見出し画像

【分析してみた】”良い”教育に必要なコトとは? part2


分析してみた

”良い”教育に必要なコトとは何か?をまたまたデータの観点から分析してみましたのでシェアしてみます。

どの立場からモノ言ってんの?というのを示すのは大切な気がするので自己紹介すると、、、日々仕事ではBtoBマーケティングに携わっていて、データ分析のチカラを使っています。日本にある何十万以上の企業の情報を分析して自社商材に興味を持っているお客様を探したり、webサイトやメルマガを分析してお客様に役立つコンテンツを作ったりしています。

ゴリゴリの文系出身なので分析が好きなわけじゃないんですが、事実を正しく知ることは目的地に最短で到達するために必要なコトの1つなんだろうなという想いのもと、渋々長年向き合っています。

プライベートでは子供が通う幼稚園で役員をやっていたり、小中高でスポット的に授業やそのサポート(金融経済教育、ITサポーターなどなど)をやっていたり、教育の現場になるべく足を運ぶようにしています。事実を知るには自分の目で見て肌で感じるのが重要という想いのもと、現場感を大切にしています。

子供が産まれたときは1ヶ月ですが育休を取って妻の実家にお世話になり育児修行をするなど、それなりに教育に興味を持って行動している人間だと思っています。

そんなデータ分析+教育現場の感覚を交えて”良い”教育に必要なコトって何だろうという課題に向き合ってみたのでシェアしてみます。

結論=自治体予算のうち「子育て+教育」が15%を超えると教育施策の成果を得やすい


まずは結論をシンプルに言うと・・・

問い ▶ ”良い”教育に必要なコトとは?
答え ▶ 自治体の予算のうち「子育て+教育」の割合が15%以上であること

です。あくまでデータ分析による結論であり、また後述しますが良し悪しの基準は自治体担当者の主観です。


”良し悪し”とはそもそも個人の価値観に基づくものであり、かつ他との相対的な比較です。なので主語を「自分の家族や子供にとって」としたときと、客観的・俯瞰的なものとしたときとは必ずしも合致しません。合致しないそのギャップこそ意志であり個性・多様性とも言えます。

なので”良し悪し”を決めつけるものでは無いですが、あくまで1つのデータから見えた傾向として分析結果をシェアします。

データ分析結果によると、「子育て+教育」の予算が15%以上の自治体ほど教育施策の成果が得やすいという結論になります。

 横軸:総予算のうち「子育て+教育」予算が15~19%の自治体の割合
 縦軸:自治体担当者が教育の成果を実感しているか

ややこしい書き方をしていますが、緑の点1つ1つはある基準でひとくくりにした数十の自治体のカタマリを示しています。

例えば一番左下の緑点の横軸は、そのカタマリの中で「子育て+教育」予算を15~19%かけている自治体が5%程度ということを示しています。逆に一番右上の緑点のカタマリで「子育て+教育予算」を15~19%かけているのは40%くらいいると示しています。

縦軸はその自治体のカタマリがどれだけ教育施策の成果を感じているか自己評価の大きさを示しています。

💡補足
本来であれば自治体ごとの予算×教育成果のデータがあれば分かりやすかったのですが、どうやら教育の成果に関するデータは公開されているものが少なく、、やむを得ずややこしいアプローチで分析しています。


予算をかけられるほど教育施策の成果を感じやすいのは当りまえ・・と思いますよね。でもデータから読み解くと全ての場合でそう言えるわけでは無さそうなのです。

先ほどの基準、自治体予算全体のうち「子育て+教育」予算が15~19%というのを10~14%に変更してみると↓のようなグラフになります。

予算をかけることと教育施策の成果を感じられることの関係性が全くといっていいほど見えなくなるのです。

2つのモノゴトの関係性を示す統計指標である相関係数は0.08、統計的には全く関係性が見えないと言えるレベルです。

以上を踏まえると、自治体の教育施策で成果を感じられるレベルに達するには、総予算のうち「子育て+教育」予算の割合が15%以上必要という考察ができます。

理由=良い教育には一定水準以上のお金・プラスアルファの教育必要?


