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子育てって思い出つくりなの

今日は、久しぶりに餃子を大量に作った。
いつも春節(Chinese New Year)の時には、子ども園でみんなで作る餃子。
小さな手で、スプーンで具をすくって皮の真ん中に置いて閉じる。これが結構難しいし、アメリカなのでお家で餃子を作ったことがない子供達がほとんど。食べたことがある子も少なくて、うちの園では異文化教育には欠かせないお料理アイテムの一つだ。

この餃子作りは、実は長男が5歳の時に始めた。それまで、長男を保育園に1日預けていたが、次男が生まれた後に、ちょっと嫉妬で荒れ気味になった長男。
私はその時仕事をしていなかったので、「長男としっかり向き合おう」と思い、長男と関わる時間を増やした。保育園の時間を減らし、よそに遊びに行かせるよりは、お友達にうちに来てもらって遊ぶようにした。
しばらくレゴやK'Nexで遊んでいても、5歳児たちはまだ遊び方がへた。外に連れ出してあげたいけれど、赤ちゃんもいるし、お天気も悪いし、晩ご飯の準備もしなきゃいけないしという頃に、上手に遊べなくて疲れもあって喧嘩も始まる。

そこで、お友達を家に呼ぶ日は餃子作りを一緒に4時ごろから手伝ってもらうようにした。長男がプリスクールに行っている間に具を用意しておいて、そろそろ疲れてきて上手に遊べなくなってきたところ、私が先生になって、子供達に具を皮に入れて大量生産してもらうようにして。

遊びに来た子は物珍しくて、しかもこのおばちゃんがお料理をさせてくれるというのでやる気満々。上手に包めなくて具がはみ出したり、皮を二枚重ねていたりするけれど、それでも「お〜、やっぱり3人でやると早く作れていいねえ、助かるよ」などと声がけすると、どんどんやってくれる。

晩ご飯のおかずはできるし、赤ちゃんはゆっくり静かに眠ることができるし、長男のお友達もお土産のお持ち帰りができて、「ああ、いい時間だったなあ」ってみんなが思える。
だんだん子育てが楽しくなって、この年齢の子供達が理解できるようになっていった。色々なお子さんを観察すると、「うちの子だけじゃないんだ」と思えることもたくさんあった。そして、この体験が将来私がこども園を主宰する原点になった。

その長男も、次男ももう成人して海外で暮らしている。子育てが一通り終わってみると、「子育てって、思い出作りだったんだ」と思う。「あんな表情をしていた」「小さな指で頑張ってくれたなあ」「美味しそうな顔して食べていたな」そんな普通の日の普通の一コマが愛おしい記憶の小箱にいくつも入っている。

「土曜日にパーティーをするので、今日餃子を大量に作り置きしたんだよ〜。あなたが5歳ぐらいの頃よく餃子一緒に作ったよね」と長男にLINEした。

「いい思い出だよね。僕、今でも餃子作るの結構好きだよ。」と書いてきた。

「いい思い出がたくさん一緒に作れて、ママは幸せ者だなあ〜」そう返信して不覚にもちょっと涙腺がゆるむ。
「僕、昨日写真を見てて、いい思い出いっぱい作ったなと思った。いい友達と家族がいてラッキーと感じた。これからもいい思い出作ろう。I Love You」と長男が送ってきた。私たちはその後離婚家庭になったのに、それでもそんなふうに思っていてくれていることが、嬉しい。

こども園の子供達ともその後、20年以上いい思い出を作り続けている「餃子」。
餃子くんたち、ありがとう。皆さんのご家庭にも幸あれ。