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朝食探しの散歩

10年前、最後にナイジェリアに来た時の記憶のひとつとして食パンの美味しさが色濃く残っている。
あの重量感と甘みが強いパンを探しに、ナイジェリアについて3週間経った今、ほぼ毎日朝あのパンを探しに散歩に出かけている。

ナイジェリアの朝は、食べ物がいっぱい出てくる。特に道端の至る所に、ドーナッツやミートパイ、沖縄のサーターアンダギーに似たアカラという甘い揚げパンみたいなのが揚げたてで出てくる。
辛いソースが中に入ったバージョンもある。
また、現地仕様の激辛トマトソースパスタ、そして焼きたてパン売りの少女達が出てくる。

パン売りの少女たちは、日本の食パン2斤分のパンを直径60センチ程の円盤状のアルミ製おぼんに50個程積んで、それを頭に乗せて朝早くから売りさばいている。
しかも、7時頃に見つけられるとまだ出来たてホヤホヤで温かい。
この温かいパンはまだ切られておらず、手でつまんで食べたり、常温バターにもはやディッブして食べるのがめちゃくちゃ美味しい。

父が言うには、このパン売り少女たちはイスラム系ナイジェリア民族、ハウザ族の場合が多くヒジャブを巻いていることが多いという。

でも、パン売りの少女を見つけるのは難しく、
見つけられても温かいのはさらにレア。
見つけられないと、結局アカラやミートパイに終わることになる。
もしくは、市販の食パンをやむなく買う。
けど、この市販の食パンも小麦粉が多いのか、練りっけが強く、手に持つとやっぱり重みがあって、バターが練り込まれていてめっちゃ美味しい。
ただ、手作りの温かいパンには勝てない。

そんなことで、ココ最近毎日パン探しに朝出かけている。

街中を外国人がしょっちゅう同じ時間にで歩き始めると、自然と近所の人達が顔を覚え始めて、
“oyibo! how far! Good morning”(白いお兄ちゃん、元気かい?おはよう!)
と声をかけてくれるようになる。
この間アカラを頂いたお母さんは、揚げたてのアカラを持って”Oyibo~”と遠くから呼んでくれる。
今日は、さすがに胃もたれ続きで、「また今度」と手を振りながら返した。

面白いのが、昼間に売るお弁当の仕込みをするおばちゃんやそれを運ぶ別のおばちゃん、採れたてのパイナップルやオレンジ、りんごにサトウキビを指定の売り場(これも道端)に運ぶお兄ちゃんも道を見渡すと忙しく動いているのが見える。

夕方になると、鉄や瓶の売買をする青年が小さな鉄棒や瓶で音を立てながら近所を練り歩く。
音を鳴らすことで、周りに知らせて集客をしているそう。

高速道路やバス停近辺に行くと、黄色いタクシー・バスの他に、通りかかった普通乗用車の運転手が窓から行き先を叫んで、集客をしている。彼らも自分の目的地までの間であいのり的な事で小遣い稼ぎをする。

人々のおおらかさや懸命にお金を工面する姿勢を見るのが、実はパン以上に楽しみで、外に出かけてしまうのかもしれない。

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