【大人の向けの絵本】『戦争で死んだ兵士のこと』【読書感想文】
漫画家、絵本作家でもありコピーライターとしての経験も持つ、小泉吉宏さんの絵本作品。
あらすじ
湖のほとりで一人の兵士が死んでいる。その兵士は、1時間前、生きて戦っていた。2時間前、道に迷っていた。4時間前、子供を助けていた。そして8時間前は……、という風に、今は死んでいる一人の兵士の人生を遡っていくお話。
そうやってずっと遡っていくと、兵士がこの世に生を受けたところまで戻る。今は死んでいる兵士も、ただ両親に祝福されて生まれた無垢な命だったのだ。
一体、この無垢な生命が兵士として死ななければならなかった理由があるのだろうか。
そんな理由があるとして、果たしてそれは真っ当な理由だと言えるだろうか。
戦争によって奪われたのが、たとえ戦闘に参加した兵士のものであったとしても、元をたどればそれは純粋な生命であり、奪われていいはずがないものなのだ。
戦争は必要ない。争ってまで得るべきものなど、僕にはあるとは思えない。
戦争について、生命について、考えたくなる素晴らしい絵本だった。