規模の経済性
はじめに
コスト低減のメカニズムである事業経済性として様々なものが挙げられるが、その1つに「規模の経済性」がある。経験効果や範囲の経済性と混同しやすいので注意する必要がある。
規模の経済性
規模(一般的には売上高)が増すと、製品1単位あたりの製造コストや提供コストが低減することを指す。その主原因は固定費の分散である。
例:研究開発
ある製品の研究開発に100億円かかったとしよう。いくら売れても研究開発費は固定的である。ここで、この製品を500億円売り上げた場合と、5000億円売り上げた場合を考えよう。前者の場合、売上に対する研究開発費(固定費)の割合は20%、後者では2%と大きな差が出てしまう。これが規模の経済性の影響である。
稼働率の上昇による固定費の低減との違い
固定費の低減には、規模の経済性の影響によるもの以外に、稼働率の上昇によるものがある。同じ規模でも稼働率が高ければ、固定費の低減が見込まれる。
一方、規模の経済性では、規模に関わず稼働率は常に同じであることを前提としている。規模を大きくしたにもかかわらず固定費が低減しないという場合には稼働率が下がっていることも考えられる。
例えば、飲食チェーンが店舗を増やしたとき、以前よりも店舗あたりの稼働率が下がってしまう可能性がある。そうすると、いくら規模を大きくしたとしても規模の経済性のメリットは得られない。
時系列でコスト比較を行う際には、固定費の低減が稼働率によるものなのか、規模の経済性によるものなのかは十分に検討しなければならない。
規模の不経済性
規模化によるコスト低減以上に、コミュニケーションの手間が増え、かえって単位あたりのコストが高くなってしまう現象
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