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『さ入れ言葉』
クイズです
「見せていただく」VS.「見させていただく」
あなたはどちらが正しい言葉遣いだと思いますか?
(答えはこの記事の最後にあります)
1文字多い言葉、足りない言葉
本質把握と合理性の追求を目指して物事を別の角度から見てみることを広めようとしていらっしゃるデザイン様の『過不足が双方乱立する国語のデザイン』を受けて、今回の記事となりました。デザイン様、ありがとうございます。
『ら抜き言葉』のように、必要な語(文字)を欠落させて/端折ってしまう一方で、『さ入れ言葉』のように余分な「さ」を入れてしまう。これを態度や振る舞いと捉えるところがデザイン様の鋭い視点であり、意志を感じます。
このようなチグハグさは、デザイン様も書いている『れ足す言葉(〔可能動詞〕に余分な「れ」を足してしまうという誤法)』のほか、「お示しする」でいいところを「お示しをする」と「を」を入れてしまったり、「ご遊技をされる」と言わなければならないところを「ご遊技される」と「を」を端折ってしまったりする例もあります。
それぞれについて触れた過去記事をご紹介します。
『れ足す言葉』『ら抜き言葉』
余分な「を」を入れてしまう
必要な「を」を端折ってしまう
とまぁ、いろいろありますが、今回のメインテーマである「さ入れ言葉」へ参りましょう。
『さ入れ言葉』
デザイン様の例文をそのまま使わせていただきますね。
『さ入れ言葉』の例
× 現地に行かさせる
× 本を読まさせる
× 手伝わさせてください
× 仕事を休まさせていただく
※太字にした「さ」が本来不要
正しくは下記。
〇 現地に行かせる
〇 本を読ませる
〇 手伝わせてください
〇 仕事を休ませていただく
なぜこのようなことが起こるのか
これも、デザイン様のご推察と同じで、私も「~させ」と言おうとしてしまうからだと考えます。
例文は全て五段活用の動詞です。
五段活用とは、「ない」につなげて否定形にしたときに、「ない」の直前が「あ」の段になる動詞
例文から動詞だけを見てみましょう。
・行かない
・読まない
・手伝わない
・休まない
全て太字部分が「あ」の段になっているので、五段活用だと分かります
実は五段活用以外はの動詞を使役にするときは、すべて「~させ」になるのです。
例)
書く (五段活用) = 書かせる
起きる(上一段活用) = 起きさせる
食べる(下一段活用) = 食べさせる
する (サ行変格活用) = させる
来る (カ行変格活用) = 来させる
動詞は、上に挙げた5種類しかありませんが、その中の1種類だけが仲間外れです。これでは確かに他に引きずられて五段活用も「~させて」と言いたくなりそうです。
「ない」をつけて「あ」段なら「さ」は入れない
間違えて「さ入れ言葉」を使わないようにするには、
①動詞に「ない」をつけて
②「あ」段なら
③「さ」は入れない
ようにしましょう。
あまり”自由”すぎると国語が崩壊しかねない
これもデザイン様の言葉です。『『言葉の変化』の語意そのものを変化させる自由を語彙力無い人に与える、という危機』から引用しました。
「さ」があってもなくても、別にそれでトラブルになったことはないかもしれません。それに、全く言葉が変化しなかったら今でも「社長がいまそかり」「いざ、出勤せむとす」とか言ってるかもしれません。
それでもなお、”自由”すぎるのは問題だと思います。
私はサッカーをよく知りませんが、サッカーが世界中の人とプレイできるのはルールが決まっているからではないでしょうか。
昨日と今日でルールが違い、地域によって、また人によってルールが違うなら、これほどサッカーが広まり受け入れられ、みんなで興奮できるスポーツにはならなかったことでしょう。
芸術のように分かる人だけ分かってくれればいい言葉を使う人は別として、職場の人や生活を共にし共に生きる人みんなと分かり合うために言葉を使うなら、ルール(=文法)はそれなりに重要かと思います。
普段意識することは少ないかとは思いますが、たまに、思い起こしてみてください。
クイズの答え
最初に、「見せていただく」と「見させていただく」のどちらが正しい言葉遣いかと質問しました。
ここまでを読んで、「見ない」(=「ない」の直前が「い」の段だから五段活用ではない)だから「さ」を入れて「見させていただく」が正しいと考えたあなた、正解です!
しっかり読んでくださって、ありがとうございます!!
でも、「何それ、見せて見せて!」って女の子同士の会話に出てきそうですよね。実は「見せ(て)」は「見せる」という動詞の連用形なので、使役の助動詞である「せる」も「させる」も使っていません。
したがって、「見せていただく」も正しい気がするなぁ、と思ったあなたも正解です!
いやぁ、日本語って難しいですね。
それでは、また。
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