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Nº104 イタリア語検定 1級・2級を受ける人は、QCERについて知っておきましょう

 イタリア語検定の2023年秋の期日が10月1日(日)に迫ってきていますね

 イタリア語検定では最上級が1級、その次が2級ですが、今回はその2つのクラスの受検者および合格済みの方にしっておいてほしい、QCERについて簡単にまとめてみました

 イタリア語検定以外にも、CILSやPLIDAなど、イタリア語スキルの証明的な試験にはいくつかあります

 その背景も含めて知った上で、みなさんが自分のニーズに合うものを(今後)受検できるよう、この記事もその一助になれば幸いです

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 QCERとは、イタリアでは Quadro comune などとも呼ばれている、第二言語習得スキルを評価するための共通フレームワークのことです

 たとえば日本には、英語のスキルを図るときに、英検はもちろんTOEICやTOEFLなどいくつも試験があります
 これらの試験は文部科学省が発表している通り、QCER(英語ではCEFRと呼ばれますが同じものを指す)を参照して(軸足を置いて)問題が作られています
 このことで、英検の準1級合格者とTOEICのスコアが820点の人とでスキルの高低(または同じくらい)の比較が客観的に行いやすくなったりします

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 さて、この点、イタリア語検定はどうでしょうか
 イタリア語検定は、検定事務局の発言(掲示板上の書き込み)によれば、イタリア語検定1級がC2というQCERの最上級に分類されるとのことです
 ただし、2級以下についてはそれらがQCERのいずれのレベルに相当するのかが公式HPや事務局の掲示板には見当たらないので、どういう扱いにされているのかは不明です

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 さて、そんなことよりもここで考えたいのは、QCERに準拠した試験内容にするには、ざっくり理解しただけでもわかるくらい膨大な作業を要するということです

 たとえば、同じイタリア語スキルを測定する試験であるCILSのホームページには、CILSがQCERに準拠した試験であるために彼らがどんなワーキングを行なってきたか、が載っています
 簡単にいうと、まず担当者たちはQCERの枠組み(各レベルの要求水準など)を理解するための活動から始め、複数回のセッションを経て理解度・見解を概ねそろえます
 これに加えて数段階のプロセスを経て、QCERを試験の中で反映できるように整えられていきます
 さらに、Manual と通称で呼ばれる欧州評議会が出しているドキュメントを参照しています
 これは、QCERを個別のイタリア語スキル測定試験においてどのように反映していくかについての指針を示すようなものです
 これらのことをプロジェクトとして2006年から行なった結果、CILSはQCER準拠の試験として実施されることになった。。ざっとですが、こんな感じです

 かなり省略したところもあるのですが、上に書いた部分だけを考えてみても人や資金などのリソースを大量に費やさないとできないことだ、というのはわかると思います

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 以上をまとめた上で、みなさんにお伝えしたいことは、自分のイタリア語スキルの証明を誰にしたいのか、によって受検する試験を選び分けていただきたいということです

 イタリアの大学などにスキル証明をしたければ、QCERにきちんと準拠したCILSなどを持っているのが一番安心です
 いざ現地で手続きのために窓口に行ったら、きちんと扱ってもらえなくて、、、となると、いきなりピンチですからね

 反対に、内輪話で話の種になりさえすればよければ、QCERに準拠しているかどうかは全く気にする必要ないですよね

 以上、今回はQCERとは何か、と、CILSがそれに準拠するためにどんな準備作業を行なったのか(概要)についてまとめてみました

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました

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Ken,
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