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【読書感想文】『アルプスの少女ハイジ』

言わずと知れた世界名作劇場のアニメーション『アルプスの少女ハイジ』をまとめて一冊の絵本にしたもの。

今からおよそ50年前の作品だが、その元となるのはさらに古い1880年に書かれた小説が原作となっている。小説もとても良いので、アニメのハイジが好きな人はぜひ読んでみてもらいたい。話の流れは大体一緒だが、ヨーゼフがアニメのオリジナルだと知ったり、アルムおんじの過去が少しだけ明らかになる。

今、ちょうど『フランダースの犬』のアニメーションを観ている最中だが、良家の娘のアロアがイギリスへ勉強に一年行ったかと思えば病気になって村に帰ってきて、そのまんま「ハイジ」と同じ流れだなと思った。

学童保育で働いていた時も、勉強熱心な親は「子供の将来のために」と子供に過度に勉強をさせる。それをその子自身が楽しんでいれば何も言うことはないが、大体においては強制的に勉強させられていて、子供の将来のために子供の子供時代を犠牲にしていいのか……、といつも疑問に思いつつも、他人の家庭のことに口は出せないので非常にやきもきしていた。

著者のヨハンナ・シュピリも、良家の娘でクララのような本格的な教育を受けていた時期もあれば、スイスの田舎でハイジのような生活をしていたこともあったらしく、その体験が小説になりアニメーションになったのだ。

そして都会の勉強と田舎の暮らしの両方を経験をした著者が、一体どちらの方を素晴らしく描いたかは一目瞭然である。

一概に勉強が悪いとは言えないが、せめて小さな頃くらいはのびのびと自然の中で遊ぶ経験を持って欲しいものである。

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