とりあえず作っていい会社を、本気で創った理由
はじめまして!宮脇 啓輔(みやわき けいすけ)と申します。
平成3年3月生まれ滋賀県育ちの28歳、今月法人登記したばかりの経営者ど素人です。最近は大磯付近でよくビーチテニスをしています。
今回は、オフィスもなければ未だに正社員ゼロ(助けてくれる仲間はいます)のunname社が、なぜCIを本気で創ったのか?ということについてお話していきたいと思います。(※CI:コーポレート・アイデンティティ)
今回は5,000字超の大作ではありますが、是非、一読いただけると嬉しいです。
なぜCIを本気で創ろうと思ったのか?
仕事(会社)選びにはいろんな軸があると思います。年収・SO、尊敬する上司、一緒に働く仲間、ホットな業界・業種、時流を捉えているサービス、シンプルにやりたい仕事ができる、魅力的な企業フェーズ、裁量権を持って働ける、圧倒的な成長実感などなど、人それぞれだと思います。そして同時にそのどの軸で選択しようが否定するつもりは毛頭ありません。
ただ、自分の働く条件には、シンプルに自分にとってその仕事に意味があると感じられるかどうかだけが大切でした。そして、その“意味があると感じられるかどうか”のと最も密接にリンクしているのが会社のMVV共感することなのではないか?ということに、5年間の社会人経験を通して気付きました。(※MVV:ミッション、ビジョン、バリュー)
成長実感もない、ネット広告に飽きた、この仕事で誰を幸せにしているかわからない、心が休まる時間がない。いろいろあったけど何よりも“あ、21世紀を代表する会社なんて創りたくない”(サイバーエージェントのビジョン)ってのが悩みの理由だった。そんな中で、シンプルに“自分は何のために働いているのか?”、そもそも“自分は何のために生きているんだっけな?”ということをめちゃくちゃ考えるようになった。
悪く言えばモヤモヤしているその辺にいる社会人。良く言えば“自我が芽生えた”みたいな感覚があった。
CA時代どれだけその仕事が素晴らしいことか、社会にとって意味のあることか、人から説明されても自分には理解できなかった。それは会社のMVVに共感していなかったから。その仕事が素晴らしいか、意味があるかは自分が決めることであり、他人が決めるものではない。
せっかく大きな意思決定をして自分の人生を預けてくれるであろう未来のunname社のメンバーには、CA時代に自分が抱いたような思いをして働いて欲しくない。素晴らしいと思って、やる意味があると思って働いて欲しい。結果的に会社を去ることになっても、一緒に働いた時間には意味があり、笑顔で背中を押せるような会社を創りたい。
全員にそう感じてもらいたく、そんな会社にしたく、法人登記前に本気で自分の想いをカタチにすることにしました。
どうやって創ったのか?
想いはあるけど言葉にできない
そしてそれを綺麗にビジュアル化する自信がない
自分が愛着のわかないものだけは無理
正直、自分の頭だけで考えても埒が明かなそうでした。正解は多分ないけど、何からどう考えていけば良いのかわからない。そしてせっかく創るのであれば誰かに「それいいいね」と言ってもらえるものにしたい。
ということで良きビジネスパートナーであり、友達のmeets newの二人に相談した。相談する前からもう二人にお願いしようと思っていた。お願いしたいというよりは二人に一緒に真剣に考えて欲しかったという言葉の方がしっくりきます。
そうして、彼らの独自のデザインプロセスに乗せながら、バレンタインデーに男四人で渋谷のとある会議室で合宿をしました。以下、思考した順序に沿ってunname社のCIをご紹介していきます。
Mission
Vision
Mission:企業が何のために存在するかという「存在理由」
Vision :企業の望ましい「未来の状態」
ここからはどんな想いでミッション、ビジョンを考えたかお話しします。
僕は没頭が最強だと思っています。
生きる目的を見失っている人たちは、現在の自分の幸せの定義ができていないように思います。また、かつては没頭していたことがあったけど今は惰性で生きているという人もたくさんいるように思います。
