山間の35万坪に個性豊かな70店。地域色で遠方からも人を呼ぶ
経営者JPが運営する志高き経営者・経営幹部・次世代リーダーが集う会員制プラットフォーム「KEIEISHA TERRACE」。「日本全国 注目社長!」では、日本全国の元気な経営者のみなさまに、長く続けるコツ、地域ならではの経営術を伺っています。
三重県の山間部、薬草で知られる多気町に出現した美しい村「VISON」。有名パティシエが関わるスイーツエリアや国内最大級という産直市場をはじめ、ホテルや温浴施設、レストラン、セレクトショップなど、約70店舗が建ち並んでいます。コロナ禍の開業だったにも関わらず、オープンから1年で約300万人以上が訪れたそう。
運営を担うヴィソン多気株式会社代表取締役の立花哲也氏は、これまでにも「アクアイグニス」ブランドで複合リゾート施設を開発、運営してきました。かつては東京藝術大学を目指していたという立花氏が、多気町の命運をかけた大規模開発を手掛けるまでの道のりとは? 食とアートの素養に支えられた、事業の手法についても語ってくださいました。
(聞き手/井上 和幸)
20歳で起業、30歳で温泉宿を承継。寂れた温泉地に活気を取り戻す
20歳のとき、生まれ育った三重県四日市市で、個人事業主として建設業を始めました。
もともとは絵が得意で、東京藝術大学を目指していたんですが、そう簡単に入れるものではない。大学には落ちてしまったけれど、高校の夏休みにアルバイトで飛び込んだ建設の仕事が楽しくて、そのまま社員になり、すぐに現場を任されるようになりました。積算も施工監理も身に付けて「これなら自分1人でやれるじゃないか」と思ったんですね、生意気にも。
それが1994年のことで、バブルが崩壊して間もない頃でした。厳しい環境ではあったものの、ライバルの建設会社はまだバブル感覚から抜け切れていなかった。その中にあって、ひたすら真面目に仕事に取り組んだことが評価されたと思います。順調にお仕事をいただけて、2、3年後には法人化し、10年経った頃には年商15億円ほどにまで成長できました。
とはいえ、建設専業では先行き不透明なので、ほかの業種にチャレンジしたい気持ちはありました。そんなとき、県内の大手メーカーから「社員寮が足りない」というご相談をいただき、中古のビジネスホテルを買って改修し、寮として提供したのが多角化のきっかけです。その後、店舗を建ててテナントに貸したり、宿泊施設をつくったりと、本業を活かしながら幅を拡げていきました。
ちょうど30歳になった頃、隣の菰野町にある「湯の山温泉」の宿を事業承継してもらえないかという話が持ち上がりました。買収価格は安くはありませんでしたが、創業者が掘削した源泉は魅力的でした。湯量も湯温もちょうどいいので加水も加温も必要なく、100%かけ流しできます。水道光熱費はかかりませんし、敷地が広くて環境もいい。少し手を加えればきっと化けると思ったので、即決で買うことにしました。これが、本格的な観光業進...
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