『三田文學』2023年夏季号(154号)のご紹介
こんにちは!編集部員Aです。昨日7月12日より、『三田文學』2023年夏季号(154号)が発売されました。
① 今号のラインナップ紹介
今号のラインナップをご紹介いたします。
② 見どころポイント
今号は小説作品が充実しております。なんと合計で130ページ越え。
中島京子さんの「エチュード 二〇二四」は老境に直面する困惑を超えて踏み出す新たな一歩への温かい励ましです。佐藤洋二郎さんの「夜を抱く」は心の軌跡を辿る半生記。パリから届けられた辻仁成さんの連載「動かぬ時の扉」は好評のうちに第一部の最終回を迎えました。滝口葵已さん、髙木智視さんは過去の三田文學新人賞受賞者。両氏の力作にも注目です。
また、今号では演劇随想と詩のリレーエッセーの2つの新連載が始まりました。演劇では坂手洋二さん、詩では暁方ミセイさんが登場です。今後もご期待ください。
映画誌・比較文学研究家、詩人の四方田犬彦さんへのインタビュー「越境する言語とアイデンティティ――四方田犬彦『戒厳』から」は、関根謙編集長が聞き手となり、国境を越える言語と文化の意味を問いながら、私たちのアイデンティティの真実に迫りました。
主人公と同様、26歳の頃、一年間韓国に滞在し、教師をした経験を持つ氏に、本作を中心に、言語とアイデンティティのかかわりなどについて語っていただきました。たっぷり16ページ分収録しております。
韓国から帰国したばかりの頃に四方田氏が執筆し、長らく封印されていた小説『夏の速度』(作品社、2020年)と数十年後執筆された本作との「兄弟」的な関係や、誰もが本来、ただ一つのことばだけではなく、外国語や方言も含む多言語のなかでゆらぎながら生きているということなど、話題は多岐にわたります。頭だけで考えるのではなく、実際に行動し、体験することを大切にされている氏の生の言葉を、ぜひ本誌で感じていただきたいです。
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