要するに、人生のピークが(大して思考しなくても没頭できる環境だった)中学、高校、大学でストップしてしまっている人がほとんどなのではないか? ということです。
そういう大人達が、「学生の頃に遊んでおけよ」と謎の呪文を唱えてくるわけですが、彼らは今後の人生においてピーク(幸福度の頂点)を更新できるイメージを持てていないのではないかとすごく感じます。人生にはもちろん波があるので、常に上昇し続けなくてもいいけど、まだこの先の人生で楽しいことがあると思えると、それだけで前向きに生きていけるのではないかと思うのです。
そこで、人生においての幸せを再定義し、人々の没頭を作り出すことができれば、自ずと人生は豊かになっていくのではないか?という仮説を持っています。
世の中に「没頭の仕組みを生み出す」ことで、人生のピークを更新できるような企業集団を目指したいと想っています。そんな想いからこのミッション、ビジョンを掲げました。
また、出来るだけ長く会社を存続させ、時代に合わせながら事業領域も変えていきたいと考えているので、ミッション、ビジョンはあえて抽象度を高めています。
Value
バリューは割とすんなり決まりました。普段から大切にしている価値観を6つ列挙し、その中からもっとも大事にしたい3つに絞り込みました。英語だとカッコつけ過ぎなので、ここは日本語で表現することにしました。
・全てに意味を持たせろ
クオリティを気にするのではなく、全てに意味を持たせよう。意味のないように思えることも数年後に自分なりの意味をつけていこう!
・やらないことを決めろ
常に我々がやるべき事業領域を考えよう。モノゴトには役割があり、自分たちができることをとことんやろう!
・自分が一番楽しめ
会社の利益も、顧客の満足度も大切だけどまず最初に自分が一番楽しんで働くこう。そして働くことへの持続可能性を高めよう!
特に、「自分が一番楽しめ」という価値観がお気に入りです。日本の会社にはまず会社の利益や組織やお客様を優先すべしという価値観が根付いていると思いますが、僕はあえて自分が一番大切だと考えています。自分が一番楽しんで、自分が幸せになった上で、会社の利益やお客様に還元していってほしいです。
その方が働くことへの持続可能性を高められるのではないかと信じています。
社名
同じことをやり続けられる自信がなかったので「社名≠サービス名」となるような会社にしたいなぁという思いはあったものの、会社名は本当に何にすれば良いか全くイメージがなかったです。
どんな経済活動を行っていく企業集団にするのか、MVVを体現するような社名とは何なのか。考えてもしっくりくるワードが見つからない。と煮詰まっていた時、全ての意味を大切にする会社にしたいと思いから、ふと
「意味 意味」という謎の検索ワードをGoogleに打ち込みました。(意味の意味を正確に知りたかった)
その瞬間に、意味の意味を調べる行為は、理論上一生奥まで物体が映り続ける合わせ鏡と似ているなと思いました。そして、合わせ鏡には「なんちゃらミラー現象」というカッコイイ名前があるに違いないと思い検索しましたが、合わせ鏡以上の言葉がありませんでした。
この時「世の中にはまだ名前のない現象がたくさんあるのではないか」と思い、unnamedという単語が浮かびました。unnamedは読みづらいので"d"を外してunnameにしてみたところ、どうやらunnameという単語は存在せず、「unname is unnamed」でした。
なんかこれって「意味の意味」を調べていた時の行為と似ていると思いました。デジャブという言葉は適切じゃないけど、なんとも言葉に表せない感情を抱きました。この感情も既存の言葉ではうまく表現できません。じゃあ、そういうまだ名前のない(unnameな)現象や感情に名前をつけ、意味を定義していく集団になりたいと思い、社名をunnameに命名しました。
【会社を登記した4月1日のツイート】
unnamedだった新しい元号に"令和"という名前がつき、次の新しい時代が始まる感覚がする。unname社では、まだ世の中に名前のないサービス、体験、言葉、感情、現象、概念、そして時代に名前と意味を付けていきたい。
