Keita Tanahashi

2021年4月から大学教員をしています。それまでの35年間、銀行・証券・総合商社に勤務してきました。大学では経営分析論、初級簿記、経営入門など講義を担当、専攻分野は管理会計や財務管理です。実務経験に基づく経営分析、経営戦略、組織文化などが研究対象です。

Keita Tanahashi

2021年4月から大学教員をしています。それまでの35年間、銀行・証券・総合商社に勤務してきました。大学では経営分析論、初級簿記、経営入門など講義を担当、専攻分野は管理会計や財務管理です。実務経験に基づく経営分析、経営戦略、組織文化などが研究対象です。

最近の記事

パリオリンピックで見た日本の若者の底力、株式市場で見る日本の経営者の実力

パリオリンピックが終わった。7月26日から始まり8月11日まで連日熱い戦いが繰り広げられていて、日本はメダル総数45個、特に金メダルの数は20個と、前回の東京大会を除くと海外での大会では過去最多となったようだ。そして何より金メダル数、メダルランキングとも、米国、中国に次ぐ世界第3位とランキング上位を占めたことは、予想以上の健闘と言えよう。メダル獲得に関しては、予想外に活躍した選手、想定外に早々に不覚をとってしまった選手、団体で個人の無念を晴らした選手など、毎度のことではあるが

    • 日本企業のガバナンスと株主⑥

      前回に引き続き、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)の「親子上場」に関する意見・コメントとそれに対する所感を以下整理する。極めて日本的なこの問題は海外投資家から見てどのように映っているのか、関心高いテーマでもある。 【日本企業のガバナンス上の問題点⑥:親子上場は「普通」ではない 要旨】日本企業の中には親子上場のどこが悪いのかという意見を持つ経営者も多いようだ。親会社が子会社を上場させるということは、実質100%コントロールし

      • 日本企業のガバナンスと株主⑤

        前回に引き続き、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)が日本企業のガバナンス上問題視していた「政策保有株式」に関してコメントしており、これに関して意見を整理したい。 【日本企業のガバナンス上の問題点③:政策保有株式】要旨 日本企業の経営者の中で、「政策保有株式を持つことの何が悪いのか」という疑問を呈する経営者がいるが、政策保有株式は安定株主の「温床」であって「株主平等原則」に違反するものであると考える。政策保有株式があると、

        • 日本企業のガバナンスと株主④

          前回は、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)から、日本企業のガバナンス上問題視した「見かけのガバナンス」についてコメントしたが、今回は「海外投資家から見たガバナンス」に関する意見を整理したい。 【日本企業のガバナンス上の問題点②:海外投資家はこう見ている?要旨】海外投資家は日本企業の株価を決めるメインドライバーである。海外投資家は「株主価値を上げようとしている経営者はどこにいるんだろうか」と思っている。経営者だけでなく当局の

          日本企業のガバナンスと株主③

          前回は、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)はスチュワードシップ・コード(以下SSコード)とコーポレート・ガバナンス・コード(以下CGコード)について見てきた。株主から見て日本企業のガバナンス上どのような問題があるのか厳しく意見していたので、以下備忘のため何回かに分けてメモしながら考え方を整理してみたいと思う。まずは「見かけのガバナンス」について整理したい。 【日本企業のガバナンス上の問題点①:見かけのガバナンスが良ければい

          日本企業のガバナンスと株主③

          東証改革から1年、ここからが経営者の腕の見せ所

          東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)が低迷する上場企業に対して改善策を求めてから1年経った。当初は対象となる企業や本来モノ申すべき投資家に波紋を広げていたが、株式市場では低PBR企業の資本効率や収益性が改善するとの期待感から外人の思惑買いが広がり、新NISAへの制度変更に伴う新規マネーが流入するなど、思い返せば日経平均株価4万円超えのきっかけにもなったともいえよう。しかしながら、期待外れに終われば、投資家心理は簡単に冷え込み、後々の株価下落・低迷につながる恐れもなくはない

          東証改革から1年、ここからが経営者の腕の見せ所

          新NISAを「投機の器」ではなく「投資の草木」として資産形成を始めてみては

          新NISAが始まってから4か月近く経った。巷では賛否両論あり、やるべきか、やめておくべきか、迷っている人も多いだろう。2024年度に入ってからのグローバル株式市場の株価低迷・下落を受けて、「やるべき派」の中には「買った瞬間から含み損だ」と頭を抱えたり、「高くて買えなかった銘柄が安くなった」と新規に買いに入ったりしている一方、「やめておくべき派」が「そら見たことか」と言わんばかり意気揚々としているかもしれない。相場には上がり下がりはつきものだ。新NISAは資産運用の手段の一つに

          新NISAを「投機の器」ではなく「投資の草木」として資産形成を始めてみては

          日本企業のガバナンスと株主②

          そうこうしているうちに前稿から2週間経ってしまった。先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)はスチュワードシップ・コード(以下SSコード)とコーポレート・ガバナンス・コード(以下CGコード)についても辛辣な意見を述べていたので、以下備忘メモとともに考え方を整理したい。 【SSコードに対する考え方:要旨】 2014年に制定されたSSコードは「投資家は他と協働で企業と対話すべき」という点を除けば、英国のSSコードをまねしたものだが、

          日本企業のガバナンスと株主②

          2024年度入学式

          4月1日、本学の入学式でした。会場は本学体育館、いまやバスケの聖地としてスラムダンクファンが観光で来られるようになりました。これまでの学びと経験を活かして、教員4年めの自分も新たな気持ちで人材育成に努めます!

