明鏡止水とミラーニューロン
明鏡止水とは、心に邪念がなく、明るく澄みきった心境のたとえです。
手拭いや団旗、部旗に書かれているのをよく見かけるのではないでしょうか。竹刀袋や袴の腰板に刺繍している人も見かけます。
私もいつか、鏡のように何もかもを写し出せるような、清らかな心の持ち主になりたいものです。近江米新品種の水稲「みずかがみ」のように強く。
段別選手権に学ぶ
先日、滋賀県剣道連盟が主催する段別選手権に参加……
する息子の送迎と見学をしました。息子は三段の部に出場して3位だったのですが、表彰されず。出場者が少なかったために表彰は2位までとのこと。残念です。
段別選手権は、下記5つの部門がありました。
初二段の部
三段の部
四段の部
五段の部
六段以上の部
四段以上はどの試合も見応えがありましたが、やはり六段以上の部はとくに見ていて勉強になります。
六段以上の部といっても、出場者の多くは30代の六段、七段の方々です。
もちろん、私は出場しませんでした。
「どうせ若い人ばっかりなんでしょ。30代の人と試合しても秒殺されて終わりやわ……」
などと考えていたからです。もう、心が淀み切っています。大雨の後の琵琶湖よりも汚れ荒んでいました。
しかし、出場者の中には少ないながらも私と同年代(50代)の方や70代の方もいらっしゃいました。
先に結果をお伝えしますと、優勝は昨年全日本剣道選手権でベスト8になられた三雲選手。さすがです。
「きっと、圧倒的な強さなんやろな」
と思い、1回戦から全試合を見ていたのですが……
三雲選手の1回戦、私と同年代の方との対戦でした。延長に次ぐ延長。どちらも良いところを打っているものの、なかなか有効打突につながりません。
「1回戦から良い試合を見られたなぁ~。僕も頑張ろ!」
三雲選手の2回戦は、70代の選手です。
「いやいや、さすがにこれは、ねえ……」
そう思いながらじっくり観戦。予想外にも、めちゃくちゃ良い試合です。簡単に決まると予想していた私が本当に恥ずかしい。
試合は三雲選手の勝利でしたが、相手の選手も年齢を感じさせない剣風です。何気なく全剣連のホームページを見ると、6月3日に開催された第46回 全日本高齢者武道大会(剣道)のA組(70歳-74歳)で3位に入賞されている方でした。
全国3位かよっ!!(心の声)
強いはずです。
精神力が、戦の神オーディン級であることは間違いありません。
年齢を言い訳にしていた自分を、本当に恥ずかしく思います。穴があったら入りたい。否、穴を掘ってでも入りたい気分です。地球の裏側まで。
大会を最後までじっくり観戦し、うずうずしながら帰宅。夜の稽古が待ち遠しいとはこのことです。
これがミラーニューロン効果か
70代の教士七段のT先生に稽古をお願いしました。いつもはかなり打たれます。心がボッキボキに折れるほど、再起不能になるほどの打たれ具合です。T先生は、構えた時点で圧倒的威圧感のある先生。体も大きいので太刀打ちできません。
しかし、初太刀から5本ほど、私の竹刀が打突部位を捉えました。3年に一度の大売出し状態のびっくり展開です。その後は何本か打たれましたが、稽古後のT先生の一言は……
「今日はいつもと全然違いましたね」
へへん!
「強い人の試合を見ていただけで強くなった」そんな経験をした人も多いのではないでしょうか。気のせいではありません。
それが、ミラーニューロン。
3ポイントシュートの映像を見ていただけで3ポイントシュートが打てるよになるらしいです。(ちょっと大袈裟)
その後、最近実力をメキメキ付けている女性との稽古でも、一本も打たれませんでした。圧倒的ミラーニューロンです。こんなことができたのは、私の心が鏡のように澄んでいたからに違いありません。
なんと美しい心の持ち主なのでしょう……
きっと、金の斧も、銀の斧も、金銀小判も持ち帰り放題だったはず。
じつは、ミラーニューロンの活動を行う神経細胞は、馬も多く持っているらしいという情報を入手しました。ソースは岸田奈美さんの『国道沿いで、だいじょうぶ100回』。
岸田奈美さんのエッセイは面白いだけでなく、多くの気づきがあるのでおすすめです。涙あり、笑いあり。NHKのドラマにもなっています。ちなみにここ数年、NHKは全日本剣道選手権しか見たことがありません。
引用した部分は、「馬を引っ張って歩く」というだけの話。たったそれだけなのに、心にぶっ刺さりました。何か、抜けない銛のようなものが。
自分の文法は相手に通じない
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