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パリオリンピックで見た日本の若者の底力、株式市場で見る日本の経営者の実力

パリオリンピックが終わった。7月26日から始まり8月11日まで連日熱い戦いが繰り広げられていて、日本はメダル総数45個、特に金メダルの数は20個と、前回の東京大会を除くと海外での大会では過去最多となったようだ。そして何より金メダル数、メダルランキングとも、米国、中国に次ぐ世界第3位とランキング上位を占めたことは、予想以上の健闘と言えよう。メダル獲得に関しては、予想外に活躍した選手、想定外に早々に不覚をとってしまった選手、団体で個人の無念を晴らした選手など、毎度のことではあるが、結果は悲喜こもごもだった。しかしながら、メダルに手が届かなくても、予選で敗れたとしても、世界を相手に引けを取らない名勝負を繰り広げた競技もあり、結果を残せなかったとしても、精一杯力を尽くしたのであれば、堂々と胸を張って帰国してほしい。

自分が社会人になってから最初のオリンピックは、1988年のソウルオリンピックだ。当時の日本はまさにバブル真っ盛り、日経平均株価も年初に21,000円台から上昇、初めて30,000円台をつけ、10月28日のNTT株の「第3次放出」などで個人投資家の買い意欲も増し、年間騰落率が39%だった時期だ。その翌年の1989年もその勢いは衰えることなく、今年3月まで超えられることがなかった、12月末の38,957.44円の高値をつけるところまで駆け抜けた。このソウルオリンピックの時に日本が獲得したメダル数はなんと14個、金メダルに至ってはわずか4個、メダルランキングも14位だったという。今回のパリオリンピックの結果と比べると隔世の感はある。その後の1992年のバルセロナ、1996年のアトランタ、2000年のシドニーオリンピックでは、メダル総数は22→14→18、金メダルは3→3→5、メダルランキングは17位→23位→15位であった。バブル崩壊と日本経済の低迷と重なっていたからという見方もできる。しかしながら、気づけば、この時期の主力選手は我々世代、つまり今の50代60代の世代だったわけで、世界で戦うには経験不足・力不足で、不甲斐ない結果しか残せなかったんだなと思ってしまった。1988~2000年のころは若年層の人口は圧倒的に多かったし、運動会やら受験戦争やら、競争も余儀なくされた時代だ。練習中には水を飲ませてもらえなかったし、しごきや特訓は当たり前で、つらい練習に耐え、精神面で技術を補える、といった教育指導が色濃く残っていた世代だ。いまの若者は違う。若年層人口は激減し、運動会も学芸会もみな平等に扱い、選り好みしなければ大学に簡単に入れてしまう。練習中は水飲み休憩があり、ハラスメントはご法度、精神力より科学的な根拠やデータで指導する。こういった古い体質、やり方からいち早く抜け出せたスポーツが若者を惹きつけ、世界と戦える人材を輩出できているのではないか。

日本の株式市場はどうだろうか。古い体質の企業や経営者はどう考えているのだろうか。オリンピックの世界では、日本の若者は困難な局面でも確り成果を上げている。今回オリンピックとときを同じくして、植田日銀総裁の利上げ発言をきっかけに急速な円高が進み、海外勢の急激な円キャリートレードの巻き戻しもあって、東証株価指数は史上最大の暴落と急回復が起こり、NISAで始めた個人投資家など痛手を被った。世界中の株式市場が動揺した中で、東証が一番ひどかった。これを見るにつけ、日本の企業は結局世界で戦うには経験も力も不足しているのではないか、と思ってしまう。もっと言えば、海外投資家から、日本企業の舵取りである経営者の中には、世界で戦う実力があると見られていない、これからの経営を安心して任せられる経営者がいないことを見透かされているのかもしれない。PBR改善した、株価が上昇したのは自分の功績だと思っている経営者がいるとすれば、今回の株式市場からの評価を十分に勘案して、その職に居座り続けるのではなく、さっさと若者に譲って思いっきり経営を任せたほうがいいかもしれない。ストックオプションで手に入れた自社株からの配当及び値上がり益で、悠々自適な生活ができるはずなので、間違っても院政を敷くようなことはいけない。

「最近の若者は・・」というフレーズはどの時代になっても、古い体質の方々がこぼしてきたフレーズだ。そんなふうに若者の言動や考え方などを嘆いても、少なくともこのオリンピックの成果を比べるかぎりにおいては、じゃあアンタはどうなんだと言われても仕方ないのが我々世代だ。今回のパリオリンピックで、日本の若者が活躍し躍動しているのを見るにつけ、スポーツにせよ企業経営にせよ、若者にもっと期待をかけて、思いっきりやらせてみるほうがいい結果がでるのではないか、と考えてしまうのは私だけだろうか。

(参考サイト)
https://honkawa2.sakura.ne.jp/3980.html


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