          2024年度入学式

          日本企業のガバナンスと株主①

          大学が春休み期間中はなるべく知識・情報の整理とインプットに努めている。本当はインプットに基づくアウトプットをしなければならないと気にしているものの、なかなかアウトプットのほうは進まない。論文や本の執筆に時間を充てる時期であるはずなのだが、ついサボりがちだ。ただインプットにWebセミナーを受講することができるのは大変便利だ。とかく話を聴いてみたい登壇者が出られる講演やセミナーは東京中心であることは疑いの余地もないが、コロナ禍の好影響があるとすれば、Web上でそういった貴重な講演

          日本企業のガバナンスと株主①

          サステナビリティ関連情報と新NISA

          2月19日に開かれた金融庁の金融審議会総会で、サステナビリティ情報の開示や保証の在り方を検討することになった。これを受けて3月中にも新たな分科会を立ち上げ議論が始まるようだ。東証プライム市場に上場する企業に対し温暖化ガス排出量の開示を義務づけること、有価証券報告書の中で企業が開示する環境や社会に関するサステナビリティ情報に対して第三者による保証を求める制度を導入することなど検討事項が挙げられている。前者は、温暖化ガス排出量について自社分だけでなく取引先を含む排出量について国際

          サステナビリティ関連情報と新NISA

          大学生教育に生成型AIを活用すべきか

          文部科学省は小中高校での生成型AIの扱い方に関する指針を公表している。夏休みの宿題を課す前に、不適切な使い方をしないように、利用を認める方針を初めて明確にした点は評価できる。「使いこなす力を意識的に育てる姿勢が必要」な一方、著作権の侵害や偽情報・誤情報の拡散、創造性への影響などのリスクを考慮して限定的な利用を認めるのが正しい教育にあり方だと思う。一方、大学生はどうか。文部科学省は生成型AIの大学教育での取り扱いについて、各大学が主体的に指針を策定することの重要性を強調し、その

          大学生教育に生成型AIを活用すべきか

          ESGの観点でジャニーズ事務所問題を考える

          ジャニーズ事務所の創業者である故・ジャニー喜多川元社長の性加害問題を受けて、同事務所の所属タレントを起用したCMなどの広告活動を取りやめる企業が相次いでいる。ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から今回の問題を考えると、サステナブル経営をグローバルに実践する企業はしっかりと議論して、自社がどうするべきかを正しく判断すべきだと思う。CMに起用されたタレントには罪はないし、多くのファンも好きなタレントが宣伝する商品を買いたいと思うだろう。一方、ファンの立場からは同事務所のタレン

          ESGの観点でジャニーズ事務所問題を考える

          生成AIの利用方針

          教育現場での生成AIの利用を「一律に禁止することはしない」とした上で、主に教員に対し、授業などで用いる際の注意点について、東京大学が方針を打ち出した。学生に対しても今後同様に方針を打ち出すという。自分も遊びがてらChatGPTを使ってみているが、定期試験で出題した問題に取り組ませたら、ほぼ完ぺきな解答を出してきたのには驚いた。このため、論理的思考をつけてもらいたい出題側の立場からすれば、AIが作成した解答を丸ごとコピー・ペーストしてレポートを提出させるようなことは避けなければ

          生成AIの利用方針

          入学式、新年度入り

          昨日、本学の入学式が無事挙行されました。会場は本学体育館、映画「THE FIRST SLAM DUNK」で湘北高と山王工高がインターハイでぶっかった会場でもあります。 今年度は4年生の卒業論文指導を今年度は担当します。社会に出ても確り貢献できる卒業生を一人でも多く出せるよう、卒論完成までの長い道のりを走るランナーである学生を、メガホンもって応援していきます!

          入学式、新年度入り

          昨日からの寒波で、広島市内も積雪降り止まず、朝から道路も鉄道も大混雑です。普段は車で大学に来ていますが、さすがに冬タイヤではない車は危険なので、徒歩で20分かけてスクールバス乗り場に行き、バスで登校しました。キャンパスは一面雪模様です。

          昨日からの寒波で、広島市内も積雪降り止まず、朝から道路も鉄道も大混雑です。普段は車で大学に来ていますが、さすがに冬タイヤではない車は危険なので、徒歩で20分かけてスクールバス乗り場に行き、バスで登校しました。キャンパスは一面雪模様です。