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中国行ったらぜひ食べたい現地のガチ中華ラーメンVol.5(東方地方編)

中国のガチ中華ラーメンを紹介する5回目は江蘇省と上海市のラーメンを紹介したいと思います。
江蘇省は南京を首都とする水源豊か都で、東洋のベニスとも言われ、東洋美を体現する中華庭園も沢山見れます。
上海は中国でも金融が最も発達している国際豊かな都市で、海外・国内から様々な人が魅了され、上海にやって来ます。
私も仕事しながら上海に居ましたが、上海は本当に居心地が良い都市で、「魔都」と呼ばれる理由もなんなとく理解できます。
そんな地域で庶民に親しまれてきたラーメンを本日は紹介します。


上海の「葱油拌面」

上海葱油拌面

上海市民が昔から食べてきたラーメンは「上海葱油拌面」。
葱油=ネギ油、拌面=混ぜ麺を意味し、つまり、ネギ油そばとなります。
「上海葱油拌面」の特徴は香りが非常に良いことです。
テーブルに運ばれる前から香ばしい匂いが漂い、麺を混ぜる際にも揚げたネギの匂いが食欲をそそります。
油そばのため油濃さはどうしてもあるけど、なぜか飽きないおいしさがあります。
ネギを揚げた匂いがすると、思い出して食べたくなるラーメンです。

上海のネギ油そばの麺は気軽に購入できる

「上海葱油拌面」の麺はお馴染みの鹹水(かんすい)麺です。
鹹水麺を程よい硬さに茹でた後、水に少し浸して冷やし、麺のコシを出すようにします。
鹹水麺は中国で簡単に購入できますので、家庭でネギ油そばを作る人もいます。
お店によっては平たい麺でも食べれて、私はそっちの方がおいしいと思います。

具材は甘みと香りが良い青ネギと干しエビ

具材も青ネギ、干しエビだけと非常にシンプル。
青ネギを満遍なく使うことがで香ばしさが引き立ちます。
青ネギを白ネギと青ネギに分けて切り、白ネギは混ぜタレの素に使用します。
干しエビは大振りのものを使い、黄酒と生姜を入れ、蒸し器でお酒と生姜がエビに染み込むまで蒸します。
下ごしらえの白ネギで揚げた油に蒸した干しエビを入れ、軽く揚げれば完成。
干しエビの中にほんのりネギの甘みが感じられます。
最後に、その油で青ネギをサクサク、シナシナになるまで揚げ、黄色味が出たら、全ての食材は完了。

ネギを油で炒める

スープがなくても箸は進むネギ油そば

油そばのため、ラーメンスープはありませんが、混ぜタレはこだわります。
切った白ネギに玉ねぎを加え、黄金色になるまで揚げたら、油だけを残す。
油は全部使わずに適度の量にして中国醤油と砂糖を入れて、弱火で煮込み、沸騰したら完成。

あっさり味のスープがセットの葱油拌面

タレもネギをふんだんに使っているので香ばしさと甘みがよく出ており、上海料理の特徴とも言えます。
このネギ油のタレとコシがある麺を混ぜ合わせると、結構箸が進んでしまうのです。
油そばなので基本は味が濃い目のため、あっさり味のスープを出してくれるお店もあります。
上記の写真は干しエビのネギ油そばが売り切れになったので肉丝葱油拌面に変更。

食べれるエリア

本場の「葱油拌面」を味わうならやはり上海市内がベストです。
上海市内にある路面店から豪華な上海レストランまでいろんなでお店で注文できます

上海の名店「沧浪亭」の外観

私は路面店で食べるのが好きで、お昼時によく行きました。
18元(365円)から注文可能。

江蘇省の「苏式汤面」

赤スープに「焖肉」を加えた蘇州麺

蘇州博物館で深遠な中国文化に触れた後に、「苏州评弹」(蘇州の弾き語り)の優しい音色を聞き、最後に蘇州麺のどこか懐かしく温かい味を味わい、古風な蘇州街をゆっくり散歩できると最高な1日になると言われました。

蘇州の弾き語り

上海は比較的歴史が浅い都市ですが、江蘇省の蘇州市春秋戦国時代からあるため、伝統的な中国風の建築物と文化が今でも脈々と生活の中に生きています。

蘇州の街並み

蘇州麺も約250年(諸説では約900年も)の歴史の中で蘇州人の胃袋を満足させ、今日では江南文化を代表するグルメとなっています。

蘇州麺の麺は美しい

麺を湯切りする際、麺を回すように湯切りし、ラガーボール状にする。
そして、麺が観音様の髪型に似ていることから、蘇州ではこの並べ方を「观音头(観音頭)」と言います。
麺の状態がラガーボール状、かつ並びが美しいことが蘇州麺の特徴です。

「浇头」というラーメンとは別で注文する具材

浇=注ぐ、头=頭を意味し、「浇头」とはすでに盛られているご飯や麺におかずを加えるという意味です。
この「浇头」とにかくは多種多様で、300〜518種類(ギネス記録)もあります。
今回は代表的なものを中心に「爆鱼」、「焖肉」、「虾仁」、「咸菜」、「鳝丝」を紹介します。

