初めての親友
ボウズ頭に近いヘアスタイル
ハーフみたいなお顔立ち
Levi'sのストレートのジーパン
言葉使いがおっさん
と言うか
多摩べんで荒い
「〇〇じゃーん」
「〇〇さぁ」
バターみたいにクドイ外見とは裏腹に
一応繊細だったのかな…
美術部で
絵画教室にも通っていて
全く絵に興味のない私
と言うか
彼女の趣味に付いてけない
進学先が美大付属高校って
もう決まっていたので
ラクに付き合えました。
彼女の好きになるものも人も
クドイと言うか独特で
全然合いませんでしたが
そこが
お互いに干渉しないので
良かったのでしょう。
「〇〇くんカッコいい」
はて
どういう趣味嗜好なのかしら?
一応一瞬付き合ったらしいけど
「慶子のこと好きだったって言ってた」
知ってるよ
小学校の時ね、家に遊びに行ったから
ピアノも習っている彼女が
いつも熱心に書いてたもの
「詩集」
丸文字じゃなくて
片寄ったクセ字が
古風なノートに絵のように
踊っていました。
「ねぇ、このノート良いよね」
はて
ずいぶん古臭い
昔のデザインのノートを
私に相談して買っていました。
いつも頼ってくれた彼女に
私はどんな言葉と声色で
応えていたのでしょう
多分無言だったと思います。
「慶子、この詩に曲付けて!」
どうしよう処か
はて
どうやって曲作るんだい?
詩の内容は理解出来ますよ
でも
彼女に直接私は
多分何も云えませんでした。
この事だけ
私の中で心残りだったのか
早熟だった彼女を
色んなところに置いてけぼりに…
いつものクセで
興味が無くなると
スッと居なくなっちゃう私。
原宿のホコ天で
インディーズのバンドの男の子たちに
群がる女の子に紛れて
「やんないの?」
わーきゃーするの
私、出来ません。
気持ちがすぐに冷めると言うか
冷静だったか真面目だったのか
「ピーズでしょう
カステラの方が(メジャーだから)」
双子だから
どっちもたいして変わらないんですが
彼女のセンスは
中2になると加速して
私ぐらいしか付いてけない状態に…
当時の
都営アパートを凄い値段で
中身をまるごと改築したことで
後年知りました。
だんだん
「イヤな奴」になって行った彼女…
ヘアサロンも青山
洋服は全てDCブランド
私のところにも
一瞬バブルがあったようです。
バーン
アパートの重い扉が
彼女の顔のそばで閉まりました。
耳の鼓膜が破れたんです
こりゃ、大変だ!
さすがに私も焦りました。
「入院、手術」
通い妻のように彼女の入院先に
毎日通いました。
ほんとうは頼っていたのは私…
今でも時々思い出して
「いつ有名人になるのかな…」
私が今絵をやってるけれど
「まだ、絵描いてる?」
再会したらこんな風に
言えるのかな…