【書評に出た本】2021年5月
このところカラッとしないお天気が続いています。感染症の収束も先が見えず、つい鬱々としがちな時期ではありますが、自宅で積んでいた本を読み進めるには適した季節かもしれません。
5月に書評掲載された本を紹介します。気になるものがありましたらぜひご一読ください。
■小泉明子 著『同性婚論争――「家族」をめぐるアメリカの文化戦争』
わたしたちは「家族」になれるのか?
アメリカを舞台に1950年代からはじまった同性愛者の権利運動が、福音派を中心とする保守から激しい反動(バックラッシュ)を受けながらも、いかに自分たちの権利向上を訴え、2015年に同性婚(婚姻の平等)を実現したのか、その半世紀以上にわたるダイナミックな歴史を辿る。
▶『東京新聞』2021年5月3日「木村草太さんおすすめ 憲法を考える4冊 同性婚 障害者差別…「権利の実現」 知る重み」で、本書が紹介されました。紹介者は木村草太氏(東京都立大教授)です。本文はこちら
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■磯部靖 著『中国 統治のジレンマ――中央・地方関係の変容と未完の再集権』
なぜ習近平政権は「再分権」を推進するのか?
80年代の改革・開放政策によって分権が進み、地方の台頭に関心が高まる一方で、90年代半ば以降、中国では中央政府により再び集権が進んだ。現代中国における中央・地方の関係はどのように変化し、またどのように論じられてきたのか。
さらに、分権を進める習近平政権を考える上で示唆となる、地方での政策執行を促進するためのインセンティブ・メカニズムを考察する。
▶『日本経済新聞』2021年5月8日(29面・読書面)「中国共産党100年の曲折・中央集権から再分権化へ」で、本書が紹介されました。紹介者は天児慧氏(早稲田大学名誉教授)です。本文はこちら(有料会員限定です)
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■川上淳之 著『「副業」の研究——多様性がもたらす影響と可能性』
単なる「サイドビジネス」的位置づけではなく、ワーキングプアの副業という課題、本業へのスキルアップ効果、非金銭的動機による副業の性格、幸福度や健康との関係まで、経済学的視点から多面的にアプローチした「新しい働き方」理解のための本格的な決定版!
▶『日本経済新聞』2021年5月8日(29面)「読書面」 に書評が掲載されました。本文はこちら(有料会員限定です)
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■段瑞聡 著『蒋介石の戦時外交と戦後構想――1941-1971年』
失地回復、不平等条約の撤廃、アジア諸民族の独立を掲げつつ、
米英ソに依存し、国連構想および戦後日本との和解を模索した蔣介石。
「日記」など一次資料を駆使し、未完に終わった「革命」の軌跡をたどる。
▶『日本経済新聞』2021年5月15日(33面)「読書面」に短評が掲載されました。本文はこちら(※有料会員限定記事です)
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■野島那津子 著『診断の社会学——「論争中の病」を患うということ』
「そんな病気はありません」
痛みや苦しみを患いながらも、医療者によって「疾患」を診断されず、
あるいは診断を受けても、他者から「病い」を認められない。
そんな「病い」を生きる人びとの生の困難と希望を描く。
▶『毎日新聞』2021年5月18日(4面・総合面)「ひと」欄で、著者ならびに本書が紹介されました。本文はこちら(※有料記事です)
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■源河亨 著『感情の哲学入門講義』
売上好調につき、第3刷出来!
感情と理性は対立する?
ロボットは感情をもてる?
「感情」にまつわる疑問に答える、まったくの哲学初心者にむけて書かれた入門書。
▶『好書好日』2021年4月19日「「感情的」であるのはいけないことなのか? 書店員さんおすすめの本」で、本書が紹介されました。紹介者は森暁子氏(ジュンク堂書店池袋本店副店長)です。本文はこちら
↓noteに刊行にあたっての著者・源河亨氏による連載(全3回)を掲載しています!
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■鄭鍾賢 著/渡辺 直紀 訳『帝国大学の朝鮮人——大韓民国エリートの起源』
何のために日本へ旅立ち、韓国・北朝鮮で何をなしとげたのか?
留学生たちの激動の歴史を描く、韓国のベストセラー歴史書。近代日本のエリート養成所であり、朝鮮独立運動の水源地でもあった帝国大学で学んだ朝鮮人たちの足跡をはじめて明らかにする。
▶『日本経済新聞』2021年5月29日(30面)「読書面」 に書評が掲載されました。評者は小倉紀蔵氏(京都大学教授)です。本文はこちら(※会員限定記事です)
▶『高知新聞』2021年5月22日(16面)「読書面」 で、本書が紹介されました。
▶『信濃毎日新聞』2021年5月22日(15面)「読書面」 で、本書が紹介されました。
↓著者・鄭 鍾賢氏のインタビュー動画をYouTubeにて公開しています。ぜひご覧ください。
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■ハワード・スティーヴン・フリードマン 著/南沢 篤花 訳『命に〈価格〉をつけられるのか』
9.11 テロの犠牲者、殺人事件、死亡事故の賠償金はどのように決められるのか? 生命保険や公害対策のために計算される人命の価値とは?
経済学者、統計の専門家、規制当局が駆使する「統計的生命価値(VSL)」の豊富な例をわかりやすく解説し、「人の命」とは何かという問題に向き合う。
▶『日本経済新聞』2021年5月29日(31面)「読書面」 に書評が掲載されました。評者は岡崎哲二氏(東京大学教授)です。本文はこちら(※会員限定記事です)
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■ロバート・J・バロー、レイチェル・M・マックリアリー 著/田中 健彦 訳/大垣 昌夫 解説『宗教の経済学——信仰は経済を発展させるのか』
M・ウェーバー『プロテスタンティズムの精神と資本主義の精神』に代表される宗教と経済の関係の研究は、データ分析と現代経済学によってバージョンアップされた。
キリスト教・イスラム教・仏教・過激宗派など世界中の宗教現象が経済と社会に与える効果を分析する。宗教の問題に関係する多くの分野に示唆を与える1 冊。
▶『週刊東洋経済』2021年6月5日号(p.90)「話題の本・Book Review」に書評が掲載されました。評者は江口匡太氏(中央大学教授)です。本文はこちら(※有料会員記事です)
▶『北日本新聞』『福島民報』2021年5月15日(8面)「読書面」に書評が掲載されました。評者は伊藤重雄氏(経済ジャーナリスト)です。
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■田所 昌幸 編『素顔の現代インド』
いまや中国と並び、世界情勢を左右することが予想される巨大国家インド。「自由で開かれたインド太平洋」というフレーズが定着しつつある一方、一般の日本人が実はよく知らない国でもあり、多様性と急激な変化により全体像を捉えることも難しい。
本書は、海外を含めた第一線の研究者が歴史、外交、経済など多面的なアプローチでインドの姿を解説しており、ステレオタイプや一方的な思い入れを捨てて現代インドを正確に理解するためのすぐれた入門書である。
▶『週刊読書人』2021年5月28日号に書評が掲載されました。評者は広瀬公巳氏(ジャーナリスト・元NHK解説委員)です。
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