コースランチはノンアルワインで贅沢に
おはようございます。
晴れ晴れの今日。
朝からドリップなんか淹れてしまって。はあ、幸。
今日の食日記
僕のようなお酒が好きだがとてつもなく弱い族は本当に困っている(急に)。
一昨年の年末のこと。友人と久しぶりの再会を忘年会(12/29)として開催し、約8年間ほどの歳月を分かち合ったのだ。
お酒を互いが飲み合うことが最も変わったことだったほどで、馴染みある友人との会話は実に滑らかで、中学時代のテスト前の猛勉強を思い出した。
だが、そんな居心地の良さも束の間、途端に意識を失いそうなほどの眠気に襲われ始め、すっとひとときの寝落ちを繰り返してしまっていたのだ(なんていう大失態。しかも2人きりだ。こんな話があったろうか。僕はいかに最低なのか。友人の気を使う姿を思い出すだけで胸がはち切れそうになる。苦い思い出だ)。
それからというもの、極力飲まれないようにお酒は控えつつ付き合ってきた(ワインが特に好きだ。完飲後の激しい頭痛はいつものこと)。
そんな時に活躍するのがノンアルコールの類。どれだけ恩恵を受けてきただろうか。ノンアルビールでおでんを前に乾杯し、餃子だって何度も口にした。
そもそもアルコールが無くても食事は楽しめるタイプであるし、味覚が落ちるからあまり進んで飲みたくはないのだが。
ノンアルは気分を付加価値として付与してくれる、パワーチャージそのものだ。ペアリングはかろうじて体験できるところも大変助かるのだ。
コースランチを時々頂くこともある。
たまには贅沢をして、ホスピタリティと共に美味しさを体で味わいたいがマイルールだ。
コースとなれば、メインに肉か魚がついてきて、すると必ず供されるのがワイン。
流石は一流のレストラン。
だが、お昼からワインをたしなむとは、結婚式じゃないんだから。
お昼だからこそ、とノンアルコールという選択肢が看板のように出てくるコースランチ。これぞノンアルの世界。
コースランチに花が咲く。
京都に母が数年ぶりに上陸するとなって、着いていくことにした。それはご機嫌で、コロナ禍もあって、医療従事者には感謝しかない。
やっとの思いで京都に乗り込んだ母と(姉と)贅沢にコースランチを頂くことに。
今日のお店
僕はあまり精通していないが、とにかくここぞと贅沢に抜かりがない姉が東山のボスに連れて行ってくれた(姉は旅行になるとお土産を30人分ほど平気で自分に買ってしまうからどうかしている。そんな人)。
The SODOH
僕も母も、大丈夫か?と一度目を合わせてしまった。
まあ、お客様ですので、胸を張っていきましょうと。
門をこじ開け進むそこは、京都の風情をぎゅっと凝縮したような、古風で季節の情景を感じるお庭のような入り口だった。
お待ちしておりました。と何度声をかけて頂いたことか。
テーブルまでの道のりが、無重力すぎて気持ちがついてこない。どこかへ行ってしまいそうだ。
テーブルに着くと、四方から英語も飛び交ってくる。流暢にそして華麗に接客をするウェイターの方々には相当な脱帽をしてしまった。
私たちはそれ相応なお客様だ!っと気取らないと、精神がどこかへ行ってしまいそうだ(ふと母の緊張した顔を見てホッとした)。
コースの表が提示された。
本屋さんで小説のあらすじを見て読んでみたくなる衝動に似た、物語の始まりを期待するワクワクに等しい。
そんな飲み物の選択肢には、ノンアルコールワインがあった。
メニューに沿うと、どう考えたってワインが欲しい。でも今日は京都をまだまだわ回るし。
これぞノンアルコールワインの恩恵だと、家族共々種類豊富なノンアルドリンクにしっかりと感謝した。
東山の日差しはなんて眩しいのだろう。
輝くワインが愛おしくて仕方がない。
落ち葉がふわっとそこらを舞ったように、前菜がさっと置かれた。
さつまいもチップスの塩気でぐっと力のあるまとまりになる、甘さ優しいさつまいもスープ。
シュッと空気と共になくなるサーモンのビニエ。
はあ、前菜の儚さはいつまでもこのままでいてほしい。
フェットチーネの伸びやかなパスタ。
鱈とかぶのパスタだ。
かぶの葉の苦味が香れば、からのゆずの風味に移っていくグラデーションがあって。そんな移り変わりに気づくと、はっとして、京都にいることを思い出した。
爽やかなトマトの酸味が上品だ。
メインは牛ランプのグリル。
キングの降臨かのような赤身の派手なアクセントが、今日のコースのまとまりを見せる。
肉質柔らかで、赤身の締まりが絶妙だ。
塩麹がキリッと味を引きたたせ、噛めば噛むだけ旨味が溢れてくる。
そんなコースの最後、これぞ僕の驚愕の一皿。
洋梨のタルトタタンだ。
シャクっとシャキシャキ感ととろける柔らかさの狭間をついた、もう右にも左にもミスができない際どいコンポートがとにかく美しい。
しなやかに涼しくしてくれるバニラのシャーベットにほのかにシナモンが香り、シンプルながら最適解が出されていた。
そしてそんなみずみずしさにびくとも負けないタルト生地。いつまでもサクサクの音色を奏で続け、タルトタタンであり続けるのだ。
ご褒美そのものの特別な一皿だった。
とまあ、ノンアルワインもそこそこに長く語ってしまったが。
やっぱりワインは正解で。
毎度口をまとめる役割はコースには必須のようだ。
例え昼だって。
お腹も気持ちも満たされた我々一向は、最後まで接客のホスピタリティに感動しながら、ゆっくりとレストランを出た。
何度も何度も深い深呼吸をして、美味しかった料理の話をし続けたのであった。
美味しいひと時に、ごちそうさまでした。
では、また次回。
今日のお店:The SODOH Higashiyama(京都市東山区八坂通下河原)
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