理由としては以下のような仮説構造が考えられます。これは単なる想像なので数値的根拠はまだありません。

  • 教育にはお金が必要 ➡ その内訳は固定費と変動費がある

  • 固定費 ➡ 学校の建物や設備の維持費、教師1人あたりの給料など ➡ 教育実施のために最低限かかるもの

  • 変動費 ➡ 学習高度化のための教材・機器、教師以外のサポートスタッフの給料、補助的な教育プログラム費用 ➡ プラスアルファの教育実施のためにかかるもの

とある小学校でボランティアしてみて初めて知ったのですが、小学校の授業で教室に立っている大人は教師1人だけではありません。サポーターと呼ばれる、授業を円滑に進めれるようサポートするスタッフがいます。もちろん地域・自治体によって違いがあると思いますが、私がサポートした東京のある区の学校はそうでした。

先生の役割は授業の進行・教科書に沿った教育です。一方でサポーターの役割は集中力が切れた生徒を見つけ授業参加を促したり、授業についていけない生徒の心のケアをしたり、精神面で生徒をフォローしているように感じました。

加えて私はITサポーターとして生徒のPC操作や先生の校務システムの操作サポートを行いました。つまり合計3人の大人が教室で生徒と向き合っていたのです。私が小学生だった1990年前後は先生1人が常識だったので驚きました。

このような手厚いケアには当然人件費がかかります。必要な人間が1人から2人になれば、単純計算で人件費は2倍になります(教師とサポーターとでは給与が違うのかもしれませんが)。そんな人件費を少しでも抑えつつも子供たちに与える教育や精神的サポートの質を向上したい、、そんな想いから企業にボランティアを求めている。そんな学校の苦渋の取り組みを現場からは感じました。

分析に使っているのは「ベネッセ教育総合研究所」のデータ


今回の分析に使っているデータはベネッセ教育総合研究所の「明日の子育て・教育を考える」です。日本を代表する教育関連企業であるベネッセコーポレーションが運営する研究所の調査なので、一定の信頼性があるデータだと考えられます。

「明日の子育て・教育を考える」調査2023~全国の市区町村長を対象に~
調査の目的
地域の子育て・教育に関する施策や、首長の方々の想い・願いなどを調査し、今と未来を生きる子どもたちのよりよい成長のあり方とその環境づくりを考える基礎資料とする
■調査概要
・調査テーマ:全国の地方自治体における子育て・教育の実態と首長の意識
・調査対象:全国の自治体455
・調査時期:2023年3月

出典:ベネッセ教育総合研究所「明日の子育て・教育を考える」調査2023

このデータの注意点は、あくまで自治体担当者向けのアンケートである点です。以下のような点に留意が必要です。

  • 自治体担当者向けである ➡ 親や生徒の意見はデータに直接的に反映されていない

  • アンケートである ➡ 客観的・定量的なものではなく、主観的・定性的な回答を数値化したものである

  • 特定のタイミング(2023年)の瞬間的な情報である ➡ 長期的な成果や影響がどこまで含まれているか不明

教育の良し悪しを測るために使えそうな客観的かつ定量的なデータを日本のさまざまなwebサイトを巡って探してみましたが、論理的な分析に使えそうなものはありませんでした。

例えば総務省 統計局に教育関連のデータはありますが、中身は都道府県別の学校・教師の数などであり教育の結果どんな成果や影響が産まれたかを推測できるようなデータは見当たりませんでした。

こんなデータがあるから分析してみたら教育に関する理解が深まるかも!?というものがあればコメントもらえると嬉しいです。分析して深掘ってみるかもしれません。

まとめ

”良い”教育に必要なコトとは何か、マーケティングで得たノウハウをもとに分析してみました。
マーケティングや事業経営など仕事はもちろん、人生においても事実を正しく知り、それをもとに適切な行動の量を増やし、未来を自分の手で変えることは大切です。
自分なりの子供の教育との向き合い方を発信してみましたが、どこかの誰かにとっても役立つ情報であれば嬉しいです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?