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雀荘テーブルで過ごす午後
おはようございます。
昨晩はカツオのたたきが安く手に入り(これぞ戦利品)、軽い晩酌風で優雅な時間を過ごしました。
今日のエッセイはノスタルジックな喫茶店体験記。
あそこはいつまでもこれからも、変わらない居場所なんだと思う。
今日の食日記
なんせ喫茶店が好きなもので、とことん調べて、いく先々で喫茶店に没入するのが本当に心地よいのだ。
常連さんが大半を占め、あたかも自分が迷い込んだ(いや、邪魔とも思われる視線を感じながら)ような異質な存在としてその喫茶店に居座り、意地っ張りのように黙々と喫茶店を楽しむ。なんでかその時間が心地よくて仕方がない。
古くなればなるほど、喫茶店でお目見えする、目にチカチカうるさいテーブルがある。
現代人の僕にはなかなか想像しにくい一コマなのだが、葉巻を吸いながら朝から晩まで向かい合い、ゲームをしていんだろうテーブルに、その姿を映すと喫茶店の楽しみ方をもっと知りたくなる。
そう、そのテーブルこそ雀荘ゲームのテーブル。
なぜだが、常に電源が付き、大抵うるさいほどに画面は動き続けている(無音なことも多く、摩訶不思議)。
きっと今でも常連のおじさん達はせっせとゲームにいそしんでいるのだろうが、その現場に鉢合わせて見たいものだ。
いわゆる雀荘ゲームのある喫茶店にサプライズ入店をしてしまうと、なんでかその席に座りたくなる。
自分がするわけではないのだが、そこから見える景色、窓辺の風景こそが、喫茶店が見せたかった特等席なのではないか?と夕暮れ時に思えてくるから、やっぱり座らないわけにはいかないようだ。
夕暮れ時の午後、店内の埃が日差しでくっきりと浮かび上がるその時、ふわっとたばこの香りが立ち込める。
この瞬間を雀荘テーブルで迎えられると、趣深い懐かしい不思議な気持ちになるのだ。
今日のお店
珍しく、上小田井という場所に。
用事を済ませ、15:00ごろ。自転車を走らせると、それは見逃せない喫茶店が現れたのだから、途端にブレーキをかけた。
カフェテラスラーダ。
一体ラーダとは何なのだろうか?ラクダ?なんて思いながら、いかにもらしさのある配色と深緑色のオーニングにときめかずにはいられない。
煉瓦造りの花壇といい、スーツ姿のサラリーマンがお昼に定食を食べに来ているのだろう。
見ずともその姿が浮かんでくる。
なんて飾り気のない素朴な喫茶店なのだ。
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この感じ、漫画喫茶を思わせるじんわりと漂う哀愁が喫茶店ずきを加速させる。
そのくせ、私たちは昔から何も変わらないですから。という断固たる意志みたいなものが聞こえてきて。
だから好き。
現代に生まれた僕達が勝手に好きになるだけで、店側は至って普通で。何も変わらず。誰?あなた?な目線にファンになりそう。
何も語らず、ただその空気に溶け込もうじゃないか。
決まって選んだのは雀荘ゲームテーブル。
目がチカチカするんだよなーの夕方15:00。
このぎらつきこそ、真の喫茶店利用の楽しみであり、醍醐味であり、一つの娯楽の時間なわけで。
気のせいか煙草の香りが鼻に立ち込め、途端に夢心地へと誘われる。
うろうろ目が泳ぎ出すところに、アイスレモンティーが届いた(ナイスタイミング!)
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日差しが落ち始めた午後。
夕暮れのここぞとばかりの白光る日差しに、レモンスライスがぐったりと身を潜めている。まるで1日の終わりを共有するように。しっかり腰を下ろして休もうじゃないかと。
水面の乱反射さえも憧れの喫茶店の景色に見えて、雀荘テーブルの蒸し暑さがなんとなく戻ってきた。
足を組んで煙草を吸って(みた風に)ぐらりと意識がぼんやりすれば、喫茶店で整いましたと。
ちょっとのサービスはシフォンケーキ。
たらりとよだれのように垂らされた蜂蜜が思いっきりシフォンケーキに染みている。
びっちゃりと湿った生地はもうはちみつの味しかしないほど。
目を瞑り呼吸を整えて、もう一度目を覚ます。
何も変わらなかった。でも、さっきより雀荘テーブルの人になれていたような気がするのだ。
もうテーブルはうるさくないし、チカチカも当たり前。
板についてきた?のだろうか。
この景色、この風景は、まだ早かったみたいだが、うっとりできたのだから、もう一度来ようと思う。
周囲では常連さんの井戸端会議は進行中で。
そろそろ出ようかな、と30分も滞在すれば、そう思えてくる。
美味しいひと時に、ごちそうさまでした。
では、また次回。
今日のお店:ラーダ(愛知県名古屋市西区香呑町6丁目12-4庄内コーポラス)
*Instagramでは暮らしにある食をすきなだけ発信しています*
暮らしのヒントになれば、と。
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