最近のコールセンターは放置プレイ?
私は、敬語講座のほか、電話応対研修や、ロープレをしてその人の改善点を探してフィードバックすることもしています。ロープレを行うと、期日を決めて、再度ロープレを行い、前回の指摘が改善されたかを確認し、次の改善点を新たな目標に立てるのです。
このようなことを数回繰り返すと、改善サイクルを自分で回せるようになってきます。そうなれば卒業です。
どんな人が受けに来るかというと、「発信業務だが、もっと話を聞いてもらえるようになりたい」「対応が下手だといつも会社で叱られる。職場の電話応対研修も受けたが自分ではどうしたらよいか分からない」という人もやってきます。
しかし、最近、今までには見られない人たちが受けに来きます。
(以下、詳細は変更してあります)
今までの人たちはみんなできてたわよ
ある人は、電話の仕事に就いたものの、話し方については全く指導を受けていないといいます。
業務内容は自分の専門分野なので問題ないが、最初の名乗りが書かれた、たった2行の紙を渡されただけで、あとは何の指導もないというのです。
対応方法や実際にどのように言えばいいのかなどについて、どうしたらよいかと相談しても、「場数を踏めば分かる」「そのうち慣れる」と言われ、それ以上質問しようとすると、「今までの人たちはみんなできてたわよ」と遮られるというのですから、こんな状態では、会社へ行きたくなくなってしまいそうではありませんか。
また、こんな人もいました。
私、対応は丁寧なんです
ある人は、「クレームが多い」という相談でした。
ロープレをしてみると、声は暗く、配慮も足りない。たしかに機嫌が悪いときなら怒ってしまうかもしれません。私は聞いてみました。
するとその人が答えたのは、
とのことだったのです。
そこで私は、次の質問をしました。
これではクレームが減るはずがありません。
指導は会社の仕事ではなくなってしまったのか
なぜ、このようなことになってしまったのでしょうか。
・パワハラが過剰に恐れられ、真っ当な指導もできなくなってしまったのだろうか
・仕事で得られた経験を蓄積し生かそうとすることを会社はやめてしまったのだろうか
・電話応対を日常生活での電話と同じと考え、仕事としてみなしていないのだろうか
・クレームを言う客が悪いという考えが浸透して、対応を改善しようとは思わなくなってしまったのだろうか
・上司や先輩が謙虚になり、人に教えるなどエラそうなことはできないと考えるようになったのだろうか
しかし指導は、仕事に成長の実感とやりがいを与えるもののはず。
手前みそでお恥ずかしいところですが、初心者向けの電話応対研修を受講した人のレビューを見てみてください。
電話応対に不安に感じ、できるなら電話を取りたくないと思っていた人が、自信がつき、何とかなると思えるようになるには、ただ電話を多く取らせるだけでは無理です。
これは、電話応対だけの問題なのだろうか
もう一つ気になるのは、他のことはきちんと指導してもらえているのだろうかということです。電話応対の業種のみに限定されてこのような事態になっているとは考えづらいのですが。
もし、このようなことが職種を越え、日本企業全体に広がっているなら、良い未来はあまり想像ができないと思うのは、私の取り越し苦労でしょうか。
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世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。