「スタンフォード式疲れない体」をさらに細かく見てみよう。今回は「世界最新の疲労予防IAPメソッド」について
「スタンフォード式疲れない体」内容紹介の2回目になります。
この本を読んで無い方は1回目の「疲労発生のメカニズム 編」を読んでからこの記事を読み進めた方がわかります。
では今回は"世界最新の疲労予防「IAP」メソッド"について紹介していきます。
■スタンフォードスポーツ医局が取り組む「疲労対策」
まず「IAP」って何?と思います。
僕も思いました。
IAPとは、Intra Abdominal pressure の略で和訳は「腹腔内圧(腹圧)」です。
お腹の中には内臓を収める空間があり、この空間の圧力が「IAP」です。
前回の記事の最後で "「IAP呼吸法」を身に付けると疲れにくいカラダになる" と書きました。
その「IAP呼吸法」とは、息を吸う時も吐く時もお腹の中の圧力を高めてお腹周りを硬くする呼吸法で、お腹周りを固くしたまま息を吐ききるのが特徴です。
このIAP呼吸法は腹式呼吸と似ていますが、IAP呼吸法はお腹をへこませることはありませんが、腹式呼吸はお腹をへこませます。
腹式呼吸で息を吐くとお腹がへこみますが、これは腹圧を弱めることになってしまいます。
なので「似て非なるもの」なのです。
さて、IAP呼吸法をすると次のような効果が期待できます。
・腹圧が高まることで体の中心がしっかり安定する。
・体幹と脊柱が安定すると、正しい姿勢になる。
・正しい姿勢になると、中枢神経と体の連携がスムーズになる。
・中枢神経と体の連携がスムーズになると、体がベストポジションになる。
・体がベストポジションになると、無理な動きがなくなる。
・無理な動きがなくなると、体のパフォーマンスレベルが上がり疲労が防げる
実践した僕もこれは感じました。
走る時のフォームは安定し、「キレイ」と言われることが多くなりました。
まだペースをあげるとフォームが乱れ、疲れやすい気がします。
しかしサブスリーペースであれば、正しいフォームのままフルマラソンを走りきる自信はあります。
あとは疲労が溜まってきてフォームが乱れた時にIAP呼吸法をやる余裕ができるようになれば、体制を持ち直すことができると思います。
ただ、このIAP呼吸法は自然にするのは難しいです。
僕もまだ意識しないとできません。
身に付けるのもトレーニングが必要ですが、この身に付けるトレーニングこそがIAP呼吸法とも言えます。
そしてIAP呼吸法をマスターするために目を向けたい筋肉があります。
それは横隔膜です。
肋骨に囲まれていて、呼吸するのに大事な筋肉です。
この横隔膜の可動力が極めて重要になってきます。
詳しいトレーニング方法はイラスト付きで説明があります(P80~81)。
わかりやすいし簡単ですので、IAP呼吸法を身につけたい方はもちろん、体幹が弱い方にもオススメです。
呼吸は平均で1分間に12~20回しています。
無意識に行っている呼吸ですが、24時間換算すると相当な回数になります。
その呼吸の一部をIAP呼吸法にするだけでも体は変わってくるのです。
とにかくお腹を固く膨らませることを意識しようと本文に書かれています。
■「体のコントロール」を正して疲労をブロックする
どんな人にも共通する「最適で効率のいい体の使い方」無いだろうかというところからIAPという考え方が生まれています。
チェコにあるプラグスクールというところでは、スクール開校依頼IAPが重視されているそうです。
なぜなら、人はみな、赤ん坊の時に「お腹の圧力を保ったまま呼吸」していたからです。
乳児期に腹圧呼吸をすることで体が徐々に安定し始め、首が据わり、寝返りが打てるようになり立てるようになるというわけです。
これこそが「効率のいい体の使い方」であると書かれています。
それで、IAP呼吸法で腹圧を意識的に高めて体の中心を安定させ、中枢神経からの指令の伝達経路をしっかり整えられれば、疲れない体ができてくるということになります。
■収縮筋を伸ばして「本来の疲れない姿」を取り戻す
著者は「背が高い人になりなさい」といっています。
ここでいう背が高い人とは実際の身長よりも背が高く見える人のことをいいます。
体幹と脊柱をしっかり安定させて正しい姿勢が保てれば著者がいう「背が高い人」でいられます。
しかし、筋肉が収縮してしまうと背を高く見せることはできません。
お腹を引っ込める呼吸をしながら練習すると筋肉がより収縮してしまいます。
さらに腰痛を引き起こす原因にもなります。
そのため筋肉を伸ばすIAP呼吸法を意識すれば、逆の結果が得られるということになります。
■「細胞レベル」で疲労に強い体になる
疲れる体になっている人は肋骨の位置が次のようになっています。
・胸骨の一番下と左右の肋骨の一番出ているところを結んだ角度が90度を超える人
・肋骨の下部が、飛び出ているような人
そして、このような人は呼吸が浅い胸呼吸をしているのです。
胸呼吸は姿勢が崩れるなどデメリットの方が大きいというのが実情。
そこでIAP呼吸法を取り入れられるようにすれば、体を正しい状態に導くことができます。
そのため寝る前などにIAP呼吸法をするとリカバリーされやすい体になります。
細胞の自然治癒力が上がるので、疲労から回復しやすいということにも繋がってくるのです。
■まとめ
疲れない体にするためには赤ん坊の時にしていた腹圧をあげる呼吸を身につけれるのが一番。
そのためにはIAP呼吸法を身に付ける必要があるということになります。
それを身に付けることで素早く疲労を回復させるリカバリー法を身に付けることに繋がってくるということになります。