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ピンクプライオボール®の導入がもたらす新たな投球パターンの発見 — 選手の感覚と運動学的データのギャップを埋める

今回は下記URLのドライブラインの記事を分かりやすくまとめました!
参考になる事が沢山あるので、最後まで見てみて下さい!

https://www.drivelinebaseball.com/2022/01/changes-in-ball-weight-new-plyo/

年々、特にアマチュア選手の間で一つの傾向が見られるようになりました。多くの選手が、黒いプライオボール®を使ったピボットピックオフドリルにおいて、次のような不満を口にしています。

  • 「押している感じがする」

  • 「緑のボールと比べてスムーズに感じない」

  • 「ダーツを投げているようだ」

こうした選手の声を受け、私たちのチームは、選手がより快適に投げられる解決策を考える必要がありました。それでも、新しい動きのパターンを定着させるためには、負荷制約を提供することも重要でした。そこで登場したのが、**3ポンドのピンクプライオボール®**です。

まずは経験豊富な数名の選手に試してもらい、非常に高い評価を得ましたが、全体に導入する前にさらにテストが必要でした。特に、黒と緑のプライオボール®と比較した運動学的な違いを詳しく調べる必要がありました。


調査概要

30名の選手が、それぞれのボール(緑、ピンク、黒)を使った合計142回のピボットピックオフスローをモーションキャプチャーで記録しました。このデータを基に、肩の最大外旋、肩の水平外転、肘の屈曲、最大肘内反モーメントなどの運動学的・動力学的な差異を分析しました。

肩の最大外旋

ボールの重量が肩の最大外旋に与える影響を調べたところ、どのボールを使用しても有意な差は見られませんでした。選手はよく「黒いプライオボール®を使うと押している感じがする」と言いますが、データはこの感覚を裏付けていませんでした。

最大外旋時の肩の外転

また、最大外旋時の肘の高さ(肩関節に対する肘の位置)についても、ボールの重量による有意な差は確認されませんでした。つまり、どのボールを使用しても、選手の肩の回転は体の上半身と平行に保たれていました。

この結果から、選手の感覚と実際の動作が必ずしも一致しないことが示されました。しかし、ピンクのプライオボール®は新しい動作パターンの定着に役立つ可能性が高いと考えられます。


肩の最大水平外転(SHA)と最大外旋時のSHA(MER)

肩の最大水平外転(SHA)と最大外旋時のSHA(MER)

SHAは、上腕骨が胴体に対して作る角度を指し、最大SHAは投球速度の強力な予測因子の一つです。最大SHAが大きくなると、大胸筋や三角筋のストレッチ反射が強まり、投球速度の向上に寄与します。

データによると、ボールの重さが軽くなるにつれて最大SHAが増加し、黒、ピンク、緑のボールでそれぞれ20度、25度、29度という結果が得られました。また、MER(最大外旋時)のSHAを見たところ、緑のボールが黒やピンクよりも大きなMER時のSHAを示し、特に黒いボールで肘を主体とした(ダーツのような)投球が見られることが確認されました。

最大外旋時の肘の屈曲

肘の屈曲角度は、緑のボールを使うと他のボールよりも小さくなる傾向が見られましたが、これが投球速度に与える影響は限定的です。投球速度の最適な肘屈曲角度は105〜125度で、エリート投手の大多数がこの範囲内に収まることが示されています。

最大肘内反モーメント

肘にかかる内側トルク(最大肘内反モーメント)については、緑と黒のボール間で有意な差が見られましたが、ピンクと黒、緑とピンクの間では差が確認されませんでした。この差は、黒いボールの重量が緑のボールより約2ポンド重いことに起因する可能性があります。


議論と含意

今回の調査結果は、いくつかの仮説を覆すものでした。例えば、MER(最大レイバック)はすべてのボールで有意な差がなく、重いボールを使うとアームアクションが「押す」ようになるという仮説は誤りであることが分かりました。

一方、ボールの重量が肩甲骨の後退(最大SHA)や肘の屈曲に与える影響は明らかになりました。特に、軽いボールほど最大SHAが増加し、黒いボールでは肘主体の投球動作が強調される傾向が見られました。

この結果は、ピンクのプライオボール®が新しい動作パターンの定着に効果的である可能性を示唆しています。

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