電話応対が得意なのにクレーム対応が苦手な人へ
クレーム対応が苦手で私の講座を受けに来る人の中には、一般的には共感能力が高いとされていても、共感すべきところが同情や同感になってしまう人がいます。こういう人は通常の対応ではお客さまに喜ばれ、自分でも電話応対にそこそこ自信があります。上司からも評価されています。それでも、クレームとなると、うまく対応できません。
そういうとき、私はこんな例を出して質問します。
企業の責任が重いのはどっち?
あなたはネット通販の問い合わせ窓口でお客さまからの電話応対をしています。同じ商品を購入した客Aと客Bがいたときに、配達した商品が両方とも不良品でした。企業の責任が重いのではどちらでしょう?
さて、あなたはどちらの責任が重いと思いますか?
読者の立場であればなんの迷いもなく答えられると思うのですが、正解は「どちらも同じ」です。
しかし、実際に電話を受け、涙ながらに状況を訴えられたり怒鳴りつけられたりすると、客Bに対するときには自社の責任が重いように感じてしまうことがあります。
これがクレームではなく、通常のお問い合わせの範囲で「少し急いでほしい」とか「分かりづらい」というようなものであれば、対応者が急いであげたり分かりやすく言い直してあげたりすることができます。しかし、既に過ぎ去った過去日に良品を届けることはできません。そこで、周りからも共感能力が高いとされ、自分でもそう思っている対応者ほど、耐えられなくなってしまうのです。
感情の対応と事柄の対応は分ける
共感は、以前の記事にも書いたとおり、自分の立場を離れません。
共感的に客Bに寄り添うなら、以下のように考えます。
そして、それを実行します。
そうやって感情の対応がすっかり終わってから、不良品が届いたことについて具体的な話をします。
これをごちゃまぜにしてはいけませんし、まして感情の問題を無視してはいけません。
※では、相手にどれだけ被害を与えようとも、企業に責任はないのでしょうか。次週はその点について補足したいと思います。
それでは、また。
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