蘇州料理で有名な松鶴楼の蘇州麺と多種多様な「浇头」

「爆鱼」・・・江蘇省オリジナルな具材。魚の骨と内臓を取った後、油で揚げ、中国醤油で漬けたもの
「焖肉」・・・日本で言うとチャーシューです。
                          切りやすくするために調理してあるため、冷菜類です。
「虾仁」・・・川エビの殻を剥いて、茹でたもの。小ぶりでも甘みがあります
「咸菜」・・・日本で言うと高菜です。ただし、味は甘め。
「鳝丝」・・・タウナギを中国醤油で炒めたもの。
        江蘇省、上海市一帯ではタウナギがよく食べられています。
また、「浇头」を注文する際にもいろんなアレンジがあります。
「底浇」= 具材をラーメンの底に入れてもらうこと
「过桥」= 具材とラーメンが別々に用意されていること
「现炒」= あらかじめ用意された具材ではなく、注文してから調理をしてもらうもの
などオリジナルな食べ方が作れます。
最初は「浇头」を調理済みのものを3種類、注文は「过桥」で別々にして、麺と具材をそれぞれ楽しむが初心者におすすめです。

「吃面靠汤、唱戏靠腔」 蘇州麺はスープが大事

「吃面靠汤、唱戏靠腔」という言葉は蘇州人の考えををよく表しています。
直訳すると吃面靠汤=ラーメンはスープが全て、唱戏靠腔=演劇は声が全て。
蘇州麺のスープは確かにこだわっており、「红汤(赤スープ)」と「白汤(白スープ)」を選べるようになっています。
赤スープは豚骨、鶏骨、タウナギの煮込み出汁を中心に中国醤油、白酒などを入れたもの。味はコクがあってほんのり甘め。白スープはアヒルと青ネギを弱火で数時間コトコト煮込んスープ。味はあっさり塩味。

アヒルの旨みを凝縮した白スープの蘇州麺

食べれるエリア

歴史情緒がある場所で蘇州麺を食べるとグッと雰囲気が増すので、おすすめは蘇州市です。
蘇州麺をオーダーする際は、麺は麺、具材は具材で別々に注文するため、麺だけを頼むと本当に麺しか出てこないため、ご注意ください。
また、ラーメンのどんぶりもこだわるのが蘇州麺。
伝統的な蘇州麺は青磁器を使うところが多いので、磁器が好きな方は磁器の実用性も体験できます。
麺、具材、スープ、器から蘇州人の繊細さが垣間見える蘇州麺をぜひお試しください。

中国でラーメンの王様と言われる「蟹黄面」

この写真の蟹黄面は1杯250元(約5,000円)

最後に紹介するのは「蟹黄面」という上海蟹のみそと肉を惜しげもなく使ったラーメンです。
上海蟹の食べ頃は毎年10月〜12月でまさにこれからがシーズン。
食べたことがある方はわかるかもしれませんが、上海蟹はおいしいのですが肉を取るのが結構大変。

おいしいけど食べるのが大変な上海蟹

その煩わしさを省いてくれるの今回の「蟹黄面」です。

上海蟹みそを入れた特製麺もある

麺は中国各地で見られる鹹水(かんすい)麺がメインですが、高級レストランではこの鹹水麺に蟹みそを交え、上海蟹麺を提供してくれる場合もありますので贅沢できるならそれを選びたいところです。

「蟹黄面」は上海蟹を贅沢に使用

上海蟹みそ麺は元々、蘇州の「秃黄油面」というラーメンが発祥でした。
「秃黄油」とは「蟹みそだけ」を意味し、この上海蟹のみそだけを使ったのが始まりでした。

上海蟹のみそと肉

このラーメンが江蘇省近辺の都市でも広がり、上海で蟹の肉も入れるようになったのが現在の上海蟹みそラーメンです。
1匹の上海蟹から取れる食べる量は多くないため、1杯の上海蟹みそラーメンの中には贅沢にも沢山の上海蟹が使われています。

スープも具材も上海蟹づくし

生姜を油で揚げた後、そこに上海蟹の殻を入れ、蟹風味の油を作る。
蟹油ができたのち、蟹みそと蟹肉をたっぷり入れ弱火で煮る。
味付けに塩、砂糖、胡椒、ブランデー少量も追加し、香りを引き立て、最後に片栗粉を少々追加。

食べれるエリア

上海蟹みそラーメンが食べれるエリアは上海、蘇州、杭州一帯で食べれますが、おすすめは蘇州と上海市です
上海蟹は一応年中食べれますが、旬はやはり10月〜12月なので、時期を逃さないようにご留意ください。

終わりに

中国は広い国土を有するが各地域の風習と言葉は本当に様々です。
江蘇省の弾き語りは江蘇省の言語で弾くので、正直私にも聞き取れないのですが、響くは上品さを感じます。
江蘇省の弾き語りは宋王朝から伝わる演目で、今日でも若い人が伝統的な題目をベースに自分独自のスタイルを築こうとしています。
ラーメンも同じようにこだわりとアレンジの範囲があって、固定化せずに失敗を繰り返しながらも邁進する姿勢が感じ取れます。
次回は東北エリアの中華ガチラーメンを紹介します。
最後までお読みいただきありがとうございました!

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