フィードバックの基準
先週、通話録音を聞いて応対品質について指導するフィードバックについて書きました。
そういえば、コールセンターにかけると「この通話は品質向上のために録音されています」というメッセージが流れるのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
膨大な録音をどのように扱いフィードバックに生かしているのか、そんなことについて今回はご説明します。
保管期間
まず保管期間ですが、これは企業によって異なるとしか答えられません。
音声データは重いので、もっと保管したいんだけれども保管しておく容量がないというところもあります。
全通話録音の機能がなく、クレームなど重要そうなものだけを都度録音し、数時間分しかとっておけないというセンターもあります。
そういう制約がないところは、やはり個人情報になるので、今年度、前年度のものはとっておき、前々年度になったら一括消去などとルールが決まっています。
安心して委託されるコールセンター企業になるためには、個人情報の取り扱いも万全ですよというアピールが必要ですので、その辺りはきっちりしています。
応対品質向上のために使用する通話の選定
全員分のフィードバックをしようと思ったら、条件を揃えなければなりません。
これも企業によって、またそのコールセンター独自のニーズによって異なるかもしれませんが、一般的な条件を挙げます。
下記の条件を満たすものから、ランダムに選ぶのが基本です。
① 1通話の長さが5分~10分
② よくある質問
③ 怒った状態でかかってきた電話ではない
④ なるべく直近の通話
① 1通話の長さが5分~10分
5分以下だと、応対者の対応の良しあしが判断できません。
10分以上あると、1本を評価するのに時間がかかりすぎます。
② よくある質問
突拍子もない質問をされて頭が真っ白になっていては、普段のその人の力を見ることができません。
あまりにも簡単すぎる質問も避けますが、難しすぎる質問も避けます。
③ 怒った状態でかかってきた電話ではない
一般の応対者に求められるのは、クレーム対応ではありませんから、これも評価対象からは除外します。
④ なるべく直近の通話
応対者が、その通話のことを覚えているうちにフィードバックするのが理想です。ただ、なかなかそうはいきませんが……。
クレームの通話確認
クレームでは、言った言わないになることがあります。
そんなとき、通話が録音されていれば、そこで無駄な時間を使う必要がありません。
また、クレームがあったとき、直接対応した者の話を聞くよりも、録音された通話を聞いたほうがよいときがあります。
応対クレーム(電話をかけてきたときは怒っていなかったのに、話しているうちにクレームになったもの)は特にそうです。
応対者は、なぜ相手が怒りだしたのか分かっていないことが多いからです。
上長から折り返し電話をするにしても、どこがお怒りのポイントなのかをしっかりと抑えてから電話しないと、わざわざ電話してもっと怒らせてしまったということになりかねません。
なお、クレーム対応が終わった後には、本人にも聞かせ、改善点を見つけてもらう必要があります。
これは、上長の手が空いたらすぐに行うべきことです。
異常値を確認するための通話確認
① クレームを未然に防ぐ
上記のほかにも、ある人だけ異常に通話時間が短いとしたら、必要な案内を省いているかもしれません。
逆に、ある人だけ異常に通話時間が長いとしたら、説明が分かりづらくて何度も聞き返されているかもしれません。
どちらにせよ、やがてクレームになる可能性の高い通話です。
これらを、実際にクレームになる前に防ぐため、通話を確認し、本人にフィードバックします。
② 手順の改善点を探す
例えば異常に通話時間の短い人の録音を聞いてみたところ、全く問題がなかったということもあり得ます。
その場合、その人のまねをすることで、センター全体の効率化が図れます。
また、異常に通話時間の長い人が、マニュアルを探すのに手間取っていたとしたら、マニュアルの整理の仕方を見直すことで、全員の通話時間が10秒削減できるかもしれません。
コールセンターにとって、通話録音は必須
通話が録音できないと、これまで述べてきたこと全てが非常に難しくなります。
個人的には、全通話録音は必須だと思っています。
それでは、また。
通話を聞いてもどう評価していいのか分からないという人もいるかもしれません。
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