状況がある以上、介入だけで円安の流れを反転させるのは難しい。過去には介入を繰り返すほど効果が薄れることが多かった。

 JPモルガンのベンジャミン・シャティール氏らは22日のリポートで「1990年代後半の日本の介入から得た教訓は、市場の初期反応が最も大きくなりがちであること」と指摘し、「今回も結局、無駄な介入に終わる」との見方を示した。

 日銀が金融緩和で景気を支え、政府が財政政策で物価高の痛みを和らげる。急激な円安には財務省が介入に動く。政策当局の役割分担は明確だ。だが日銀が金融緩和を続けるほど円安が進み、海外発の輸入インフレに拍車をかけかねない。

 介入は米利上げが一巡するまでの「時間稼ぎ」に過ぎない。インフレ圧力が続けば、利上げ局面も長引く。円安のデメリットを少しでも抑えるような政策協調(ポリシーミックス)の見直しを急ぐ必要がありそうだ。
(金融政策・市場エディター 大塚節雄、佐伯遼、中元大輔)

2022/09/24 日本経済新聞 朝刊 3ページ

記事に対するコメント📝

約1年前の記事を日経新聞から取り上げてみました

昨年の今頃は、新型コロナショックからの経済回復の一途で、ロシア-ウクライナ戦争やアメリカ経済の強いインフレーション、サプライチェーン分断による供給ショック、日米金利差を主たる要因とする日本の輸入物価の高騰などが次々と発生し、グローバル経済の乱れが顕在化したように思います

国内外金利差に加え貿易赤字の拡大、個人マネーの海外志向といった状況がある以上、介入だけで円安の流れを反転させるのは難しかったことは事実です

過去には介入を繰り返すほど、為替レートに与える効果が薄れることが多かったという先行研究が残っていることも事実です

為替レートの決定理論🌟

今回の投稿では「為替レートの決定理論」をメインにアウトプットします

為替ショックの識別をするためには、為替レートの決定理論として金利平価説および購買力平価説について整理することが必要です
なお、これら2つの理論についてご興味のある方は、以下のサイトなどをご覧いただけますと幸いです👏

1:金利平価✨

金利平価説に基づく為替レートの決定メカニズムとしては以下のような考えができます

比較的、短期的なスパンを想定した上で、資本の移動を考慮しています
そして、投資家の金利裁定取引によって、国内資本市場と外国資本市場の資本収益率が一致する、と仮定して導かれる均衡条件から、為替レートが決まるというものになります

また、為替リスクのヘッジを考慮せず、先物取引によるカバーを行わない場 合には、カバーなし金利平価説(Uncovered Interest Parity)として (1) 式が成立することになります

$$
\\Uncovered  Interest  Parity\\         \\1+i_t = (1+i_t^*)\times{\large\frac{S^e_{t+1}}{S_t}}\cdot\cdot\cdot (1)\\    \\S_t:spot  exchange  rate \\S_{t+1}^e:Expected   exchange  rate\\i_t:Domestic  interest  rate \\i_t^*:Foreign  exchange  rate
$$

ここで S は直物レート(spot exchange rate)、S_{t+1}^e は予想為替レート、i は国内利子率、i* は外国利子率を表していることを補足します

また、UIP(1)式を前提にすると、為替レートの期待変化率は、両国の金利差に等しいことになります🌟
この関係を以下、(2)式で表しています

$$
\\\Delta S   according  to   UIP\\    \\i_t-i_t^* = log(S_{t+1}^e)-log(S_t)\cdot\cdot\cdot(2)
$$

この式のインプリケーションは以下の通りです
合理的期待形成のもとで、予想為替レートが翌期の直物レートと一致する場合、(2)式は、為替レートの変化率が内外金利差で説明可能であることを示しています👏

