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多様な学びの場と学校教育(7)

「高校」で何を身につけるのか?

今日も私のnoteにお立ち寄りいただきありがとうございます。

今、お子さんが高校生だとして、高校の数学がわからないところがあるから教えて欲しいと頼まれたらどうしますか?

教えられる方もいらっしゃると思いますが、あまり多くないように思います。

高校の数学と聞いて、どういうイメージを持っていらっしゃいますか?

難しい、わかりにくいというイメージの方もいらっしゃるでしょう。

なぜ、こういうことが起こってくるのかなのですが、これは、学習指導要領で決められた高校内容が多く、急激に進むスピードも速くなるように感じることは、大きな要因だと思います。

中学校の内容に比べて、高校の学習内容は圧倒的に多くなります。

実は、このことが、高校入試に学力テストを課さなければならない一つの大きな原因になっているのです。

ですから、高校入試の学力テストを廃止すれば、高校内容を学習できない子ども達を数多く作ってしまうことになり、結果的に、卒業ができなくなってしまいます。

そのために、高校入試では学力テストを実施しなければならないのが実情なのです。

ところが、高校に進学する子ども達の学力には、かなりの幅があります。

実際に私も公立高校で教えていましたが、ものすごく学力の低い子ども達ばかりの高校でした。

円の面積が求められるかという時に、半径×半径×3.14と答えられた子どもが40人中5人。

中学校で学習する文字式で、πrの2乗と答えられた子どもは40人中0です。

このことは、以前もこのnoteで書かせていただきました。

この子ども達に、高校内容を教えるためには、小学校からやり直さないといけない状態でした。

それをやっている余裕は高校にはもちろんありません。

この子ども達に、「高校」として何を学ばせるのか、という問題は当時、私も含め、多くの先生方の問題でした。

中学校の内容もわからない子ども達が、「何を学びに高校に来ているのか?」という問いに答えられることはなく、「何となく」なのです。

「皆が高校に行く」からという理由で、高校に受け身的に進学する、そして、受け身的に高校の授業を受けたところで、何も身につかないことになってしまいます。

一方で、別の公立高校の先生方とお話しすると、大学進学で有名な高校では、同じ高校生とは思えない高度な内容のことを教えていらっしゃいました。

もっと海外のことや、生き物のこと、社会の仕組みや問題点など様々なことを、高校内容に絡めて、子ども達と一緒に考えたいと先生方が思っていても、大学受験に向けてしっかりと教えて欲しいと言われると、できないことばかりだと嘆いていらっしゃいました。

このように、高校入試に学力テストを用いることは、ある意味では子ども達が高校内容を学ぶ際に、最低限必要なことを身につけてきているかということの確認のためには、必要なことなのです。

また、同じくらいの学力の子ども達を、同じ高校にまとめて入学してもらう、ということは、教える側、教えられる側、どちらのためにも、現状としては必要なことかもしれません。

これが、中学生が「偏差値」「内申点」などで高校を選ぶことになる大きな原因にもなっています。

しかし、だからと言って、同じ「高校卒業」というものには、あまりにも差があることが、本当に良いのかという問題が残ります。

これは、通信制高校もすべての高校で、

「高校を卒業することとは何を身につけてきたのか?」

ということが、あまりにも違うからです。


多様な学びの場を考えるときに、中学校を卒業する98%の子ども達が進学する「高校」とは、一体、「何のためにあるのか?」ということを、もう一度、考える必要があると、不登校の子ども達と接していて、強く感じます。

最後までお読みいただきありがとうございました。




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Keisuke Tani
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