図書館での過ごし方
写真を撮る日々が続いている。降りかかってくる仕事をこなすのに必死の毎日だ。撮影以外のことを考える時間が失われていることに気づいた筆者は、ちょっと危機感を覚えた。
そこで数年ぶりに地元の図書館を訪れたのである。
ひと通り写真集のコーナーを歩き回り、名作をパラパラと眺める。動物の写真、風景の写真などなど。
筆者が好きなのはドキュメンタリー作品だ。ちなみに一時期図書館でよく借りていたお気に入りの1冊は、写真家・長倉洋海氏の『シルクロードの子どもたち』(2009年、毎日新聞社)だ。やさしい視点で撮ったのだろうと推察される。写真に添えられるテキストも洗練されている。
さて、歴史の書架では、近現代史や郷土史(自分が住む周辺地域)が好きだ。中でも郷土の古い写真を集めた本はなかなか興味深い。過去に関する文章を丁寧に読むのも大切だが、ビジュアルで理解するのも歴史研究のひとつの方法であると思う。
ずいぶん前になるが、殺風景な野原に伸びる国道の写真を見たことがある。我が家の近くを通るその道について、祖父は「家から〇〇まで車で15分で行けたよ」(今では1時間以上かかる)と豪語していた。
数十年前の国道は交通量も少なく、快適にドライブができたのだろう。一枚の写真と祖父の思い出話がリンクした瞬間だった。歴史の面白さってそんな些細で身近なところにあるのかもしれないと思う。
久しぶりの図書館訪問で忘れかけていたことを思い出した。「ああ、自分ってこんな人間だった」と。また写真を撮らなきゃ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?