セルフラブという呪縛
ここ数年日本でも「セルフラブ」や「自己肯定感」と言う言葉を至るところで耳にするようになった。
●セルフラブ = 自分を愛する事
私が「セルフラブ」の概念に出会ったのは20年ほど前のこと。当時はアメリカに住んでいた。そしてアメリカで定期的に精神科医の先生や心理療法士からカウンセリングを受けていた。そのカウンセリングを通して嫌というほど「自分を愛する事」の大切さを教えてもらった。
カウンセラーに自分の悩みや葛藤を相談するたびに言われる一言がこれだった。
“You don’t love yourself. You need to love yourself.”
「あなたは自分を愛してない。自分を愛しなさい。」
アメリカの自己啓発本にも同じような事が書かれていた。
頭ではわかっているのに「自分を愛する」という概念がいまいちピンとこない。なぜなのだろう?と思いながら時が流れた。
日本にもいよいよこの「セルフラブ」の概念が広まりつつあることを知った。この概念が日本社会に浸透しつつある事は良い事だと思う。けれど、多くの人が私と同じような思いを抱えていることに気がついた。
「どうやって自分を愛せばいいの?」
「いまいちピンとこない。」
これについて考えた結果、日本人にとって「ラブ = 愛」という言葉自体がピンと来ないものだと思った。
多くの日本人が欧米人のように、普段から”I love you”と言って愛情表現をしたりしない。それは夫婦間でも親子間でも友達同士でもそうだ。けれど、相手の世話したり面倒をみる事を通して愛情表現をすることがある。
日本で出回っている自己啓発本などを読むと欧米で使われる「セルフラブ」の概念をそのまま直訳しているものが多いので、なんだかピンと来ないのかもしれない。
ある日、マツコデラックスが出ているTV番組を見ているとマツコがこう話していた。
「自分の事なんかヘドが出るほど嫌いよ。自分のことを好きにならなくてもいいのよ。自分を労わることが出来たら、それでいいのよ。」と。
この言葉が、私の心にスーッと入ってきた。
「あなたは自分を愛していない。」そうカウンセラーに言われる度に追い詰められるような気持ちになっていた。
「どんな自分も”無償の愛”で愛さなくちゃいけないんだ」という力みから解放された瞬間だった。
私は普段から健康的な食事を摂るようにしている。お風呂にゆっくり浸かったり、十分な睡眠を取るようにしている。部屋を片付けて快適に過ごせるようにしている。
これら全ては「自分を労わる」事なのだ。自分が少しでも心地良く、気分良く暮らせるように自分なりに工夫して取り組んでいること。
●自分を労う(ねぎらう)
●自分を労わる(いたわる)
それでだけもう「自分を愛せているんだ」と気がついた。
どんな自分も無償の愛で愛すことが出来るのは理想かもしれない。けれどそれが出来ないからと言って落ち込む必要はない。
自分を責める必要もない。少しでも自分を労われているのなら、十分に自分を愛せているのではないだろうか。
「あなたは自分を愛していない、自分をもっと愛しなさい」などと自分に言うのではなく、
「あなたが気づいていないだけで、あなたはちゃんと自分を愛せているよ」そんな風に自分に語りかけてあげようと思う。
Keilani
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