ロゴ
MVVと社名が決まり切ったタイミングで合宿は終わりました。あえてそれ以上要望は伝えず、CIを体現するにふさわしいロゴをmeets newに創ってもらいました。ロゴの提案資料を見る時は開封するのが怖かったです。(全然気に入らないものが上がってきたらどうしようと)例えると大学受験の合格発表を見る時のような心境でした。
最初このロゴを見た時「なんじゃこりゃ」と思いました。笑
ただ、ロゴの全ての要素に意味があり、意味を知れば知るほど好きになりました。天邪鬼な自分にとって、「あえて」というテーマがとても刺さりました。
【ロゴに込めた思い】
・全体テーマは「あえて」
ロゴの全体を「あえて」というテーマをもとに表現しました。 あえてロゴっぽくしない(尖りすぎず尖る)、あえて空白で、あえてカンマで...など「あえて」を表現することで今までに なかったunnameな類のロゴを作成しました。
・社名“unname”と空白
名前のない事象を作り出す、考える。unnameが考える没頭や青春自体にも実は名前がないのかもしれません。まだ名前がない、自分で定義づけていく、そんな社名を表現できるよう、あえて空白をロゴに落とし込みました。
・カンマ≒永続
ミッションの“Update your peak”、ビジョンの一部である“没頭 の仕組み”両者とも「ずっと続いていくもの、終わらないもの」と捉えることができます。unnameな未体験の感覚や自分の限界、そして没頭し続ける自分に出会うことに終わりはない。次、またその次と創り上げていくものである、という意味を込め、あえてピリオドではなく、 カンマで表現しています。
名刺
名刺のデザインに関しては要望を箇条書きでまとめ、一任しました。紙の素材にもこだわってくれて、たくさんの人から「いいね」と言われることが多いです!(嬉しい)
【伝えた要望】
・stylish
・not for everyone
・mono - tone
・会社ではなく集団
・概念
・没頭
・シンプルだけどクセがある
・カッコつけないカッコよさ
・裏面は遊びたい(Update your peakを体現するデザイン)
スライドマスタ
ついでにスライドマスタも創ってもらいました!(こんなオシャレなの自分では創れない!笑)
登記してみて
本当は3月30日を設立日にしようと思っていました。
【理由】
・3月好き+3という数字が好き
・3月30日は一粒万倍日+寅の日(なんかすごくいい日らしい笑)
ところが3月30日が土曜日で登記できないことが発覚。ということで週明けの4月1日に変更。のちに新元号発表日と被ることを知りました。笑
司法書士さんから無事登記が完了したことをメッセンジャーで知る。この何も変わらない感じは成人した時にすごく似ている。何も変わらない。自分の場合はオフィスを構えていなければ、正社員もゼロ、株主も取締役も自分一人、資本金もたったの3万。改めて会社とは概念であり、国境のように何も存在しないもののだなと思った。人が文化が価値観が言語が会社を会社たらしめるんだと。
最後に
【CIについての所感】
・やってもいいし、やらなくてもいい
・会社が大きくなればなるほど、コスパが良い投資となる
・社名もMVVも実績を残せば全てカッコ良く見える
個人的には何者でもない自分だからこそ、最初に自分の想いをしっかりデザインして良かったと思っています。
次回は、時間軸を現在と未来に移し、今何をしているのか?これからどんな事業を展開していくのか?という部分についてお話しできればと思います。
■株式会社unnameについて
バックナンバー
①ひとりで会社はじめました
②とりあえず作っていい会社を、本気で創った理由
③最初に創りたい "没頭の仕組み" について
④創業半年の振り返りと次の半年の宣言
⑤2020年に起業を目指す一部の方々と僕の大好きな方へ
⑥スポーツをやりたくてウズウズしている全ての社会人へ
⑦高校の部活動で得られなかった青春を、今後の人生をかけて取り戻していくんだと思う
⑧unnameという社名に込めた想い
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