読書の記録#6 ツレがうつになりまして。

ツレがうつになりまして。(幻冬舎文庫) 細川貂々(著)

あのドラマ・映画にもなった『ツレうつ』の原作

このタイトルをご存知の方は多いだろう。ドラマ化も映画化もしている。
タイトルの通り、ツレ(夫)がうつ病になり会社を辞め、家でもなかなか改善せず、その後少しずつ前向きになっていって…というのを漫画で描いたものだ。実録集だけれど、どこか笑える感じのギャグ漫画風作品となっている。

この作品は読んでいてかなり思うところがあった。
と言うのも、ツレ…ではなく自分がうつになって休職中(現在進行形)だからだ。幸い、かなり改善してきており現在は復職に向けたリハビリ中なのであっさり読破できたが、うつ真っ盛りの人は読まない方が良いと思った(そもそも本を読む元気が無いと思うけれど)。なぜなら、結構「あるある」なのだ。死を考えたり、自分を惨めに思ったり、誕生日に「この年齢でこんなことになってるはずじゃなかったのに」と落ち込んだり(私今月誕生日なのでちょうどそれでちょっと落ち込んでます。誕生日プレゼントは歓迎します)。身に覚えがある話が多かったので、実録集としてはさすがといった内容だ。
先述の通り、本のテイストは最初から最後までギャグ漫画風なので特段うつに関係が無い人や、ツレがうつになった人にはオススメ。特に、うつに関係ない人にとっては普通に面白い作品だと思う。

手軽に読める

本の構成はざっくりと、
・うつになった頃
・1番酷かった頃
・ちょっとマシになってきた頃
・大分マシになった頃
・ところでうちの子(ペット)可愛くない?????
の5本立てである。
間に挟まるコラム以外は全て漫画であり、非常に読みやすい。
本自体も分厚くなく、私は30分で読破した。隙間時間や移動時間だけでも1日で読めるくらいサクサクと進める。非常に手軽だ。
うつという重めなテーマと、ポップなテイストの漫画、テンポよく進む構成は非常に見事で、先述の通りうつ患者を1番近いところから見ていた人による作品であるところも専門書と違う面白さがある。
作者も人間なので、間違った選択をしたケースもあるようだが、それもそのまま漫画になっている。その辺の生々しさも相当リアルである。ただ、ギャグ漫画風味でオブラートに包んでいるのだ。
このギャップが受けた結果、ドラマ化や映画化といった大ブームを巻き起こしたのだろう。そのくらい、生々しさとポップさのギャップが凄まじい。自分の場合は本著のツレに比べれば大分軽度のうつで済んでいるように思われるが、それでも内容の8割くらいは身に覚えがある。

自戒を込めて

この本の感想を一言で言うなら、完璧主義に気を付けよう。これに尽きる。登場するツレは完璧主義だ。そして、私も完璧主義だ。
とにかくすべてでパーフェクトにあろうとするのが問題点で、完璧でない部分が出てくると綻びが大きくなる。非常に気持ちが分かるが、1度歯車が噛み合わなくなる。自分もそうだった。

そもそも完璧は難しい。プロ野球で最後にパーフェクトゲーム、つまり完全試合をしているのは槙原寛己である。平成6年、1994年である。26年も完璧が無いのだ。
…という意識を持てるよう、日々をもっと気楽に生きると良いのかなあ。肩の力を抜かなきゃなあと思わされる1冊だった。

まあ、そもそもこの読書感想文シリーズが文章として全然完璧でないわけだが。

いいなと思ったら応援しよう!