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多様な学びの場と学校教育(3)
高校進学は簡単ではない
今日も私のnoteにお立ち寄りいただきありがとうございます。
令和5年度の高校進学率が、通信制高校を含めて98.7%になっています。
中学を卒業した子ども達のほとんどが、高校に進学していることになります。
このことが、中学校で不登校になった子ども達とご家族に、実は大きなプレッシャーになっていると、私は思っています。
子ども達もご家族も「せめて高校くらいは・・・」と思っていることは、学歴の問題が大きいこともありますが、「ほとんどの子ども達が高校に進学していくこと」があるからだと、私は思っています。
では、高校に通って、何を学ぶのでしょうか。
どういうことを学びたくて、何のために高校への進学をするのでしょうか。
高校は義務教育ではありません。
ご家族や親権のある方に、子どもを高校に通わせる義務はありません。
何のために、何を学びに、高校へ進学していくのか。
高校全入の今日、子ども達には「なぜ、高校へ進学するのか」が曖昧になってきていることが、はっきりとあると、子ども達と接していて強く感じます。
工業高校などの専門学科や高等専修学校に進学したいという子ども達の中には、はっきりと目的意識をもって、入学試験の準備をし、合格・進学していく子ども達もいます。
しかし、全日制、定時制、通信制にかかわらず、「普通科」に進学したいという子ども達の目的意識は、かなり希薄と言えます。
当たり前のように、周りの子ども達も高校に行くし、高校に通っていない人を見かけたことがない子ども達には、他に選択肢はありません。
ところが、選択肢がないために、「とりあえず普通科」ということをぼんやりと考えています。
これは、ご家族も同じで、ご家族の方々も偏差値などで高校選びをしてきた方も多いはずです。
なぜ、高校に行くのかと聞かれたら、進学や就職に有利になるからという理由で、高校を選ばれた方がほとんどだと思います。
この「何となく、ほとんどの人が行くから」というのが、不登校の子ども達にもあり、「高校に行かなければいけない」という意識を生み出してしまっていると、実際に不登校になっている子ども達と接していて、強く思うのです。
中学校に通えなかった子ども達には、高校には何とか通いたい、という思いがある子どももいます。
ご家族には、「高校卒業くらいできていないと、子どもが社会で生きづらく苦労する」という思いがあるために、何としても高校くらいには行ってほしいと思う気持ちになることは、親として当然だとも思います。
ここで立ちはだかるものが、「高校受験・高校入試」です。
入学試験が選抜試験である以上、何かの基準によって、ふるいにかけられることになります。
一番一般的な入学試験が、教科のテストです。
そこに、公立の高校であれば、中学校の時の成績である「内申点」が加えられて、合否が決定されることになります。
最近では、私立高校でも、内申点を合否判定に加えるところも出てきています。
直接、合否判定には使わないけれども、おおよその基準となる内申点を示し、その基準を満たしていなければ、教科テストでも合格しない可能性が高いので、受験する学校を見直してもらうように、事前に受験を希望する子どもの在籍中学に対して、お伝えになる私立高校もあります。
中学校で不登校になった子ども達にとっては、入学試験に合格するための学力だけでなく、通えない中学校での「内申点」が必要になることになり、二重に辛い状況に追い込まれてしまうのです。
この厳しい状況を乗り越えるためには、「高校にはほとんどの人が進学するから、自分も高校くらいは通いたい」という思いだけでは、かなり厳しいことは、お分かりいただけると思います。
しかし、同時に、不登校になったからこそ、「高校には通いたい」という思いも叶えてあげたいとご家族が思われるお気持ちも、当然のことだと思います。
通うことができない中学校の内申点を取ることは、現実的にはかなり難しいし、内申点がつかないこともあります。
こうなると、この時点で、もう、希望する高校をあきらめないといけないこともあります。
通えるかどうかという前に、受験することもできません。
実際には、できないことはないのですが、合格するためには、当日の教科テストで、ものすごく高得点を取らなければいけないことになりますし、高校によっては、全教科満点を取ったとしても、内申点が0点では合格できない高校もあります。
中学校で不登校になった子ども達は、高校に合格しても、通えるかどうかという不安を抱えています。
頑張って通いたいと思う子ども達もいますが、一方で、「通えなかったらどうしよう」という不安を抱える子ども達もいることは、お分かりだと思います。
その前に、内申点と学力という二つの問題から、受験できる高校を選べないということが出てきてしまいます。
だから、無理をして中学に通ったり、別室登校したり、フリースクールに通い、在籍中学にフリースクールに通った日数・時間数を中学校としての出席に認定してもらったりすることがあるのです。
その無理は、どこかで歪みとして出てくることは、想像に難くありません。
この高校受験、高校入試という「15歳の壁」のために、子ども達が少しでも苦しむことがないようにと、現在、中学校で不登校になった子ども達の受け皿になっているのが、通信制高校です。
では、本当に通信制高校は、受け皿としての機能を果たしているのかということも考えてみたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
フリーススクール・パーソナルアカデミー
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