2023年をコンパクトにまとめると、スポーツカメラマンとして現場復帰を果たしたものの、体調を崩し戦線を離脱した。 スポーツ報道の現場は過酷だ。とにかく試合が長いとか、暑いやら寒いやらとか、機材は重いのに最寄り駅から遠いとか、あまりいいところなんかない。おまけにすごく儲かるわけでもない(これは人によりますが)。 それでも写真を撮り続けてこられたのは、ひたすらにいいシーンを撮りたい一心で仕事に向き合ってきたからだと思う。「写真を見てくれる人」のために。 フォトエージェン
写真を仕事にしていると、依頼主は「ちゃんと撮れて当たり前だろう」と思うものだ。例えば、飲食店に行って、注文通りの食べものや飲みものが運ばれてくる感覚と同じである。 ところが、写真がオーダー通りに写せるかどうかの不確実性は、実際のところ高いと思われる。想定されうる理由を挙げればキリがないが、機材の故障、天気や室内環境に何かしら異変が発生すること、撮影時間が突如短縮される、あるいはその機会が極端に減らされることなど、である。 撮影の仕事に従事し、お金を貰う以上「何も撮れ
写真を撮る日々が続いている。降りかかってくる仕事をこなすのに必死の毎日だ。撮影以外のことを考える時間が失われていることに気づいた筆者は、ちょっと危機感を覚えた。 そこで数年ぶりに地元の図書館を訪れたのである。 ひと通り写真集のコーナーを歩き回り、名作をパラパラと眺める。動物の写真、風景の写真などなど。 筆者が好きなのはドキュメンタリー作品だ。ちなみに一時期図書館でよく借りていたお気に入りの1冊は、写真家・長倉洋海氏の『シルクロードの子どもたち』(2009年、毎日新聞
今夏からフォトエージェンシーのカメラマンとして撮影現場に戻ってきた。 以前は室内競技(バスケットボールやバレーボール)が中心だったが、サッカーもラグビーも陸上も水泳も、ありとあらゆる競技を撮影するようになった。まだまだ不慣れなことが多いが、日々の撮影は発見の連続で「カメラマンしているなあ」としみじみ思う。 春まで勤務していた出版社では「制作ディレクター」という肩書きで出版物の制作に携わっていた。 制作は長い企画会議を経て、台割を決めるところから始まる。なお、台割が