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サステナビリティ関連情報と新NISA

2月19日に開かれた金融庁の金融審議会総会で、サステナビリティ情報の開示や保証の在り方を検討することになった。これを受けて3月中にも新たな分科会を立ち上げ議論が始まるようだ。東証プライム市場に上場する企業に対し温暖化ガス排出量の開示を義務づけること、有価証券報告書の中で企業が開示する環境や社会に関するサステナビリティ情報に対して第三者による保証を求める制度を導入することなど検討事項が挙げられている。前者は、温暖化ガス排出量について自社分だけでなく取引先を含む排出量について国際基準に沿って開示することで、投資家による比較可能性を高める。国際基準は温暖化ガス排出量の自社分(いわゆるスコープ1)、他社が供給する電力エネルギーの使用分(スコープ2)、そしてデータの収集や算定が難しい、原料調達、製造、輸送など自社と取引のあるサプライチェーンの上で排出される使用分(スコープ3)の開示を求めているため、これに近づく。また後者は、サステナビリティ情報に関する保証を第三者が担うことにより、財務諸表に対する監査法人による監査と同様に、非財務情報の信頼性が担保されることで、投資家による比較可能性を高める。すでに有価証券報告書にサステナビリティ情報の記載が義務づけられたものの、具体的な開示基準はない以上その良し悪しを正しく判断することは難しいが、環境や社会への取り組みを企業に促すことにつながるはずだ。投資家による監視モニタリングが強化されれば脱炭素に向けた取り組みを促進することが期待される。ここで想定されている主な投資家はおそらく機関投資家であろう。個人投資家はどうだろうか。今年に入って東証平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新し証券市場が活況を呈している。その要因としてデフレからの脱却と堅調な企業収益に伴う経済の好循環や海外からの投資資金の流入などが挙げられているが、新NISA移行に伴う貯蓄から投資への資金移動も見過ごせない。1,000兆円に及ぶ個人貯蓄預金が投資に向かう流れを、より具体的に、環境や社会への取り組みを企業に促す流れにつなげることはできないか。つみたて投資枠と成長投資枠の2本建て、非課税保有期間が無期限となった新NISAにESG投資枠を加える。開示に積極的で明るい未来の姿を確りと説明する企業を投資対象とする投資枠を別枠にして当該企業を応援する仕組みを作るのだ。サステナビリティ情報の開示の信頼性を高めるとともに、個人投資家も理解しやすい開示の仕方も必要だ。個人投資家も企業のサステナビリティ情報を見て企業を分析し、ESG投資枠を活用した長期にかつ分散された投資で、環境と社会問題に取り組む企業を応援する。上がるから買う、買うから上がる相場に乗り遅れまいとする投資家ばかりでは、企業も証券市場もサステナブルではない。サステナビリティ経営を促進する新NISAの活用を考えてみたい。


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