すなわち、金利平価説は自国の利子率が上昇した場合、他の要因を一定とすれば、為替レートの変化率が拡大することを示唆しているのです

それでは、実際のデータをみてみることにしましょう💖

2023/09/11 21:04 閲覧

現実のデータにおいても、内外金利差が拡大すると、 対ドルで為替レートの変化率が拡大する関係にあることが示唆されているように見受けられますね👍
アメリカ経済の金利が上がれば、ドル💵で資産を保有すればその収益率は相対的に上がりますから、合理的に考えても円💴を売り、ドル💵を買うインセンティブが発生すると言えますね

2:購買力平価

購買力平価の考え方は、一物一価の法則に基づきます

まず、絶対的購買力平価説(Absolute Purchasing Power Parity、以下絶対的 PPP)では、同一の財であれば世界中どこでも同一価格が成立していることを仮定しています

これは(3)式で定式化したいと思います

$$
\\Absolute  Purchasing  Power  Parity: PPP  \\ 
  \\{\large S_t}={\large\frac{P_t}{P_t^*}} \cdot\cdot\cdot (3) \\
$$

ここで P は自国の物価水準、P*は外国の物価水準を表します

ただし、絶対的PPPは、一物一価が成立するまで裁定取引が行われことを前提としているものの、現実の経済活動においては輸送費、関税・非関税障壁、不完全競争等によってこの前提が成立するとは限りません💦

それに対して、相対的購買力平価仮説(Relative Purchasing Power Parity、以下相対的PPP)では、絶対的PPPが少なくとも物価水準の変化率において成立すると考えます(以下(4)式)

$$
\\Relative  Purchasing  Power  Parity\\     \\{\large \frac{\Delta S}{S}= \frac{\Delta P}{P}- \frac{\Delta P^*}{P^*}}\cdot\cdot\cdot(4)
$$

相対的PPP:(4)式の下では、為替レートの変化率は、自国の物価上 昇率から外国の物価上昇率の差分に等しくなることがわかります

2023/09/11 22:09 閲覧


消費者物価と企業物価で測った購買力平価とドル円レートの推移を上に示しています
このグラフより、ドル円レートは、短期的には購買力平価が示唆する水準からは乖離をみせるものの、 中期的には購買力平価の周りで推移していることが見受けられますね👀

上記の議論を総括すると、金利平価説が短期的な資本移動に着目しているのに対して、購買力平価説は長期的な一物一価に着目しているということが大きなポイントになります📝

本日の解説はここまでとします
経済の動向をより理解するための基礎教養として
為替レートの決定理論を理解することは
非常に大切なことであると思います

付録:私の卒論研究テーマについて🔖

私は「為替介入の実証分析」をテーマに
卒業論文を執筆しようと考えています📝

日本経済を考えたときに、為替レートによって
貿易取引や経常収支が変化したり
株や証券、債権といった金融資産の収益率が
変化したりと日本経済と為替レートとは
切っても切れない縁があるのです💝
(円💴だけに・・・)

経済ショックによって
為替レートが変化すると
その影響は私たちの生活に大きく影響します

だからこそ、為替レートの安定性を
担保するような為替介入はマクロ経済政策に
おいても非常に重要な意義を持っていると
推測しています

決して学部生が楽して執筆できる簡単なテーマを選択しているわけでは無いと信じています

ただ、この卒業論文をやり切ることが
私の学生生活の集大成となることは事実なので
最後までコツコツと取り組んで参ります🔥

今後も経済学理論集ならびに
社会課題に対する経済学的視点による説明など
有意義な内容を発信できるように努めてまいりますので、何卒宜しくお願いします🥺

マガジンのご紹介🔔

こちらに24卒としての私の就職活動体験記をまとめたマガジンをご紹介させていただきます👍
様々な観点から就職活動について考察していますので、ご一読いただけますと幸いです

改めて、就職活動は
本当に「ご縁」だと感じました🍀

だからこそ、ご縁を大切
そして、選んだ道を正解にできるよう
これからも努力していきたいなと思います🔥
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚

こちらのマガジンにて
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています

今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参ります

最後までご愛読いただき誠に有難うございます!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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